ノートルダム学院小学校 子供たちの瞬間瞬間の成長を気遣いかつ世界的視野を身につけ問題を解決するリーダーシップを育てるプロジェクトをデザインする教師で満ちている。
★ノートルダム学院小学校(以降「ND」と表記)のサイトを開くたびに感動しないではいられません。なぜなら、更新率が高く、開くたびに先生方の生徒を見守る温かい眼差しと才能があふれでる授業が展開されている様子が手に取るようにわかるからです。そして、校長原山稔郎先生が毎週のようにブログを更新していて、世界の痛みをシェアし、その痛みを解消するサーバーントリーダーとして目の前の生徒が成長してくれるように祈る心が伝わってくるからです。
★先日、NDの先生方とZoom対話をしました。いつもは、リアルな空間で行うのですが、今回は再度緊急事態宣言が発令されたために、サイバースペースで行うことになりました。リアルなスペースだと、peer-think-shareやディスカッション、ポストイット・マインドマップ、カテゴライズ、パターンランゲージの活用など、個人ワークとペアワーク、グループワークや多様なツールを使い変幻自在に動きながら気づきを生み出していくのですが、サイバースペースだと、その身体の動きは制約されます。
★しかし、リアルスペースであれ、サイバースペースであれ、再重要なコトは、<対話>です。
★そういう意味では、全く問題がありませんでした。NDサイトにあふれ出ている先生方の<対話>のエネルギーが、Zoom対話でもいかんなく発揮されていたのです。
★<対話>をするとき、斜めからみる皮肉屋(cynic)がいないのが、ND学院小学校の特徴です。cynicとcritical thinkingの区別がしっかりできているので、内省(振り返り)と改善がスムーズに循環します。先生方のこの姿勢がロールモデルエフェクトとして生徒の成長に大きな影響を与えるのは、火を見るより明らかです。すばらしいチームですね。
★今回は、高野先生の日本史の授業の振り返りを先生方としました。貴族の世界から平家が台頭し武家の社会が生まれ、鎌倉時代に移行していく歴史の話をストーリーテリングというアクティビティで授業は展開されたということです。
★生徒は、高野先生のストーリを聴きながら、個人ワークと対話をしながら、「天皇観」「貴族観」「武士観」を仮説を立て推理していきます。ファクトのノートテイキングというより、自分の考え方をそのつど書き換え更新していくという思考の試行錯誤の軌跡をノートにするわけですね。
★目的は「あなたなら、天皇、貴族、武士のどの立場で、国を治めるか?」というプロジェクトだったようです。
★ファクトとオピニオンを縦糸と横糸で編んでいく授業です。生徒は、いつの間にかその時代にタイムトラベラーとして参加したかのように感じたことでしょう。「自分ゴト」という言葉がありますが、歴史に自分自身がかかわっていく主体性が生まれてくる巧みな仕掛けだと思います。
★しかし、高野先生は、自己内省をし、ストーリーの話をする時間が長くなりすぎて、結局講義型の授業になってしまっていて、インプット型の授業ではないかと。どう改善したらよいだろうと、自分なりにモニタリングして、仲間の先生方に相談をもちかけました。
★すると、同僚の先生方は、「ノートルダムの歴史を学んだ小学生が、誇りを持って小学校に通えるのと同じように、日本に住んでいること、文化、魅力ある人物を誇りに思えるようになれるような授業でしたよ!」「歴史上の人物を知る、生活、文化、自分の国を知る、そして自分の国のことを語れるようになる!なんか国際人への第一歩へとつながるきっかけが生まれるような気がしました。テーマを持っての意見交流、気付き合い、学び合いができるのは、意外と難しい。それなのにやってのけているのだからすごいよ」「広報を考えていく中で、どうしてもキーワードが<未来を生きる>になってしまうんですが、過去の時代にいながら未来社会を考えるしかけができていて感動しました。このような授業を実施していることをもっと広報したいと。ありがとう!」「社会というと、知識を詰め込むものだと思いがちな子どもたちに、歴史のストーリーを教えてあげることで、よりおもしろく、歴史が好きになれると思いましたよ」と、エールが贈られました。
★高野先生と同じ社会を担当している一柳先生も、終始高野先生をサポートしながら「学んだことを土台にして、具体的な事象に対する解決策を考え、発表できる授業だと思う」と互いに社会科の授業の価値を確認し合っていました。
★このような同僚にようるエンパワーメントフィードバックができるのはすてきです。もっとこうしろという対話ではなく、自分たちはこのようなことに気づいたよと分かち合いができるオープンなマインドは、共感的な対話ができる組織だということを示唆しています。
★そして、高野先生は「ストーリテリングと知識を講義するということは実は違っていたのだということに気づかされました。ある意味コペルニクス的転回です。ストーリーテリングは講義というよりアクティビティという意味でとられ返せばよいのですね!」と。
★そして、国語の先生とも、物語を創作するワークショップはぜひ横断的にやりましょうと。生徒もストリーテラーになることは、もっと主体的になることですよねと。
★高野先生は、神先先生が、理科でも実験や作業はするけれど、高野先生のストーリーテリングと生徒が自分の考えを更新していく作業は、同じ意味があると思いますというフィードバックに、そう気づいたということでした。
★私も、先生方と対話して、上記のような図が思い浮かびました。まさにこれぞプロジェクト学習だなと感じ入りました。ありがとうございました。
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