GLICC Weekly EDU(31) 石川一郎先生 教育の本質を語る PBLの<P>をどうとらえるか
★先週金曜日(23日)、いつものGLICC Weekly EDUで石川一郎先生と対話をしました。タイトルはGLICC Weekly EDU 第27回「石川一郎先生との対話―New Power Schoolを牽引する教員とは」でしたが、NPSの教員の定義というより、教員が実現しようとしている本質とは何か、その価値とは何かという話に広がりました。
★石川一郎先生は、聖ドミニコ学園や湘南白百合はじめとする私立中高一貫校のアドバイザーであったり、PBL研修をしたり、講演活動で全国を飛び回っていますが、毎年複数冊本を発刊する執筆活動もパワフルです。がしかし、本質は21世紀型教育機構の理事です。
★World Makingな教師や生徒が育ち広がっていくことが、Men for others(MFO)を実現するという信念やコンセプトを私たちと共有しています。
★日本は少子高齢化と言えどもまだ小学校から高校生までは1200万人います。彼らが、学歴社会というタコツボで椅子取りゲームをし、その中で誰かがお山の大将になり、他のみんなが鬱屈感を感じざるを得ない物心両面の格差社会を生み出している日本の現状を開くには、グローバル教育が有効でしょう、PBLが有効でしょう、ICTの活用が有効でしょう、リベラルアーツやSTEAMや哲学教育が有効でしょう。
★しかしながら、、石川先生と一致したのは、それをコーディネートしたりプロデュースしたりするのは、あくまで教師なのだと。外部のコンサルタントでもインストラクターでもないのだと。石川一郎先生のアドバイザーという仕事は、そのような教師の魅力と自信を内側から湧き出てくるフィードバックをしているのです。あくまで教師と生徒が中心なのです。
★そうはいっても、世の中は悪貨は良貨を駆逐するのが常のようです。教師が不安だったり自信がない姿を素早く読み取り、そこにすっと入って、教師の内側から魅力も自信も生まれないうちに、ビジネスをして、受益者負担と称して利益を吸い上げる欲望の資本主義は忍び寄ります。
★厄介なのは、当の本人は良いことをしている、サポートをしていると万能感に満ち、このようなことを指摘する私などに対し、なぜそんなことを言うのか理解ができない不愉快だとなりがちです。
★しかし、たとえば、勤務校では、私は、学内の先生方や生徒の内側から魅力、自信、才能があふれでる環境をつくり、外部からの欲望の資本主義のアクセスを阻止するのが役割だと思っています。もっとも、学内のみんなが、私では役不足だと思っているかもしれません(汗)が、そこは弱さを知っている人間は強いというパラドクス(勤務校の守護聖人の考え方です)を信じて精進、精進、日々精進です。
★誤解しないでいただきたいのですが、閉鎖的な学校を目指すということではありません。石川先生やこの番組を主宰している鈴木さん、本物探究を目指している神崎さん、21世紀型教育機構の先生方のように本質を共有している仲間とは当然つながっていくし、つながっているのです。
★人間を始め、生物は、みな開放系です。自然と社会と仲間とつながっています。しかし一方でルールがあります。開放系は民主主義的ルールを遵守して行われるということです。欲望の資本主義は民主主義のルールに違反しています。裁判に持ち込まれない限り、それが明らかにならないだけです。というか、そんな係争関係をつくらないように防衛するのが大切だということです。
★開放系を守るために選択ディシジョンはしますよということです。
★教員の本質はそこにあります。2022年高校生は卒業すると同時に成人になります。民主主義的思考・判断・感性・行動ができる社会実装メカニズムとしてのルールを使いこなせることがWorld Makingの基礎力=MFOということになります。PBLがいかに重要か。そして、石川先生の語るように<P>の意味を本質的に捉えることの重要性がここにあります。さすがは石川一郎先生です。詳しくは動画をぜひご覧ください。
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