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2021年2月 6日 (土)

キャリアガイダンスVol.436 自由の見えない枠組み

★キャリアガイダンスVol.436をいただきました。ありがとうございます。そして、いつも編集長山下真司さんの巻頭言の教養的レトリックには感心します。ある論者は「まじめで素直でおとなしい」いいじゃないか、やっちゃいなよ、失敗はこわんくないよ、やってみなはれ、枠を外してワクワクしようという路線。

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★一方でまじめというのは受け身だし、それを他者に求めるのもなんだかなあと同調圧力が生み出す「まじめで素直でおとなしい」という捉え方もあります。

★また、型にあてはめるのではなく、弱さと向き合える場づくりをと真摯な構えを披露する論者も。いろいろあってたしかによい「・・・」のです。

★探究や協働活動のプログラムでも随分創造力が前面にでているものが多く、キャリアガイダンスの価値の多様性が編集方針であることがわかります。

★しかしながら、ヴィトゲンシュタインのうさぎあひるのトリックアートを、いろいろあっても同じだよとみなす考え方に偏っているなあとふとよぎりましたが、読み進めると1人だけだったけど、いやいや同じものを違う価値観で変形させるのだよと語っている論も掲載されていました。

★実は、山下真司さんの巻頭言は「・・・」をどう読むかがポイントだよという結び方をしているのです。このさりげない省略という修辞学。実に破壊的です。

★「・・・」は、いろいろあってよいだから、たしかに、今述べたように多様な価値観があるのです。でも、一つだけ論じられない価値があるということは「・・・」で担保しておくよという暗号です。

★悪法も法であることを認めている法実証主義の世界に生きているのに枠なんか外せるの?その中で合意形成して多数決でなければ民主主義なの?

★そういうクリティカルシンカーを登場させられないからねという暗号です。悪法も法ですから「不快」は自由を制限できる可能性大なのです。

★それは、キャリアガイダンスという大きな枠があるからしかたがない。山下編集長は、そこをわかっていて「・・・」というレトリックを使ったのです。

★そんな根本問題、つまりゲーデルのダイアレクティカ解釈論議なんてできないよと論者たちがいったとしたら、それは元の木阿弥で、「わかんなーい」とかそんな屁理屈なんて聞けるかとなってしまい、それは自己言及パラドクスに陥るからですね。

★高校教育の罠。それを熟知しているからこそ、きちんと線引きしてという枠をつくって編集している。ラッセルやベイトソンのパラドクス解消のための論理階型理論を使っているのです。出版というのは、シェークスピアの時代からアンヴィバレンツ。このダブルバインドに陥らないように、また救い出すために編集長というのは存在する。改めて山下さんの言論の自由の守護神のごとき大きさと鋭い眼差しに感服しました。

★それと論者の方々が心理的安心安全を前提に語れるように環境を整える気遣いはさすがです。

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