2021年中学入試情報(65)工学院の祈るような気持ち CSTの流れの兆し。コンパッションシップ。
★昨夜、工学院の教務主任田中歩先生からメッセージが届きました。この間メッセージのやり取りをしていて、先生の3つのペルソナを感じました。2月5日でいったん中学入試は区切りをつけます。お疲れさまでしたといいたいところなのですが、受験生がまだ引き続き立ち臨んでいます。田中先生のマインドも緊張状態は続いています。
★毎年、工学院は、2月12日に入試をやる準備をしていて、首都圏の受験生の様子をみて、実施するかどうか判断します。今回もまた断行しました。今までは、どちらかというと、才能があるのに、偏差値という基準で学校選びをして、うまくいかなかった受験生のために実施していたという理由が大きかったと思います。
★しかし、昨年あたりから少しずつ12日入試の意味が変わってきたようです。田中歩先生は直接それについては語りませんが、やり取りの中で私がそう推理しているわけです。
★先ほど歩先生の3つのペルソナと言いましたが、一つは、経営ペルソナです。ここ数年、広報の仕方やネットワークの広げ方に目配りしてきました。ご自身でブログも書いて、メディアに共感してもらえるような表現も工夫してきました。もちろん、歩先生だけではなく、多くの先生や生徒が書き込んでいます。
★しかし、そういう流れを加藤先生と協力しながらアフォーダンス的にあるいは共感的に持続可能になる仕組みを創ってきました。その手ごたえを今年は感じたので、少し私もその過程にかかわりをつくっていただいていたので、速報メッセージを送っていただけたのだと思っています。
★それから、もう一つは、入試問題は学校の顔です。英語や思考力入試で、一部の教員が21世紀型教育のカリキュラムを反映するだけではなく、各教科の試験にも反映しなくてはなりません。しかし、ルールを決めて21世紀型教育的な入試問題をつくるようにしかけても、学内全体が共通意思を持たない限り、その質は安定しません。
★ところが、今年の入試問題は知識と深いい思考力型問題のバランスの安定性が整ったというメッセージが流れてきました。これで、学校全体の教育やカリキュラムをすべての入試問題に反映することができるという教務ペルソナを感じました。
★もちろん、この広報と教務のペルソナは、相乗効果が生まれます。教育の中身を広報するのであって、それがあって、インフラのすごさや行事や部活のおもしろさを共有できれば最強だからです。
★しかしながら、田中歩先生のリーダーがゆえの共感ペルソナという孤独があります。共感するのだから孤独ではないのですが、共感するがゆえに、痛みを受けとめ、しかしどうすることもできないという想いをかかえます。そして経営ペルソナは、そこの部分を今はおさえておけというわけですから、にっこり笑いながら、最前線において、そのことについて語り合うことはできません。
★そのことについては、野次馬的な人は、冷たいとかなるでしょう。でもいちいち今は言い訳はしません。にっこり笑って、励ます眼差しと祈ることしかできないわけです。それでなければ、リーダーは務まらないのです。
★このような田中歩先生の内側にある、そしてそれが表現されるわけですが、この表現のときに、その内側の3つのペルソナの葛藤を調整しなければなりません。弱みを言い合える組織だから強いというのは、自己変容論のセオリーですが、今回はその痛みをもっているのは、受験生なんです。このまだ仲間になる前の受験生と互いに痛みをどのように共有するのか。
★共有しているよと示せば、それはたんに自分の苦しさのガス抜きにしかなりません。そこは引き受けて、眼差しと祈りで見守る以外に痛みを引き受けることはできないのです。
★もちろん、それは現状です。解決することは漸次的には可能です。今歩先生とそこをどうするか、CSTコミュニティをどうするか、それは昨日和洋九段女子の記事でも少し触れましたが、このCSTコミュニティの流れを生み出していくしかないと今のところは思っています。
★歩先生のようなリーダー性を、この間神崎先生とチャット対話していて、気づきが降りてきて、コンパッションシップだと造語をつくりました。仲間との共感的コミュニケーションは、まだ仲間になる前の段階では、コンパションシップが必要なのだと。
★グローバルな活動をしている歩先生ならではのリーダー性を表す言葉だと思いますが、今後はますますこのコンパッションシップが必要になります。地球はone homeだからです。でも、今はまだまだその気持ちは世界で完全に広まってはいませんよね。共感的コミュニケーションの前にコンパッションシップが必要です。
★2月12日の入試の意味は、このコンパッションシップという新しい価値を共有する瞬間になると思います。受験生には最後まで立ち臨んで欲しいと思います。その立ち臨む体験こそが大事な糧になることを祈っています。
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