2021年中学入試情報(31)神奈川エリアの帰国生の中学入試 応募者状況 未来の経済構造変容のヒント
★2021年1月22日現在(日能研倍率速報)で、概ね帰国生入試の応募者数は出そろってきました。ここで帰国生入試の前年と比較しておきましょう。リストは応募者数の多い順位並べています。
21応募 20応募 前年対比
洗足学園 214 226 94.7%
聖光学院 帰国生 145 165 87.9%
桐光学園男子部 帰国生 87 95 91.6%
法政大学第二 帰国生 80 86 93.0%
日本大学 帰国生 64 64 100.0%
逗子開成 帰国生 61 67 91.0%
公文国際学園 帰国生 47 42 111.9%
湘南白百合学園 帰国生 34 38 89.5%
森村学園 帰国生 32 39 82.1%
神奈川大学附属 帰国生 29 0
桐光学園女子部 帰国生 22 29 75.9%
清泉女学院 帰国生 19 23 82.6%
カリタス女子 帰国生 12 18 66.7%
青山学院横浜英和 帰国生 11 21 52.4%
日本女子大学附属 帰国 10 11 90.9%
関東学院 帰国生 8 15 53.3%
聖園女学院 帰国 7 3 233.3%
横須賀学院 帰国生 4 3 133.3%
聖セシリア女子 帰国生 4 2 200.0%
聖ヨゼフ学園 帰国生 3 6 50.0%
★洗足学園、聖光学院は例年通りたくさん集めています。しかしながら、前年対比は微減です。これは、帰国生の数全体が減少しているというわけではありません。首都圏の中学入試人口は、およそ50,000人です。これに対し、私の推計ですが、首都圏の帰国生の中学入試受験者は3000人ぐらいです。
★そこに、グローバルコースや国際生コース、インターナショナルコースなど、そこだけ注目すれば、御三家の教育以上の授業や学習環境を整え、そこから世界大学ランキング100位以内の大学に進学することができるということが、ここ2,3年で明らかになってきました。
★では、そのような生徒は東大にも入りやすいよねといわれるかもしれません。しかし、東大の入試制度と海外の入学制度は全然違うし、評価のシステムが違います。これがおもしろいことに、世界大学ランキング100位以内の東大と京大は、帰国生入試枠の生徒は、世界に通じる入学制度の互換性を利用できるのですが、一般受験生はできません。ここに一般受験生が海外大学を受ける壁があるのです。お金の問題もありますが、大学受験はまだまだ鎖国状態です。
★中学から帰国生入試で中高に入学した生徒は、一般クラスに入れば、東大に合格する生徒はたくさんいます。実際、御三家や洗足、聖光学院などは、帰国生入試で入ってきた生徒は特別な国際生対象のクラスがなかったり、あえてはいらなかったするので、一般受験をするクラスのメンバーの中に溶け込みます。
★東大に合格したときに、実は帰国生だったという話はあるあるなのです。しかしながら、国際生クラスやインターナショナルクラスに入った生徒は、日本の大学は、超難関私大か総合型選抜を受験するわけです。英語が圧倒的にできるので、このようなクラスを設定している学校は、御三家も驚く大学に入学する事態が生まれているのです。
★話が長くなりましたが、帰国生のパイは3,000人くらいです。そのパイを、そのような新しいグローバルコースを持った学校が新プレイヤーとして参入して、洗足や聖光学院と取り合うわけです。当然、老舗の学校の帰国生応募者が微減となるわけです。
★なおかつ神奈川エリアの小中高生の人口減は激しいわけです。それに加え、テレワークで、地方にビジネスの人口が移動するかと思いきや、結局ハイブリッドで、会社に近い方がよいわけだし、同時に仕事場のスペースは小さくなりますから、放っておくと不動産の値崩れが起こります。それに不動産は、2022年問題があって、30年前の改正緑地法をさらに改正しないと、都市圏で緑地の宅地が加速します。
★それゆえ、不動産の値崩れを防ぐために、都心のテレワークや多様なウイルス感染防止策を講じた新しいスペースが開発されます。ある意味江戸化するわけですね。生活と働き場所が同じになり、なおかつハイブリッド空間になるわけです。
★本社機能が東京都から移転しない限り、テレワークによる地方への移動は限定的で、むしろ都心に人口が集まってきてしまいます。電車通勤という密な状況を回避し、テレワークとリアルのハイブリッドの方が、合理的ということになるでしょう。
★帰国生のファミリーは、港区や世田谷区に集中することになります。実際、人口動態では、東京の23区は人口が集中します。東京の中でも埼玉や神奈川に近い多摩エリアは、人口減となります。
★したがって、帰国生の人数自体も神奈川エリアや多摩エリアは減るわけです。実際神奈川エリアの帰国生入試の総応募者数は、前年対比94%です。一方、東京は、前年対比140%です。
★しかしだからこそ、帰国生獲得のためのイノベーションがものすごい勢いで進みます。老舗の学校は、減少したといっても、一般生と同じ感覚ですから、全体では安泰なので、特別なことは行いません。もっとも、洗足と日本大学(日吉)は、きちんと帰国生のためのコースをつくています。今後も帰国生に人気の学校であり続けるでしょう。
★今はそれほど多くありませんが、聖ヨゼフ、聖セシリア、カリタス、清泉は、コースというより破格のグローバルプロジェクトを実施ていくでしょう。そして、都心の学校以上にオンライン授業や教育のイノベーションを起こしていくでしょう。不利な立地の条件を創意工夫次第で、乗り越えられるのが、教育の醍醐味です。この4校は、それを実現するイノベーションを起こせる学校です。
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