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2021年5月 9日 (日)

教育のアップデート~2022年に向けて(19)ノートルダム学院小学校の授業 「主体的・対話的で深い学び」プロジェクトの進化/深化

★ノートルダム学院小学校(以降「ND小」)では、全学年すべての先生が「主体的・対話的で深い学び」のプロジェクトを遂行しています。昨年何度かスモールサイズの研修会でファシリテーターをさせていただきました。最終的には教員全体研修へと収束しました。確信したのは、ND小の各授業には、生徒1人ひとりの賜物とそれを互いに生かす隣人愛を目指す自己探究という生徒自身のプロジェクトという意味が息づいているということです。

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★そして、完全にND小の教師集団は「学習する組織」になっているということも確認できました。学習する組織の証として、次の5つの柱があります。

①ビジョン共有:賜物(才能)と隣人愛というカトリック精神に基づいたこのようなビジョンを共有しています。

②チームワーク:日ごろからコミュニケーションに満ちていますが、全体研修でもチームワークがすばらしかったですね。

③システム思考:知識を活用する思考ツールを自在に使う習慣を教師全員が習得しています。そして、エビデンスに基づいてメリット・デメリットを常に考え、最適な判断をしていく姿勢が見事です。

④メンタルモデル:カトリック精神は共有しつつも、教師一人一人の興味関心という意味での価値観は違いますが、それぞれのその価値観に基づいた創意工夫した行動が遂行されています。何より、そうした1人ひとりのメンタルモデルをオープンに共有し相互尊重しています。

➄自己マスタリー:職場を離れて自宅に戻った時や土日など自己研鑽のためにリサーチをしたり、外部研修で積極的に研究をしています。

★今回も、facebookをみていると、梅下先生が、あの木村明憲先生とやりとりをして、自分の理科の授業に活かしているという報告がありました。ND小学校は、ロイロノートスクールを中心に多様なアプリを使いながら授業をしています。生徒1人1台のタブレット環境がはやくからあったということもあるでしょう。

★木村先生のアイデアと実践はかなり高度ですがわかりやすくデザインされています。一方通行型の授業の3つのパターンランゲージと主体的・対話的で深い学びの20のパターンランゲージがリスト化されていて、後者の20のパターンランゲージを活用するための情報活用力が探究のプロセスを描けるように例示されています。

★情報活用力は、ロイロノートにもセットされているシンキングツールで見える化されているので、そのツールを情報活用の順番に従って活用していけば「主体的・対話的で深い学び」ができてしまいます。

★結局生徒の学び方ベースで授業をデザインしますから、コンテンツはなんでも構いません。したがって、単元縦断と教科横断という複雑系の学びを生徒自身ができるような授業になっています。生徒にとっては、すべての教科が分断されているのではなく、つながっているのが学びのシナジー効果があがるのですから、本来こうあったほうがハッピーですね。

★このような探究プロセスを、梅下先生はもともと実践していたので、木村先生の本でさらにアップデートしていくという自己研鑽をしているのだと思います。すばらしいですね。

★連休中に生徒がメダカの生態観察という理科にとってもっとも大事なことを継続できるように、双眼実態顕微鏡をネットにつないで配信するということまで実行しています。

★シンキングツールをつかって思考作業を行った後、もし自分がテスト問題を作成したらというシチュエーションで問い作りを行っています。そして、その解説まで仕上げて、互いに解き合い相互フィードバックしています。これも大切な学びのアクティビティですね。

★ロイロノートやkahootで問いを作成するので、生徒同士共有しやすいというのも学びを促進させますね。

★同時に問いとは新しい価値の創造につながります。というのも、木村先生も梅下先生も、ファクトーオピニオンという思考や発信を基礎としていますから、当然問いもファクトとオピニオンの連鎖が新しい発想をどこかで生み出すことになるからです。毎回生み出せるかどうかはわかりませんが、継続しているとどこかのタイミングで必ずブレイクスルーするものです。

★この時の生徒どうしの感動は、すてきです。まさにこの瞬間ハッピーです。

★このように梅下先生をはじめND小学校の先生方は自己研鑽を積みつつ、学校でその成果を共有して日々「主体的・対話的で深い学び」の授業をアップデートするプロジェクトに挑んでいるのです。職員室や授業でのそのすてきな姿が目に浮かぶようです。

★多くの保護者の方に、子供のかけがえなのない価値や才能を豊かにしてくND小の教育を知っていただきたいですね。ぜひ公開授業を行っていただきたいと思います。全国の教師や保護者と共有することは世界を良い方向に変える一歩にもなりますから。

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