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2021年2月18日 (木)

大学入試問題とトランジション(01)早稲田大学国際教養の英語入試問題 PBL型トランジションモデルを引き出す

★今年の早稲田大学国際教養の英語の問題は、いい感じです。90分のReadingの問題も、パラグラフのトピック把握問題、単語のコンテクストの中での意味理解と類語の関係づけ問題、内容一致不一致問題がベースでした。文章の構造論と単語の意味論とファクトのアイデンティティ問題と置き換えられますから、受験テクニックというより言語のフレームや意味論、ファクトーオピニオンーコンセプトという英語を通して思考の枠組みをきちんと学ぶ不断の取り組みが大事だというコトですね。

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★テーマも、レゴ社をケースにソフトパーワー戦略について考察する文章、言語に関する文章、時間に関する文章という人生を考えるうえで興味深い題材になっています。これも、対話型の授業では、よく話題になるテーマです。

★また、60分のWritingの問題もおもしろかったですね。3題のうち1問目は、ベーシックインカムに関する60wordsくらいのパラグラフの英文を読んで、オピニオンを100wordsくらいで書くのですが、その際そのオピニオンをサポートする根拠も書くようにと条件づけられています。パラグラフライティングの問題です。

★2問目は、世界の平均寿命の推移グラフを見て、ファクトとグラフの信ぴょう性について書くクリティカルシンキングの問題でした。

★3問目は、<The Geography of Thought: How Asians and Westerners Think Differently...and Why 2004/5/8
Richard Nisbett Ph.D.>からの引用文章300wordsぐらいの短いものを読んで、日本語で要約する問題でした。ギリシアと中国のものの見方の違いは、社会的な実践行動の違いが反映していて、その違いの特徴を明快にまとめる問題でした。要約という、抽象化スキルは、思考の基本ですね。

★思考の対象やテーマも思考のフレームやスキルも、ふだんの主体的・対話的深い学びで対応できるようになっていました。英検2級くらいの力で、そのような学びを3年間積み上げてきたらできる問題ですが、その学びの背景の思考体験としての読書量やプロジェクト型体験はおそらく肝でしょう。

★要するに、机上の受験勉強というより、3年間の多様な経験をバックボーンとするPBL型の授業を経験して早稲田大学の国際教養に入学するトランジションモデルがやはり大事だということではないでしょうか。

★早稲田大学の国際教養は、日本の教育をPBLを背景としたトランジションモデルに転換させる契機になると思います。

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