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2021年3月 6日 (土)

GLICC Weekly EDU(25) 静かに変わる大学入試問題 思考型問題の構造は中学入試の思考力入試と同型。構成主義がゆえに。

★昨日、主宰の鈴木さんと対話しました。詳しくはぜひGLICC Weekly EDU 第20回「2021年大学入試問題を通して今後の大学進学準備教育について考える」をご覧ください。今年の一橋の帰国生入試の小論文のテーマから話しが始まりました。そして、このテーマが、一橋の今年の問題の特徴というより、もっと普遍的で、特に今回のパンデミックにおいて問い返されるテーマなのではないかと気づきました。そこで、早稲田や慶応大学、浜松医科大、一橋大学などの一般入試における論述型問題を見ながら、通奏低音であることを検証していくこととなりました。

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★一橋の帰国生入試の課題文は、上記の書から引用されていました。SNSの世界などでフェイクが横行し、分断が進んだここ数年の世界の動きを、個人の知の限界が生み出す誤謬の世界だから、コミュニティ(時代を超えて)に相互に切磋琢磨するコミュニティの知にもっと目をむけようという箇所でした。

★要約などの記述の問いが出題されたうえで、個人の知や知能が重視され、コミュニティの知が軽視されてきたのはなぜか、ケースを挙げながら自分のオピニオンを論述する問題が出題されていました。

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★この個人の知とコミュニティの知のジレンマという構造をいかにつかみ、構成するかということですが、これは慶応の環境政策でも同様でした。早稲田の政経でも同じでした。

★東京医科歯科大学や浜松医科大の実験や治療法を開発する論述も、ジレンマではないですが、矛盾が生じないように検証やモニタリングを実験や開発プロセスの中に求めていました。

★一般入試の限界もあり、ジレンマや矛盾を自分の体験から発見するプロセスは踏まないし、具体的な政策や開発の実効性など深く論述するところまではいっていないのですが、それでも、要約して終わりという問題を超えて考えるところまで求める傾向がでてきたわけです。

★早稲田の政治経済学部がそのような新しい動きを出したということは、たいへん意義のあることです。もちろん、そのような問題を出すというサンプル問題を何回か公開した結果、敬遠されて出願数が減ったということで、来年続けるかどうかは、注視するところではあります。

★もうひとつ、早稲田の政経における独自入試は総合型問題一本でしたから、課題文は日本語と英語でした。

★したがって、早稲田の政経の総合型問題は、一般入試において、今後言語はバイリンガル以上になり、思考力も個人の知からコミュニティ知にシフトし、ロジカル&クリティカルシンキングまで求められるようになってきたという傾向の象徴といえるでしょう。

★これは、中学入試においても同じことが起きています。

★今回一橋の出題した課題文を執筆したスローマンさんは認知科学者です。認知科学の特徴は、科学の最先端の知見も、専門家ばかりではなく子供も理解できる構成主義的な授業デザインができるということです。

★中学入試や大学入試も思考型の問題になると、そこに差があっては科学的とはいえないので、少し考えれば当たり前です。この思考のメカニズムを、今回は思考のサーキュレーションという図でまとめました。詳しくは今後また語っていきたいと思います。

★今月の末、大妻中野の教頭諸橋先生がご登壇されます。大妻中野は早稲田の政治経済の入試問題に先駆けて新しい英語や思考力入試問題を開発しています。New Power Schoolのリーダーシップを発揮しています。

★諸橋先生とは、その開発当初から語り合ってきました。大妻中野の教育が本質的だからこそ、この普遍的な思考型のあるいはコミュニティの知への動きと結びついているのでしょう。というよりも、牽引しているのでしょう。その本質的な教育について語り合えるのを楽しみにしております。

 

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