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2021年3月 3日 (水)

大学入試問題とトランジション(11)東京医科歯科大学の生物 発生生物学の学際性を活用する探究もありかも

★今年の東京医科歯科大学の生物の問題は、いつも通り、用語の名称記述と説明記述、現象の因果関係の説明記述、図式化、仮説実験の論述など骨太の思考問題でした。

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★その中で、一番目の問題では生物発生学の分野である細胞接着の問題が出題されていました。カドヘリンが細胞接着に必要なのかどうか証明する仮説実験を考え、結果も予想する論述問題もしっかり出題されていました。

★同大学の生物の問題は、知識がなくても推理して解けるというような問題ばかりではなく、がっちり基礎知識が必要で、それを記述できるまでに仕上げていなければできないので、入試準備段階の取り組みは、論理的な思考力をがっちりトレーニングすることになります。そして、それで合格できます。

★しかしながら、そんな中で上記のような問題は、仮に知識としてしらなくても、科学の実験のプロトタイプを知っていれば、それをメタファーとして応用が出来る問題です。

★このプロトタイプは、小学校や中学校で行う実験、たとえば光合成と呼吸の関係を検証する実験と同じものです。条件を一つだけ変えて比較実験をし、その結果でてきた物質のアイデンティティ検査確認するという一連の流れですね。

★これを論理的思考とみるのか、クリティカル&クリエイティブシンキングとみるか、それについて議論することはあまり意味のある事ではありません。むしろ、プロトタイプをメタファーに使うということを、科学以外にも活用できるということに気づくことが大事です。

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★この話は、最近出版された高橋祥子さんの上記写真の書籍と類似した発想です。同書では、細胞接着をメタファーに組織の構造を考えるケースは載っていませんが、当然それも想定されているはずです。

★組織の結合を媒介するカドヘリンの役目とそれを阻害するカドヘリン抗体の関係は、組織結合と組織崩壊のメタファーに活用できます。中世は目に見える生物現象モデルで組織や人間関係、知性について語られてきました。

★それがマシーンモデルに代わってきたわけですが、現在では、遺伝子や細胞レベルの生物モデルで語れるようになってきました。

★理系に限らず生物という学問領域は重要になってきたわけです。

★生物モデルで社会を考える視点は、もちろん生物の授業時間で行うにはそれこそ物理的時間が足りないでしょう。「探究」という時間の意味はそこにこそあります。リアルな体験ばかりが重視されがちですが、数学モデルで社会や人間を考えるとか、言語モデルで考えるとか、AIモデルで考えるとか、倫理モデルで考えるとかなどなど、多角的視点のトレーニングの場として活用するというのもありですね。

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