品川翔英国語科最終研修 終わりは始まり
★昨日、品川翔英国語科の最終研修でした。1年間心理的安心安全の中、対話とワークショップができたのは、本当に国語科の先生方のペルソナが情熱家で好奇心旺盛で開かれた精神の持ち主だったからです。それと対話の中で交わされる問いの源泉はいつも生徒の状況でした。
★それと柴田校長が折に触れ、研修の様子を見にというより参加してくれたからでもあります。今回も最後のセッションの時に、私との別れも近づいてきたということもあり、顔を出してくれました。そして参加も。
★最初のセッションは、慶応義塾大学SFCの井庭崇教授監修の「対話のことばカード」を使って、先生方1人ひとりのPBL型授業の振り返りから始めました。すでに、1人ひとりPBL授業が継続的に実施していますから、迷うことなく授業のストーリーやシークエンスに沿って、大事にしている対話カードを並べていきました。
★そして、当然個人ワークの後は、シェアです。自分は何を大切にしているかプレゼンそして傾聴です。いつもはここでフィードバックし合いますが、すでにお互いのPBLについてはこれまでシェアしてきたので、今回はパスしました。
★そして、それぞれ共通する対話カードを並べました。ならべてから<ぐるぐる>というワークショップです。1人ひとりが仮に同じ考えでも自分の言葉で表現していく時間です。ときに何回転もしていきます。また途中で自分たちが口すさんだ問いを拾って、回転し始めます。思わず出るので、しまった自分たちでハードルを上げてしまったと大笑いになるのです。新たな意味や理解が生まれてくる瞬間です。
★先生方は共通していることに感動しつつ、違う点を改めて確認し合いリスペックとし合っていました。
・言葉にする時間
・じっくり聞く
・一緒に見出す
★という生徒中心主義的な対話をしているのが改めてシェアできました。そして、その結果として、
・開かれた質問
・意味の変容
・新たな理解
・広がりのある文脈
★が生まれ出てくる対話を大切にしているということも共有できたのです。国語科といっても学年も違うし、現代文、古典、漢文、国語表現など授業は違うのですが、対話という観点から見れば、改めて共通している点があるということです。分野横断的な視点が共有できたわけですが、それはすでに先生方は気づいていました。
★先生方は探究の時間にもかかわっていますから、この国語科内分野横断型の視点は、教科横断型視点に転用できるとすぐに気づき、実践もしてきました。それゆえ、自信をもって、国語科で行ってきたPBL実践を他教科の先生方と共有するワーックショップを先月行ったわけです。それを、今回は対話という切り口で確認し合ったのですが、なるほどやはりそうだということになったのです。
★2つ目のセッションは、ピーター・センゲの「フィールドブック 学習する組織5つの能力」から「あなたが最も大切にしている価値リスト」を使いました。自分の大切にしている価値を10個選び、さらにコアの価値を3個絞り、1つ目のセッション同様並べました。対話カードと対照できるように並べました。もう私が何も言わなくても、すぐに対話カードと自分たちが大切にしている価値カードのつながりを考えながら並べていました。さすがです。
★1人ひとりのプレゼンをシェアしたあと、やはり共通している価値を並べ、<ぐるぐる>ワークショップを行いました。ここからは柴田校長も参加しました。みな驚いたのは、全員が選んだカードは全部で40枚あったのに、共通していたのは20%だったということです。対話カードも共通しているカードはほぼ同じ割合だったのに、全体が対話という同じトーンだったので、違いが意識として明確にならなかったのでしょう。
★しかし、価値は違うカードばかりだったので、共通しているものとその違いが明快になって、先生方は意外だなあと感じたわけです。達成、成長、創造性、誠実などは共通していたのですが、それ以外は全く違います。「冒険」というカードを選んだりしているのは、今井先生はその先生のキャラがそのまま表れていて、おもしろいと語っていました。
★その先生は平岡先生ですが、パッションという言葉が好きだというところからもなるほどなあと。西山先生は「芸術」という価値を大切にしていて源氏物語の現代化を目論んでいる普段からの言動から納得でした。また、田中幸司先生の「自然」を選択していたのには、先生方は口々に田中先生らしいと。そして、今井先生の的確なそのコメントに、さすがだと。
★柴田先生は、共通点と違いがあるからいいんだよと。コアがあってみな違うから魅力が映し出されると。もちろん柴田先生の選んだ価値はまったくもってあれなのですが、それはご想像にお任せします。校長として頼もしい価値観です。
★最終セッションは、対話と価値の関係について<グルグル>ワークショップです。
★自分たちがなんてすばらしいことを語り合っているのだという雰囲気になってきたところで、今後他教科の先生方と同じように、この対話と価値のファクトを分析してオピニオンを語り合うワークショップをシェアしていこうと、その際呼びかける時に、そのワークショップのネーミングを考えようといういことになりました。
★ここは少し時間がかかりました。ファクトとオピニオンは瞬時に語り合うことができたのに、そのワークショップの名づけをしようとなると、考え込みます。ということは、同じオピニオンでも何か質が違うということだねと。
★平岡先生が、また最初に戻りましたね。ファクトとオピニオンの次に何が来るかという前回の宿題のことですねと鋭い気づき。終わりは始まりというのが、物語の大事な構造です。でも、そのとき、文脈は広がっています。
★それは本当の意味での<コンセプト>ということなのだと。数学だと公理とかになるし、理科だと概念。でも言語系はコンセプト。企画作成や建築設計のコンセプトという意味に近いけれど、直接的に生徒の存在が含まれているという意味ではより深い意味です。
★ファクトとオピニオンとコンセプトと。客観と主観と統合という話です。
★私の品川翔英の国語科の先生方と時間を共にしてきた研修はこれで終わりです。しかしながら、先生方は4月から新たな展開をしていきます。物語の続きを楽しみにしています。物語の構造論、思考スキルと論理の関係、ルーブリックの考え方、古典の現代化、言葉のゲーム化、分野横断型視点、教科横断型視点、対話のかけがえのない価値、生徒の成長をうながすPBLやルーブリック、オンライン授業の妙技・・・、数えて言ったらきりがないほど、先生方とリサーチしワークショップを繰り返してきました。
★そして、先生方1人ひとりが、授業を超えて全体教員と研修を行う際のファシリテーターや学習カウンセラーとしてリーダーシップを発揮する実践をやってのけました。4月からの新しい教師と生徒を迎えるにあたり、学習面で、リーダーシップの側面で、品川翔英という協働体を創っていくうえで、活躍されることでしょう。
★国語科の先生方をはじめ、多くの先生方と貴重な時間を共有する機会を頂きました。心から感謝申し上げます。西山先生の最後の「Value-Value」という言葉が響いています。ぜひそうしてください。先生方、お元気で!
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