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2021年2月 2日 (火)

2021年中学入試情報(54)2021中学入試問題 大転換! パンデミックとクリエイティブクラスとデモクラシーとSDGsそしてコンパッションがテーマ そしてクリティカル&クリエイティブシンキング活用問題もいよいよ登場

★2021年中学入試の大まかな傾向が見えました。パンデミック史ともいえる傑出した社会の問題を出題したのは、渋谷教育学園渋谷です。また、同校は環境破壊と経済社会の関係も問うています。SDGs関連の問題といえましょう。

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(2021年中学入試問題を作成する教師の教養を示唆する書籍)

★環境に注目しているのはJGの国語も同じです。またJGの社会では社会保障関連の法制度の問題も出題しています。

★海城の社会もさすがです。一平グループの新しい流通及び新農業経済の創造を果たしたクリエイティブクラスについてと、その発想が口蹄疫というある意味パンデミックと同じ構造をもった被害から生まれたというストーリーを展開していました。大型記述も圧巻です。

★開成の社会も、北海道の状況やパーム油の問題について問うていました。これも気候変動やSDGs関連の問題です。パーム油に着目するのはさすがです。洗剤など日常であふれるほど使っていて、ボルネオなどの森林破壊をしていることに気づかない私たちへの警鐘でしょう。SDGsとは何かを通り越して、本質に迫る問いですね。

★武蔵の社会は相変わらずすばらしいですね。新聞とインターネット及びSNSの問題を、民主主義と絡めて問うています。論理的思考までという寸止めで問いを出していた武蔵も、満を持して推理的思考や批判的思考を使う問題を出題しています。

★フェリスは、わかるという認知心理学の記述でした。わかると好奇心の関係とそれに関する受験生の経験をしっかり記述させる問題です。自分の内面に生まれてくるエネルギーをとらえる内省的思考を大事にしていますね。クリティカル&クリエイティブシンキングをストレートに出題するフェリスの構えは不動です。

★開成の国語は、ルサンチマンと変革を嫌うサイレントキラーへの警鐘です。開成の中で生まれている変革と世の中のズレを暗示しているのでしょうか。

★桜蔭の国語では、自分の中の苦手意識や弱みに真摯に向き合って乗り越えていくという自己変容について問うていました。これは海城の国語も同様でしたし、ある意味麻布の国語も、弱みの共感こそコンパッションを生み出すというテーマが横たわり、時代の良心の声がシンクロしていました。

★麻布の理科は発電のメカニズムを問うているし、社会は食の問題を問うています。直接間接SDGsやパンデミックの話に関連しますが、いうまでもなく表層的な知識問題ではなく、深層を探っていく問いです。写真で紹介した書籍のテーマすべてを麻布は4教科で問うています。

★2021年の中学入試問題は、「パンデミックとクリエイティブクラスとデモクラシーとSDGsそしてコンパッション」のテーマを多面的に問うています。そして、今までは、適性検査型入試や思考力入試などの新タイプ入試で問うてきた「クリティカル&クリエイティブシンキング」をフル回転させるフカイイ問題の出題数が圧倒的に増えています。

★開成や麻布、海城などの理科や社会で、対話文が素材になっているのは、ある意味適性検査や共通テストを意識しているとも言えます。

★つまり、4教科入試で、適性検査や思考力入試型の問いを挿入し始めたのです。

★2021年中学入試は、本質的/根源的問いとそれに対応できるクリティカル&クリエイティブシンキングも要する問いが出題されたエポックとなったといえます。

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