GLICC Weekly EDU(34) 静岡聖光学院 副教頭田代先生の実践を通して多様性の意味を考える
★明日金曜日、GLICC Weekly Eduで、静岡聖光学院のスーパーグローバルティーチャー田代先生と対話します。なぜスーパーグローバルティーチャーなのかというと、「多様性」という意味や「グローバル」という意味を教育の中で内省し、新しい教育プログラムを数多くデザインしているからです。
★多様性というのは、多くの民族、多様な宗教、文化の中で英語でコミュニケーションをとるということだとおもわれがちです。そのアクションはもちろん当然ですが、それは氷山の一角でしかありません。
★多様性は、たがいに信頼を勝ち取り、イノベーションのアイデアを生み出し、平和を勝ち取る道のりではあります。そのためにCEFR基準でC1言語が必要です。静岡聖光学院では、英語のみならずフランス語やレゴ言語など多様な言語のレベルをC1に進化させるプログラムを持っいます。
★しかしながら、大事なことは、多様性は信頼に行き着く過程の中で、ものすごい葛藤が起きます。それは中東アジアで、イスラエルで、北米で、東南アジアで、もちろん日本でも、枚挙にいとまないほど多様性が引き起こす格差や分断、悲惨な祈るしか解決策がないかと思ってしまうような事件が多発しています。
★それがまたグローバリゼーションの影の側面でもあります。
★そして、キリスト教誕生以来、カトリック学校自身がその渦中の中に身を浸し、解決の学びを実践してきたのです。
★ある意味、筋金入りの多様性プログラムを有していたといえるでしょう。近代哲学の礎あるいは批判のためのたたき台をつくったスコラ哲学の土台を形成した13世紀のトマス・アクイナスはこんな趣旨のことをいっています。「たんに瞑想しているだけではなく、その真理を伝える行いをせよ」と。
★スコラ哲学というのは、修道院の中に閉じこもって祈ったり瞑想していたりしていたと一般には思われていますが、13世紀ヨーロッパは、イスラム文化という多様性の中で、対話によってヨーロッパ、当時はローマ教皇の帝国を守る必要がありました。
★軍事力によるばかりでは、一時の勝利はあっても長続きしません。そこで聖ドミニコは、対話によって価値観や文化が違う民族と平和を模索するわけです。もちろん、それはカトリックに改宗させる目的ですから、その是非はいろいろあるでしょうが、その対話は命がけです。だから、だから恐れることなく対話を行ったことは奇跡だといわれるわけです。
★ともあれ、そのドミニコの精神を壮大なスコラ哲学に構築していったのが、トマス・アクイナスです。バチカンが彼の神学をカトリック神学の礎として公認している(かつてはアリストテレスに影響を受けているトマス・アクイナスの神学の書は禁書に認定されていたこともあったのですが)ので、どの修道会も神学の根っこはそこにつながっているほどです。
★多様性の葛藤は、宗教改革の前夜、フィレンツエで起きています。マキャベリの理想の君主とするチェーザレ(一時ダ・ビンチが軍師でした)と資本主義を生み出したと言われるメディチ家(ラファエロやミケランジェロのパトロン)とドミニコ会のサボナローラの政治経済を巡る戦いは壮絶でした。ここに近代の萌芽を見る人もいるでしょう。
★いずれにしても、カトリック学校は多様性やグローバリゼーションの光と影の歴史の中で平和と愛を見出す教育の運動体です。
★その精神を現代の中で新たなカタチで実践している学校の1つが静岡聖光学院です。
★そんな大げさなと思われる方がいたとしたら、実に悲しい現実ですね。そういう方々がIBスクールになりたいなどと意外と思うのです。しかし、IBの精神は、15世紀のフィレンツエで起きたことと同構造のことがおきた第二次世界大戦を通して、二度と再びそのようなことが起きないようにするための教育として誕生したのです。
★ケンブリッジやオックスフォードが大好きな海外大学進学推進者は世にたくさんいますが、この両大学もカトリックではないですが、その流れは汲んでいます。ハーバード大学もそうです。スタンフォードも。
★保守本流とも言える教育コミュニティはラウンドスクエアです。21世紀型教育機構はどちらかというと私立学校だけの団体ですからラウンドスクエアと親和性があるのかもしれません。
★そんな保守本流の拠点校の1つである静岡聖光学院の副教頭田代先生との対話を楽しみにしています。人間、仲間、時間、空間の「間」つまりbetweenの多様性の教育について対話できると思います。
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