非属の才能教育(13)役員の保護者との対話回路ワークショップ
★緊急事態宣言によって、勤務校の全体保護者会が延期になっていて、対面で保護者と接する機会がいまだ完全には持てていません。入学式などで高1の保護者の方々とお会いすることはできても、対話まではまだまだです。そんな中、昨日土曜日、役員の保護者の6人の方々とはお会いできました。
【TF】
★さすがは保護者の皆さま方です。主体的に活動するためにミーティングをということで、大事な活動や会計などについて副校長と事務長とミーティングをしました。私とは、初対面ということもあり、互いの内面的世界のシェアを少ししました。表面的な自己紹介ではなく、少し内面の響きを共にしたかったのです。
★ワークショップをやりますよという構えはもちろんありませんでしたが、どうしてもファシリテーター的な癖が抜けなくて、ミニワークショップ風になってしまいました。しかし、自然にぐるぐる回転していったのは、喜ばしい限りでした。互いに求め、互いにケアするマインドがそこには確かにあったからです。頼りない私にお気遣いいただき、心から感謝申し上げます。
★私の対話のワークショップは、「ことば」以外にツールはなにもありませんが、手法はDiarlogue Circuit(対話回路)で、通称「グルグル」です。私のPBLのアクティビティとしては20年以上使っていて、あまり失敗したことはないワークショップ言語の1つです。「グルグル」は3種類あります。
1)R&R:Round and Roundで、一つのトピクやモノについて、輪になって順番に感じたことや何が見えるのかなどについて、どんどん語っていきます。ルールは2つで、同じ内容でも表現は変えてみる。それからパスはしないというものです。少し制約がありますが、明るく創造性が輝くと、すてきなチームワークの可能性が見えてきます。瞬間的なリフレクションをファシリテーターが差しはさんでいくと、上昇気流の渦がうまれてきます。ファシリテーターがいなくても自然にその気流が生まれるチームもあります。このR&Rは、アイスブレークで使う場合は、ファシリテーターはあまりナッジしません。いずれにしても、図にあるように、外延的(denotative)世界が広がっていくわけです。
2)TF:Turning Feedbackという最初の図(下にも同じものを載せました)にあるように、内包的(connotative)世界を深堀していく対話回路もあります。今回は保護者の方が自分のお子さんの状況(ファクト)とそれに対する感じ方(オピニオン)を自然に語ってくださったので、その意味を捉え返すフィードバックをしていきました。何せパウロは目からウロコの視点が豊かで、元祖コペルニクス的転回の人物です。すると、互いにフィードバックする瞬間も多々あり、互いの内面的な響きを感じ取ることができました。保護者の方々はしっかりパウロの視点を共有していました。すてきですね。
数学の先生方と日ごろ話していること(言語と集合論、人生と微積、目からウロコとトポロジーの話などめちゃくちゃ面白い数学の先生方です)や英語の先生方のそれぞれの得意な技術について情報提供したり、激動の時代の意味やパウロの英語の教材がグローバルな世界に直結していることなどを共有したり、勤務校の放課後の多様なプログラムの意味の意味の意味・・・について対話ができたと思います。もちろん、多様な進路の話はやはり必須でした。
たまたま朝スクールバスから降りてくる生徒を迎えていて気づいたことがシンクロしたりして、改めて学園生活はやはり隅々まで観察やリサーチをしておくことは必要であり、また、あらゆる点をデータ化して、関数化しておくことによって、点の悩みがいかに線や面につながっているかけがえのない価値があることなのかをフィードバックできることに気づきました。もっともっと全貌をそして細部を把握しなくてはとリフレクションをした次第です。
3)いわゆるsharingですが、単純な情報共有というよりも、共にプログラムや仕事を歩んできて生まれてきたパッションについて分かち合うことを意味します。すでにパッションが生まれている過程でモメンタムリフレクションやフィードバックはしているわけですから、ここはセルフリフレクションを開示するだけです。しかし、最も深層に降りていく瞬間でもあります。シンプルで深い。これはカトリック学校の十八番です。実はこれはロザリオの導きにヒントを得ているわけです。ロザリオというのはバラの意味です。イエスはいばらの冠をつけていましたから。なお、ロザリオのエピソードはドミニコ会に由来しているので、ドミニコ会で洗礼を受けた私にとってはもっとも身近なものなのです。
★それはともかく、今回はちょっと強引でしたが、いきなり【TF】のワークショップ的な対話回路(DC)を選択しました。90分弱時間が静かに流れました。パウロの森のうぐいすの囀りと野球部の練習の声が響いている中で。
★いきなりこの人はなんだろうと思われたかもしれません。隣で副校長が心配そうに見守っているのがわかりました。
★しかし、生徒中心主義的な対話になったことは間違いがありません。
★激動の時代を共に生きる覚悟を共有させていただいたと思います。ありがとございました。
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