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2021年4月 9日 (金)

非属の才能教育(08)men for others 再生の時代 フランス国立行政院ENA廃止?

★日本経済新聞「マクロン氏、仏エリート養成校ENAを廃止 22年にも(2021年4月9日 5:57)」によると、「フランスのマクロン大統領は8日、仏エリート養成校の最高峰である国立行政学院(ENA)を廃止すると発表した。一握りの秀才が国を動かしているとの批判をかわすため、2019年に方針を発表していた。代わりにより開かれた養成校「公共サービス機関」をつくるという。仏メディアによると、廃止は22年。」

★もちろん、同紙は次の指摘も忘れません。「22年に次回大統領選があるが、新型コロナウイルス対応への批判などからマクロン氏の支持率は低迷している。ENA廃止は一般国民に近い大統領とアピールするためとの見方がある。」

★たしかに、そいう見方もあるでしょう。しかし、山口昌子さん(産經新聞前パリ支局長)が「ふらんす」白水社で「中央集権国家フランスの権力の象徴「ENA」の運命」2019.05.29で語っているように、ENAの当初の理念が喪失されつつあるのも事実でしょう。

<「権力の苗場」とも呼ばれるENAは、中央集権国家フランスの権力の象徴だ。出身者「エナルクÉnarque」は政財官界のトップとしてフランスを牛耳ってきた。ドゴールは、第二次世界大戦でフランスがあっけなく敗退しナチの占領を許したのは、エリートたる高級官僚にフランス共和国の理念「自由、平等、博愛」を死守する気概がなく、保身や省庁の利益を優先し、理念とは正反対のヒトラーの全体主義、人種差別、反人道主義に屈したからだと分析。官僚の社会的階級からの独立、政治からの独立などを規定した。ENAを踏み台にして政界・財界への転身を図るなど、もってのほかだった。ENA設立の政令に署名したのはモーリス・トレーズ公共相(共産党書記長)だ。親代々の炭鉱労働者階級だ。この1点だけでも、創立の精神が現在のENAとは正反対だったことがわかる。>

★日本は2022年から18歳成人がいよいよ誕生します。政権の人気取りで何であれ、未熟な民主主主義を本当の意味での民主主義を生み出す市民として育つためには、ENAのような学歴階級社会をつくるような機能は、進路選択の向こうにあってはならない。いまここで、そして未来にあるのは、NYの国連のギャラリーにも刻まれているmen for othersのよりどころである黄金律が貫徹する必要があるでしょう。

★マタイの福音に記述されている黄金律について、国連は、宗教や民族、人種、性別など超えて共通のルールだというのです。

★マクロン大統領のように決断するリーダーが、日本にもいるとよいのですが、かりにいなかったとしても、私たちは教育の中でその精神の社会的実装に取り組んでいきます。

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