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2021年5月26日 (水)

教育のアップデート~2022年に向けて(20)2089年から世界を創るコトの重要性 私学人平方邦行先生の覚悟 ビジョンケア

今月11日、21世紀型教育機構の定例会(いわゆる総会)が行われました。新会長に平方邦行先生が就任し、その覚悟が共有されました。平方先生は、わが恩師で、ことあるごとに対話の機会を頂いています。4月から、平方先生は、工学院大学附属中高の校長を任期満了で退任し、一般財団法人日本私学教育研究所の理事・所長、日本私立中学高等学校連合会常任理事、一般財団法人東京私立中学高等学校協会 常任理事、東京私学教育研究所 所長に就任していますから、ますます学びたいと思っています。

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★さて、定例会で、平方先生は、21世紀型教育機構のネクストビジョンを掲げたわけですが、それは平方先生が日ごろ考えていること(これについてはホンマノオト21「教育のアップデート~2022年に向けて(15)World Making 3原則 平方先生との対話」参照)や機構の理事会で語られてきたことを声明文に編集したものと考えてよいと思います。

★もともと平方先生は、未来や世界を創ることに関するアウトプットから物事を考え行動するメンタルモノデルが駆動しています。今回も2089年からバックキャスティングしようということです。これは単なる逆算ではありません。逆算は、未来から何をやるべきか計画を立て、それが達成できたかどうか、PDCAで考えていくということで、それとは違うのです。逆算は結局は、バックキャスティングとは正反対のフォーキャスティングです。

★今回のパンデミックで、私たちは経験しているように、遠くの未来のみならず、いまここでの次の瞬間だって予測不能です。ですから、未来がwell-beingであるためにはどんな価値を大切にし、どんなイノベーションを起こし、どのようにルール改正をし、システムを変更するのかビジョンを持って走りながら考え実行しようということです。

★予測不能な局面にぶつかったときも、その覚悟を忘れず動くことで、未来は開かれてくるという思考性です。哲学的には現象学的ですね。

★2089年というえば、今の中高生が80歳前後になっています。確実にZ世代が未来を創りながらその歳に到達している未来です。

★Z世代が未来という世界を創っていくときに私たちができるのは、いろいろなケアができますが、ビジョンケアが必要です。いまここで幸せであればそれでよいのだという価値観もあるでしょうが、平方先生は、いまここではうまくいかなくてもその次の瞬間があるだろう。過去は変えられないけれど未来は変えられるというダイナミックな人生を生き続けることができるように教育でケアしていこうということです。

★WHO(世界保健機構)の憲章には、フィジカルヘルス、メンタルヘルス、ソーシャルヘルスのウェルビーイングを健康の概念としていまが、同時にたんに病気や病弱でないことを意味しているわけではないとなっています。

★そして1999年には、採択はされませんでしたが、たんに病気や病弱でないことをもっと明瞭に言語化しようという動きがありました。それはスピリチュアルヘルスがあり、健康と病気はセパレートするのではなく、連動するダイナミックな状態であることを明瞭化しようとしたのです。

★その発想は、中近東やアフリカのイスラム圏からでてきたもので、西洋医学以外の医療価値観を接続しようというものでした。しかし、20世紀の古い価値観はまだまだ多様性やグローバルな世界の光の部分をキャッチできなかったのだと思います。

★しかしながら、採択はされなくても、現実はダイナミックに動かざるを得ないのです。相変わらずグローバリゼーションの影はあるわけですから、影による格差はますま拡大し、それによる負の影響は世界中の人が被っています。

★フィジカル、メンタル、ソーシャルケアだけでは解決できない問題領域が広がっています。それゆえ、グリーフケアとか緩和ケアとか新しいケアが行われれようになっているのです。中高でもまだ無意識段階ですが、それはすでに行われています。今回もパンデミックによるトリアージの問題が喫緊の課題ですが、それもグリーフケアや緩和ケアが必要でしょう。

★教育もまた、「ケア」の時代ですが、それは上記の複数のケアを統合した「ビジョンケア」の時代なのではないかと思っています。今回、平方先生は、それを私立学校の先生方と実現していこうという覚悟を示したといえましょう。

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