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2021年3月 7日 (日)

大学入試問題とトランジション(13)大学入試問題の意義 2022年から18歳成人の前提となる民主主義を学べる

★私たちは、日々SNSももちろん含むメディアを通して、日本という国が民主国家であることをモニタリングししているわけです。SNSのフェイクが大問題になったり、海外のニュースで、相対的に平和が維持されていることを感じたり、国会中継で、ポピュリズムを巡る議論のもどかしさを感じたり、公衆衛生の政府と市場の葛藤の前に途方にくれたりしています。

★しかし、それが、民主国家であろうとする前提があるから気になるのだということは、前面に立ち続けることはあまりないわけです。しかしながら、メディアがときどき民主国家は世界の50%を切りましたなんていう記事をみて驚き、日本が民主国家としては未熟であると世界から評価されているのを知って、さらに驚くわけです。

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★そんな私たちですが、小中高生が学ぶ入試問題は、すべての教科で、民主主義の土台となる、言語や科学、数学のルールを学びます。それが大学入試問題となると、さらに先鋭的になり総合型選抜の入試問題にいたっては、民主主義のタイプまで鮮明に問われるようになります。

★一般入試では、一橋であれ、慶応であれ、早稲田であれ、リバタリアンだろうが、リベラリストだろうが、コンサバだろうが、まず問題になることはありません。価値は自由です。ところが、総合型選抜になると、価値は自由ではあるのですが、その大学を選択する段階で、アドミッションポリシーに合うあわない、教授の考え方に共感するしないを無視することはできません。

★したがって、自分の価値と大学の価値の意識がマッチングできるかどうかは当然考えます。一般入試も、その大学を選ぶ段階で考えるでしょうが、それが合否に直結する話ではないのです。

★ところが総合型選抜では、志望理由書や小論文、面接があるわけですから、どのような価値を大切にするかどうかは軽視できません。

★そんな、価値自由なんだから、それが合否に関係するなんてと思うかもしれませんが、総合型選抜は、いっしょに研究していけるかどうかを判断します。新しいことにチャレンジする必要はないというコンサバな価値観を優先するということは、総合型選抜を実施している大学は考えにくいというのはすぐに了解できると思います。

★社会のことを考え、社会に貢献できるメンバーが欲しいと思うのは当然でしょう。このことは民主国家の大学であれば、究極的には民主国家の最適なシステムにどうつながるのかということですから、そもそも民主主義とは何かを意識しないで、総合型選抜の準備はできないでしょう。

★最近SDGsに関連するテーマが問われますが、このグロバールイシューは、民主国家同士の間でのみ起きているわけではありません。非民主国家と民主国家との関係においても発生しています。

★民主国家とは何か、非民主国家とは何かについて基本的なことを考える機会は、実は小中高の入試問題を考える時期にあります。大学入試改革を考えるとは、よりよい民主国家とは何かを考えることに結びつくのです。

★特に2022年から、高校卒業すると18歳成人にシフトするのです。私たちはどんな民主国家をいっしょに創っていこうとするのか。そんな大げさなとは、さすがに言えないですよね。もうすぐ10年を迎える3・11。よりよき民主国家であろうとしているかどうか振り返る契機になるでしょう。

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