New Power School(04)工学院の進化 多様なPBL&そのわけ
★昨日、工学院に伺い、多くの先生方と対話ができました。期末試験の時だったということもあるのでしょうが、こんなに一遍に話す機会が巧まずして生まれたのは、実は、これが初めてでした。今までも、多くの先生方と一堂に会してはいたのですが、廊下で、対話スペースで、研修スペース、Fabスペースでと、それぞれの先生方のテーマで話を半日で聞くことができました。
★しかも、そのテーマはそれぞれなのにもかかわらずコアのテーマというかコンセプトに結びついている感じがしたのです。このコアのテーマは、教務主任の田中歩先生が、先生方とこだわってきた生徒中心主義に収束するのですが、そこへのアプローチが実に多様であり、先生方も生徒もそれぞれのプロジェクトを立ち上げて工学院という学びの場を多面的にそれでいて有機的につながるように創っているということが身に染みました。
★こういう学校づくりをするにはいかにしたら可能か。工学院とは違う学校の場合は、その学校の条件がまた別ですから、工学院の方法論をそのまま持ち込むことはできないでしょう。
★ただ、コンセプトは共有できます。生徒中心主義と多様なPBL。それのカギはリアリスティックなリフレクションと共感的なコミュニケーションです。このこのコアを共有し、それぞれの学校の条件にマッチングさせていくわけですが、その接着になるのが、多様なPBLの適用です。
★工学院の場合、レクチャーオンリー形式の授業は7年前に決別しました。しかし、レクチャーとディスカッションやワークショップ型グループワークとのコンビネーションは柔軟です。これが多様なPBLを生み出しているのです。
★しかし、さらに教師と生徒をつなぐ論理的推論方法が3種類あるということも田中歩先生と進路指導部主任の鐘ヶ江先生と教頭の奥津先生と別々に話しながらもつながりました。
★鐘ヶ江先生は、70%が理系進学で30%が文系進学で、理系は、医歯薬系と建築、生命科学が人気なのだというのです。そして、これと文科系の進学が文理別々ではなく、つながっているというのです。なるほど哲学だとか探究だとか行っていると、そこはつながるなあと。
★一方で、田中歩先生は、論理的推論方法は、演繹的と帰納的な方法があり、その過程を大切にする授業が理数系の教科で、言語や社会科はどちらかというと正解のない仮説的推論で、結論が確からしさや正当性、信頼性をどう評価するかというリフレクションにポイントを置いた授業になるというのです。どちらもPBLの授業になるけれど、この3つの推論を1人の教師がすべて使うわけではないというのです。それは多様でよいのだけれど、どうやったらもっと有機的に3つがつながるかが今後の課題なのだと。
★奥津先生は、数学の教師でありながら、3つを場合に応じて使い分けます。数学の授業を行う場合は、演繹と帰納の両方を往復させます。しかし、ちゃんと最後には正解に行き着くわけです。プロセスがPBLの醍醐味です。
★ところが、グローバル交流会を英語を駆使しながら奥津先生はやってしまうのですが、そのときのプログラムは仮説的推論というか創造的推論のシークエンスでシナリオを描いていきます。先日パンデミックのためできなかった合唱祭の代わりに行った映像祭の運営も、まさに創造的推論思考を活用されていました。
★教務主任、進路指導部主任、教頭という役割があるから、このような3つの推論思考を有機的に結びつけて運営していくわけです。医歯薬系と建築、生命科学などの自然科学と哲学や探究が、相互に関係する知の世界が共有され、そこからそれぞれのキャリアデザインが描かれる。これを1人ひとりひとりの教師や生徒自身ができるようになるにはいかにしたら可能かという新たな課題と同時に工学院のさらなるアップデートのステージのビジョンが映し出されました。そんな思いを馳せる機会をいただき、心から感謝です。帰りのバスの中で、7年間の先生方との対話から生まれる螺旋の上昇気流に思いを馳せながら帰路につきました。
★4月からは、また新コミュニティシップづくりをよろしくお願いいたします。本当にありがとうございました。
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