2021年中学入試情報(62)早稲田アカデミー・日能研・SAPIXからみる中学入試マーケットの変容③早稲アカの勢い
★早稲田アカデミーは、御三家だけではなくnew power school(前回述べたCタイプ、以降NPS)も射程に入れています。
★御三家といっても、それぞれ違いがあるように、NPSもそれぞれ違いがあります。かえつ有明と三田国際は、グローバルな環境も他と比べれば双璧です。英語率が高いという点ではインターコースを持っていないかえつ有明も帰国生が多いですね。オールアクティブラーニング(かえつはディープラーニングと呼び、三田国際はPBLと呼んでいます)という点では似ていますが、かえつは、U理論に基づき、三田国際は科学的PBLに基づいています。とくにかえつ有明は、ピーター・センゲ自身に薫陶を受けたメンバーがいて、世界的な広がりになるコンパッショネイト・システムシンキングを学内研修でも浸透させつつあります。それにかえつは、哲学授業が行われています。英語教師と社会科教師に哲学専門の授業ができる研究者がいるのです。一方、三田国際は理系に優れた研究者を迎え入れています。
★SAPIXは三田国際を認知する保護者が多いのでしょう。一方早稲田アカデミーはかえつも三田国際も認知する保護者がたくさんいます。日能研は、さらに聖学院と大妻中野という伝統と進歩主義を融和させたNPSも認知する保護者がたくさんいるわけです。PBLやグローバルな点ではかえつ有明や三田国際と同じように環境創りをしていますが、聖学院はプロテスタンティズムという価値を中心にしているし、大妻中野は創設者の理念をハイデッガー的に読み替えて価値づくりをしています。
★このように、いわゆる御三家を頂点とする偏差値ピラミッドだった中学受験マーケットが、NPSを欲する保護者が誕生することによって才能重視の中学入試マーケットへ変容しつつあります。
★そして3つの大手塾がこの動きを加速させることになりそうです。
★さらに、その加速の向こうに、今はまだほとんど知られちないラウンドスクエアスクールへの認知の広がりがあります。この領域は今のところ情報の日能研の独壇場です。この領域を切望している保護者を前回Eタイプと称しました。
★おもしろいことに、このEタイプの保護者を早稲田アカデミーもまたしっかりゲットしているということです。今のところ御三家メインの中学受験マーケットで優位なのはSAPIXです。そしてNPSが台頭してくる中学入試マーケットでは日能研が優位です。
★しかし、その両方のマーケットに目配りしているのは早稲田アカデミーです。
★塾の歴史もまた、他の業界と変わらず、栄枯盛衰は免れられません。すべては、マーケットがどのように変容するかです。つまり、マーケットに参加するプレイヤー次第です。
★プレイヤーも、塾の情報に誘導されるグループもあるし、自ら要望を訴えつくっていくグループもあります。このプレイヤーの心理にどう対応するか。SNSの時代ですから、ニーズのマイニングもまた変容するでしょう。
★特にZoomの普及で、後者のグループは勢いを増しています。当然この3つの大手塾以外のウネリもでてくるでしょう。そのウネリをつくるかどうかは、NPSのエネルギー次第です。つまりは、CタイプとEタイプと共感共振し、大きなエネルギーのウネリを生み出せるかですね。
★このエネルギーは、生徒1人ひとりの才能創発主義です。世界の動きは、間違いなくこのベクトルがうねっています。日本はどうなのでしょう。それを読み解くにも、首都圏中学入試マーケットは貴重なプロトタイプです。同世代人口の3%の動きなのに、世間の注目度が高いということがその証しでしょう。
★真理は、小さい領域に現れます。それを見出せる想像力と直観力がカギですね。早稲田アカデミーにはそういう想像力と直観力が豊かなスタッフがいるのかもしれません。
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