2021年中学入試情報(27)工学院大学附属中高のふだんのPBL授業が共通テストとマッチングしている。
★工学院大学附属中学校・高等学校(以降「工学院」)の教務主任田中歩先生から、今のところ同日前年対比延べで172%、実人数148%だと連絡が入りました。風が吹いています。
★風が吹くという意味は、共感的コミュニケーションの振動が学内で共振し、その波動が外部のいろいろなところに広がっているということです。
★たとえば、同校は、日本初のケンブリッジイングリッシュスクールです。ケンブリッジ出版のテキストを使うのが原則ですが、テキストを購入して終わりではないのです。テキストは加盟校専用のWebにつながり、ケンブリッジ出版のプラットフォームを活用できるのです。リスニングやスピーキングの動画、ライティングに必要なマテリアルにアクセスして活用できます。それに教師のオンライン研修にも参加できます。
★デジタル教科書というより、情報の拡張性が半端ないということです。サイバースペースで4技能トレーニング環境にあるわけです。認定校になる準備段階から遡ると、この環境が6年前からあったということです。ですから、1人1台タブレットやノートPCが必要だったのです。
★当然、この環境を学ぶにはPBL授業でなければなりません。そして、同時並行で、全教科でPBLに挑戦していたので、英語だけの問題ではありませんでした。紆余曲折在りながら最終的にはグローバルプロジェクトというカタチにいわゆる修学旅行はシフトチェンジしたのです。
★このグローバルプロジェクトは、今回パンデミックによって、現地でフィールだワークが出来ませんでした。一年通して何度もプログラムを一からやり直し、リアルスペースとサイバースペースをオンラインでつなぎながら乗り切りました。現地にいけなかったのは非常に残念だったでしょうが、有志ではなく、学年全体が予測不能なパンデミックと行政政策の次々と変更される波の中で、乗り切るための生徒間の対話や議論は、共感的波動を学内にそして、現地の方々やコーディネーターとも共振していったのはいうまでもありません。
★そんな風が吹いている中、高3生は総合型選抜やつい先日大学入学共通テストに挑んだのです。そして、それぞれが終了するたびに、入試制度や問題を教務主任田中歩先生は情報収集・分析し、カリキュラムや授業、定期テストなどの有効性を検証しています。
★その一つの例として、英語の共通テストの分析をし、PBL授業と定期テスト、ケンブリッジ出版のテキストの総合的な有効性についての論考が同校サイトに掲載されています。こういうプロトタイプーリファインというPBL型の仕事をするのが田中歩先生の特徴です。
★いかに有効かが了解できる中身が大変興味深いのでぜひご覧ください。「工学院の英語教育×大学入学共通テスト」という記事がそれです。
★また、同校は、ラウンドスクエアという世界のエスタブリッシュな私立学校コミュニティの正式認定校です。このコミュニティで、工学院の生徒がもちろん英語で対話をし国を超えてPBLを行っています。ラウンドスクエアはIBの創設者の一人であるクルト・ハーンという偉大な教育者が旗揚げしたコミュニティです。
★彼自身が創設したゴードンストーンスクールは、世界の王室の子弟、各国の重鎮の子弟が入学するほどクオリティの高い教育とグローバルリーダーを育成する確かなプログラム、寛容性を養うサービスをメインとするアドベンチャー教育が実施されているノーブレス・オブリージュな学校です。年間の学費は1000万円です。
★工学院は、その10分の1の学費で、同じクオリティの教育が得られるという保証が正式認定校という意味です。このことに気づいている中学受験生が徐々に増え始めているわけで、それもまた風が吹いている状況を生んでいる理由の1つでしょう。
★インドやインドネシアでは、IBかラウンドスクエアの認定校が、あるいは両方認定されている学校かが富裕層家庭の選択の条件です。工学院の生徒はそのような海外のネットワークと結びついて学んでいけるのです。
★その具体的な対話や議論については、英語科主任の中川先生がいろいろなメディアから取材を受けています。今日も工学院の英語の教育全般について取材されている記事「電子図書館で洋書を読み、クラウドで小説を執筆。生徒の表現力を伸ばす英語教育×ICT」がYahooニュースでリンクされていました。ぜひご覧ください。
★この風はどんどん大きくなります。なぜなら、この風は共感的コミュニケーションから生まれているのですから。そして、そのコミュニケーションの言葉が、日本語でも英語でもないのです。New Languageなのです。この新しい言語を使っている学校は、今のところ10校くらいでしょう。IB校でもまだまだです。ラウンドスクエア校はすべてです。使っていなければ認定されないからです。これについては、今年の中学入試の動向を見ながら考えていきたいと思います。
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