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2021年4月29日 (木)

教育のアップデート~2022年に向けて(09)脱偏差値再考 水平的多様性アプローチで

★多くの高校生にとって進路は、日々迷い頭の中から離れない問題です。部活や生徒会活動、自分の趣味などと勉学の両立をどうするのか試行錯誤の日々です。

★ある一定の高い偏差値が集まっている学校は、高校全体の3%くらいです。残りの97%は、東大は行けなくても、MARCHはなんとかしたいと考えているところがほとんででしょう。かくして、垂直階層構造の枠組のなかに高校はすっぽりはまっているかのようです。

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★これがいかに問題かは、わかっていても、毎月のように実施される模擬試験の結果は偏差値序列の評価がでます。だから、生徒は偏差値を上げるためにはどうしらよいのか教師と相談しながら取り組んでいきます。みんなががんばれば、偏差値はあがらないというシステムであるにもかかわらず。

★かくして、脱偏差値が重要だとわかっていても、その枠組みの中に絡めとられてしまいがちなのが現状です。

★だから偏差値を捨ててしまえということでしょうか。脱偏差値とは、聞こえはいいのですが、現実あり得ないわけであって、いくら叫んでいても事態は改善されません。

★だから、「脱偏差値」の意味を捉え返してみようと思うわけです。実は、カラオケで歌をうたって、点数をあげるには、機械の判断システムに合わせて歌えばよいのです。ですから、その歌をうたっている歌手本人が歌うと点数があがらないなんてことがあります。

★偏差値は、偏差値があがるシステムからはずれると本物の才能があっても評価されないのです。ですから、脱偏差値というのは、そのシステムを知った上で、そのシステムとは違うシステムで対抗するということです。

★偏差値システムを知った上で、別のアプローチをとるわけですから、偏差値を無視するわけではないのです。

★自分の受けたい学校の入試問題と模擬試験の問題を分析して、共通点と違いを見出します。共通点が多ければ、偏差値システムを利用します。あくまで、自分自身が利用すると判断することが肝要です。違いが多い場合は、その部分で自分の才能が生かせるかどうかを判断します。そうすれば、その大学の模擬試験での偏差値はDランクだとしても、挑んでみる価値はあるでしょう。挑む前に、D判定を他人にしてもらって、従ってしまうというのはまさに偏差値システムに飲み込まれてしまうことを意味します。

★「脱偏差値」とは、かくして既存の枠組システムと自分のシステムを比較して、違いをしるということなのです。それによって、たとえD判定でも、参考にはしますが、自分のアプローチを構築するということです。

★偏差値システムも、受験コミュニティという社会のルールです。そのルールが民主主義的な普遍的ルールに適合しているかどうかは、自分で判断できる力をつけたいと思うわけです。そうなると、もう偏差値という他人のルールに自分の人生をゆだねる必要はなくなります。

★「脱偏差値」とは、民主主義的社会の多様なサブシステムの矛盾をみつけ、その矛盾に取り込まれないようにする学力を見につけるという意味でしょう。そして、偏差値は垂直的階層システムですから、そのシステムに取り込まれない水平的多様性システムを身に着けることです。

★それによって、偏差値から見たら、なぜこの生徒が合格したのだろうということが頻繁に起こるような状況を創っていくことです。進学実績を上げるということは、新しい尺度であげていくという意味で、なんら脱偏差値と矛盾しないのです。

★水平的多様性システムで進学実績を出そうとすることは、実は世界を変えることなのです。

★海外大学へ目を向ける生徒がでてくるというのは、そういうことの1つの証でもあります。

★偏差値社会に対するユートピアは、どこか遠くの脱偏差値社会にあるのではなく、偏差値社会の中に水平的多様性システムの場を拡張することによって現れるのだと確信する今日この頃です。

★脱偏差値と同様、脱教科書は、教科書や教材を徹底的に多角的なアプローチで接近することで成り立ちます。教科書を捨てて、他の何かがあるわけではないのです。

★脱偏差値や脱教科書のヒントは、偏差値や教科書のシステムの中に内包されています。それを解放することこそシンプルで最も効果的です。

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