2021年私学展(8)英理女子学院校長山崎達雄先生の新しい思考様式
★私学展で、英理女子学院高等学校の山崎達雄校長とバッタリお会いしました。前回ご紹介したかえつ有明再生メンバーの1人です。かえつ再生行動3年目に、軌道に乗り出したために、私も山崎先生もかえつを離れました。私は当時は民間教育研究所を運営していたので、かえつのアドバイザーでなくなっただけの変化でしたが、山崎先生はかえつ再生の活動の中で、さらなるビジョンをふくらまし、それを実現する道を探されたのだと思います。
★ご自身の学校で、「考える」コトをコアにし、文理融合型STEAMや「考える科」を創設したり、破格のグローバルプログラムを実施したり、アントレプレナーなプログラムも実施したりしています。
★基本的にはファーストクラスからクリエイティブクラスへという路線で、学歴社会とは違う新しい世界創りが教師も生徒もできるようにリーダーシップを奮っています。
★かえつの土台を形成している佐野先生の思考性は量子力学的です。不確定な確率的要素を受け入れながら安定性を求めるという思考の特性を持っています。佐野先生自身が物理の教師だということもあるのでしょう。教師が無駄なおせっかいをしなければしないほど、場の力は0に近くなりますから生徒の運動量は最大になります。私のPBLもこれに近いですが、どちらかというと複雑適応的で、変化の予測目標は立ててしまいます。
★一方山崎先生は、セミラティス型の思考形式で、三者ともツリー構造的思考ではないという点で、クリエイティブな力を善としていますが、山崎先生は、目標と創意工夫というカップリングが絶妙です。
★組織構造とは、経営陣の思考様式が反映します。学校は基本校務分掌というツリー構造でできています。
★古典的ピラミッド構造です。階層構造が多層なのか、役割分担的水平構造なのかの違いはありますが、近代官僚システム的思考様式です。これは歴史的なものですから、当然です。
★しかし、21世紀に入って、現代思想の社会実装が始まって以来、組織論は垂直構造と水平構造をどのように組み合わせるか試行錯誤が各領域で多発的に起きています。
★量子力学的思考様式、複雑適応系思考様式、セミラティス型思考様式などいろいろです。ただ、共通点はクリエイティブであるので、要素還元主義ではなく関係総体主義です。それゆえ、PBLのような構成主義的な学びの場づくりが大きな流れになっているのです。
★私たちは、いずれも21世紀型教育を創ることを共にしてきましたから、C1英語×PBL×STEAM×プラスαの方程式は共有しています。
★そして、このプラスαが互いに違うのです。それぞれの学校の社会的文脈の中での位置づけ、それゆえそこに集まってくる生徒の価値観の違いに応じてそのプラスαのスピンは違ってきます。
★このスピンを量子力学的に捉えるのか、複雑適応的に捉えるのか、セミラティス的に捉えるのか。
★共に同じ場所では、同じ意識なのに、方法が違って議論が増大するのですが、そこで多くのビジョンが生まれてきます。三者が根っこは同じなのに開花させる花が違うというのは、それぞれの場があるとき実現します。
★私学展では、多くの校長と対話しました。とはいっても、根っこが同じでプラスαが違うという、不思議な関係性があるものどうしが出会ったわけです。私も精進しようと思います。山崎先生、いっぱい刺激を頂きました。感謝申し上げます。
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