ダイアローグとシステム思考と哲学(01)リバタリアン・コミュニタリアニズム
★リベラル、コンサバの葛藤の時代はどうやら終わりをつげ、多くはリバタリアニズムへの道に進んでいる時代。一方でコミュニタリアニズムもまた重視される時代。しかしながら、本当のところは、リバタリアン・コミュニタリアニズムという相矛盾する要素がハイブリッドになる発想の時代かもしれません。リベラルとかコンサバとかリバタリアンとかコミュニタリアンとかについては、住吉雅美さん(青山学院大学法学部教授)の下記の写真の本をぜひご覧ください。サンデル教授を読むのも良いですが、この4つの関係をコンパクトにかつダイナミックに描かれているのが同書の特徴です。
★リバタリアンでコミュニタリアンというのはどういうことかというと、共同体の作り方が、中心からも周縁からも作られないということなのです。授業共同体であるPBLをつくるときに、構成主義であろうとすると、関係が前面にでます。関係性は、中心も周縁もないのです。そもそも円は中心も円周もないのです。見える化して固定化しているから、つまり物象化しているから、そう見えるだけです。
★私たちの顔に輪郭線は本当はないでしょう。絵にするときに便宜上描いているだけです。それがいつの間にか輪郭線が前面にでてきてしまっているわけです。あくまで想像上のものです。
★現代はコミュニケーションが重要だと言われていますが、ここに中心とか周縁とか持ち出すと、フラットな関係性がなくなり、それはインストラクションとしての関係性ができて、それは関係というより縛りになります。
★この縛りから解放されてなおかつ無秩序にならない共同体。数学的には関数的共同体ですが、こういう人間関係、社会関係を築くことによって、精神的不調をきたさず、ポジティブにあるいは自信をもって生きていく人間社会が生まれます。
★学校もこうでなければなりませんが、精神的不調からはじまり、統合失調症、うつ病などが生まれる場になりがちです。
★少なくとも、この状況を解消するためには、コミュニケーションや対話が大事だと言われているし、特に共感的コミュニケーションが成立している学校は、教職員も生徒も幸せな生活を送っているわけです。
★とはいえ、対話のプレイヤーが、リベラリストかリバタリアンかコンサバかコミュニタリアンかによって、微妙に中心や周縁の力学が働くので、ダブルバインドがあらゆるところで渦を巻きます。
★このダブルバインド状況を解消するには、リバタリアンコミュニタリアニズムの立場に立つしかないというのが、現代社会の組織論というわけでしょう。
★しかし、この発想はすでにアダム・スミスが語っています。国富論の中で一度しか使っていない「見えざる手」が働くということです。みなバラバラに話し、行っても、大きなベクトルは出来上がるという発想ですね。同時代人のヘーゲルもこの発想は持っていますが、絶対精神という目標が中心になってしまうので、アダム・スミスとは違うカテゴリーに入っていますね。
★とはいえ、このバラバラでも、先述した4タイプの価値が存在しているというバラバラさ加減だと、自然淘汰までの時間があって、その間ではダブルバインドや葛藤が頻発しています。やがてリバタリアン・コミュニタリアニズムのトポス(場)ができて、そこで多様性が発揮されると中心も周縁もないのに秩序が生まれてくるのです。
★これがチーミングの醍醐味です。豊かなチームは、リバタリアン・コミュタリアンがトポスとなっている時に生まれます。
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