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2021年4月28日 (水)

教育のアップデート~2022年に向けて(08)チェーザレ、ジョバンニ、サヴォナローラの葛藤の行方が2089年を決める

★600年前ルネサンス後期で、ルターの宗教改革が起ころうとしていた時代、フィレンツェでは、メディチ家とスペインのボルジア家が争っていました。前者は資本主義を生み出した家系です。後者はマキャベリが尊敬した理想の君主を輩出した帝国の象徴の家柄です。このとき、フランスからも学生がやってきていて、のちのブルボン朝を生み出す伏線が敷かれています。資本主義とフランスとスペインという帝国がぶつかっていたのが、その時期です。

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★物語については、惣領冬実さんの「チェーザレ 破壊の創造者」全12巻をご覧ください。

★私は、この書の中で、メディチ家からもボルジア家からも怪しいと疎まれたドミニコ会の宗教改革者サヴォナローラに注視したいと思います。サボナローラは、メディチ家とボルジア家の教皇の座を狙う覇権争いと、メディ家の贅沢三昧の欲望の商業主義を批判し、また当然スペインやフランスのように教皇の座を狙いほしいままに世界を支配しようという権力に対し厳しく対峙しました。

★それゆえ、惣領さんの物語の中では、両家にとって怪しい存在と位置付けられているのです。

★何せ、この物語の主人公はチェーザレ・ボルジアで、マキャベリが理想の君主と称したその人です。

★サボナローラは物語では得体のしれない存在とされるわけです。実際、史実では、あまりに厳しい神権政治をを行ったので、市民からも疎まれ、特にサヴォナローラが住まいとしていたサンマルコ修道院へのサポートをしていたメディチ家にとっては、いったいなんなんだと思われ、政略の内に捕らえられ、拷問と火刑に処され殉教したのです。

★しかしながら、その松明はルーターに引き継がれ、本格的な宗教改革が行われるわけです。

★不思議ですね、ドミニコ会はカトリックですが、この修道会は、ときどき教皇が権力をもち腐敗政治を行うと、反旗を翻します。いわば内部告発ですから、聖フランシスコ修道会とは犬猿の仲で、フィレンツエにいたフランシスコ会は、メディチ家側にたったのです。

★詳しくは、惣領さんの漫画をぜひご覧ください。私が言いたいことは、この殉教をしたサボナローラの精神が、ルターやフランス革命などに引き継がれ、宗教改革だけではなく、市民革命も生み出すことになったのではないかという仮説です。

★一方メディチ家は、産業革命へとつながり資本主義を生み出す原点だったかもしれません。そして、チェーザレは、軍事力による平和を維持するという近代軍隊への道を開いていった可能性があります。もちろん、将来イギリス艦隊にスペインは破れるのですが、このチェーザレの軍隊を背景にした教皇権力奪取の動きは、国際法を発展させるきっかけになったことは確かでしょう。

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★当時は、ダ・ビンチ、ミケランジェロ、ラファエロも活躍していました。実際に、チェーザレとライバルだったメディチ家のジョバンニは、のちの教皇になってミケランジェロやラファエロを庇護します。

★上記の図のように、イギリスの名誉革命から100年ごとに革命やパラダイムシフトが起きています。革命が起こるその相克の原因は、しかし、当時のフィレンツエにあったのでしょう。

★欲望の資本主義や軍事力強化による覇権主義は、今度こそその両方が排除して外部化したサボナローラの考え方のある意味復権によって反省を迫られるでしょう。SDGsがそれを徹底するかどうか、それを今世界各国が議論し始めているわけです。とはいえ、欲望の資本主義と覇権主義とmen for othersの精神性の葛藤は、あの当時のフィレンツェ時代と変わらない普遍性があり、残念ながらそれをも含めて多様性と言います。

★多様性は尊重しなくてはならないけれど、それは極めて複雑です。

★複雑性の適合化をどのように創っていくのか。歴史に学びながら、2089年をZ世代がどう創っていくのか?私たちはよきアドバイザーやメンターでありたいものです。

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