GLICC Weekly EDU(14) 受験勉強の才能創出自己変容型学びは中学受験でも可能です。
★今年度は、GLICCで小学校3生から小5まで、クリエイティブコースをいっしょに創る機会をいただきました。ありがとうございます。保護者の方ははらはらしながらワークショップ型の授業をご覧になっていたと思います。ケアのために、対話をしたり、保護者の方も交えてのワークショップを行ったりしました。
★基本テキストはインターネットの記事、写真、動画すべてです。そこから抽出して一応はテキストはオリジナルとしてつくります。でも、素材は、すべてWebです。SDGsやエコロジーの話なんか、Webの中に山ほど、あります。水が重要だ、雪が気になるとなったら、水の分子やそこから雪の結晶が六角形になる仕組みなんかはWebの中にわんさかあります。水の分子の変態のミクロ様子なんかリアルには経験できません。
★ただ、見ているだけではありません。経験が大事ですよね。ですから、教室で行うのでは疑似体験で、実際には、たとえばスキーしたことあるリアルな経験を聴きながら、イメージを共有しながら行う対話が一番大事です。家庭や学校で行うリアルな経験をどう授業でむずび付けるか。それにはネットは本当に有効です。
★しかも、なぜかGLICCには帰国生や英語体験者が多いので、海外の動画を見て共有できます。
★大事なことは、見たこと聴いたことから気づいたことをスピーチすることですね。毎回1分間スピーチはするので、今では当たり前です。最初の内は照れたり、気分が悪い時は嫌だと。フーンそうなのかあ、でも、Webがいいのは、嫌だという生徒の好きな動画をチョイスしてみんなで共有するコトができる点ですね。ちゃんと1分間スピーチしますよね。話したくなるわけですから。
★こうして仲間の話を聞いたりフィードバックしたりという学びのアクティビティが形成され、<Do Now>になれば、時間をかけずにできるようになります。今では、1分ねとか2分ねとか3分ねで、スピーチの準備をしたりできます。
★最近では体験入学の生徒も参加しするようになりましたが、いつもの生徒に要領を説明してもらいますから、私は、いいね、ありがとう、天才といっていればよいわけです。
★最初は、本間さんは、いいねをいいすぎる、天才っていいすぎると思われていたようです。学校の先生とのワークショップもそうです。でも、今では、たいていい、いいねも、すごいも、天才、すばらしいを言わないと、何かありましたかと言われるようなコミュニティになっています。
★1年前は、ただただ長い文章を読んで、読めない漢字を読めるようにする「ノック&ノック」はやりましたが、書き取りはいっさいやりませんでした。あとは、トピクやテーマをスピーチするということをやりました。宿題はないのですか?ということで、最初は、漢字を読み方つきで並べておいたので、見てきてくださいと。
★あとは好きな本を読んでくれればいいですよでした。強制されて読むことぐらい好きから遠くなりますから。そのうち、たいていの文章は読めるようになりました。新聞くらいは読めればまずよいかなという感じで文章は選んでいきました。
★ときどき入試もにもやっみて、意外とできるねと確認したところで、子供たち自身がスピーチや読むことに抵抗がないなあと感じられる頃、漫画と物語を一冊ずつ毎月プレゼントしました。宿題ではないから、積読で良いよと。でも、漫画はすぐに読んでいましたね。
★ドラえもんやスヌーピー、コボちゃんのときもありました。実は、授業で、四コマ漫画を見て、心情変化分析グラフや、オチの効果をNU BOARDなどで描いてもらい、これも1分間スピーチをやりました。そのあとで、5000字くらいの物語を読み、同じように心情分析グラフを描いて、テーマについてスピーチということを続けました。
★物語の方はすぐに読む子供もいたし、読まない子もいました。ところが、星の王子さまは、徐々にみんながよみました。授業では、星の王子さまについての評論文を読んで、子供とは何か振り返りました。当然難しいので、こどもとのための哲学という本も合わせて読みました。
★子供って何?自分って何?自分の顔は自分で見ることができない。どうしたらよい?とか。小4小5の子どもたちは、ちゃんと没入して考えるのです。正解かどうかはあまり問題ではないのです。言いたくなったことをスピーチすることですね。それを大切にしました。5年生は、互いにフィードバックし合う姿勢がでてきました。4年生もそうですね。
★さて、保護者といっしょのワークショップ。ワークショップと言っても、親と子と私の3人で、やりました。日曜日に各家庭90分くらいとって、順々にやりました。3週間続きました。自分の顔は自分で見ることはできません。それは保護者が自分の子どもの顔を見えないのと同じですね。
★天才ですよ〇〇ちゃんはといっても、不安なわけです。ですから、論理パズルと物語の心情分析や13フェーズの構造分析をレゴでやるのをいっしょにやりもしました。目の前で自分の子どものいつもは見たことのない考える姿やスピーチする表情をみて、天才でしょうというと、ですねとなるのは当然です。井庭崇教授作成のLearning Patternsのカードで、自分の学びの特徴を説明し、今後どうするか並べてもらいプレゼンもしてもらいました。
★5年生の生徒が、模擬試験に挑戦して、漢字以外はできたけど漢字が書けなかったあ!と言ってきました。、でどうする?と聞くとやるよとなります。4年生もその姿をみて、やっぱ避けることはできないなあと。で、毎回8個くらい漢字を練習する宿題を出すことにしています。600語くらい書けるようになれば、あおはなんとかなるので、軽くやっています。
★毎回、8個の中から5個出しますが、練習してこない生徒もいるので、3分間準備時間をとります。でもたいてい、どの漢字出すのと聞かれます。間違いやすいのはどれだと思う?とか、この熟語は生態系関連だなあとか、ドラえもん的にはとか語りながら、出していきます。NU BOARDに書いてもらいます。はっきりくっきり大きく書かなければなりませんから、便利です。3分間で覚えるわけですね。
★漢字の読み書きも、子供たちが興味をもっている文脈に関連付ける対話ができます。
★そうそう、スピーチができるようになった段階で、話した内容を書けばよいのだとして、100字記述を毎回出すようになりました。A4の大きさの100字専用の原稿用紙を使います。私の視力が弱いということおありますが、ふにゃふちゃした文字も、書いていくうちに読めるようなカタチに成長していきます。
★半年くらい前に、抽象的には書けるのだけれど、それ以上書けないという子供がいたので、この原稿用紙を使いました。1枚は書けるじゃないかとすごいねといっているうちに、1枚では足りないということになります。2枚書きたいと。3枚書きたいと、4枚書きたいと。
★達成感があるということがわかりました。何せ複数枚書くのですから。今では、4年生は、毎回論理パズルと1分間スピーチと100字記述を3問くらいと200字記述を行っています。漢字の確認ももちろんやっています。 5年生は、論理パズルと子ども同士のフィードバックタイムと200字記述が中心です。4年生は物語の続きはやりますが、5年生は13のフェーズを使ってショートショートを創作したいというので、もうワードを使っています。漢字の書き取りは、いずれまたまとめてやります。もう彼らは物語創作で、言葉の選択を考えるようになっていますから大丈夫です。
★こうして対話をしていくと、そろそろきちんと事実と意見、ファクト・オピニオンを意識しようかということになります。フィードバックする時に、意見はよいけれど、事実はなんか違うんじゃないということになってきたからです。
★というわけで、昨年末から、ファクトとオピニオンについて語り合うことにしました。上記の図のような両者のバランスのパターンを提示し、キャラクターについて語ってもらいます。そして、それぞれのパタンのキャラの組み合わせを6通りつくり、それぞれのコミュニケションや人間関係がどうなるのか推理してもらいます。
★小4は、全員英語が堪能なので、英語のファクトとオピニオンの解説動画を共有しました。主観とか客観とか日本語はわからないけれど、英語だとピンと来るのだというからおもしろいですね。そんなわけで、このシートに関してはいろいろみんな語ります。サッカーをやっている子供は、チームづくりについて語ってくれたりします。
★小5は、この主観と客観の分け方が怪しいし、事実といっても事実とは何?とか鋭い哲学的な問いを投げかけてきます。物語を創作しているので、キャラ設定で、不安な自己キャラも登場するので、そこらへんはクリティカルシンキングを発動するようです。
★鬼滅の刃について論じる子供とエヴァンゲリオンについて語る子供と多様です。ですから、このセパレートはいただけないと。子供のための哲学なんて本をシェアしてしまうと、そういうことになるのだなあと。おもしろいのだけれど、一般的な考え方を知ってもらうのも大切なので、「通説」というキーワードを出してみました。「通説」を前提に仮説を立てて、現象や状況とズレがでてきたときに、考え直すでいいかいと。それならよいですよと。
★体験の子どもが参加した時、ちゃんと通説に従ったファクトとオピニオンを説明してくれました。こうして、ファクト、オピニオンというキーワードを使ってスピーチや記述を使い分けしながらアウトプットすることも<Do Now>アクティビティになったのです。
★もう彼らは、いわゆる国語の入試問題は、6年になってから過去問の分析を自分でしながら戦略を立てて攻略できるので、そこは心配していません。マテリアルはインターネットと本。リアルな経験。これらを対話とライティングでつないでいくことで、言語的な才能はどんどん豊かになっていくのだと思います。
★緊急事態宣言下の今はオンライン授業ですが、少人数ですから、「対話」が中心なのは全く変わりはありません。というよりも、「対話」が日常になっていたので、Zoomでもライブ感はなんとか保てます。映像共有はやりやすいし、マテリアルの活用ツールとしてはZoomはなかなかいいですね。
★小5は、ワードとNU Boardのミックスです。ワードは、互いに共有してフィードバックをするのに、視覚でも確認しながらできるので、便利です。そのうち、PPTかキーノートでやりとりすると思います。
★基本、私が先生方とワークショップを行う時も、同じやり方です。結局、才能創出自己変容型ダイアローグこそが大切だということなのだと実感する今日このごろです。
★そうそう、入試問題を子供たちが分析できるようになるということは、入試問題分析をリサーチに置換えればよいと思っています。文献の整理方法は、小学生の段階では物語の構造分析と文化人類学的手法でいけると思います。中高になると、数学的思考分析とサイエンス的な思考も必要です。とはいえ、小学生も簡単な統計的な分析視点はグラフのファクト・オピニオン記述では取り入れています。割合を使ったり、比で換算して置き換えるという操作は必要です。
★グラフの上下を、最初は増えている減っているというスピーチをしていますが、数字を使って再編集してとやり直してみてよと頼むと、数値を使うチャレンジをします。すると、減り具合の深刻さがピンときてプレゼンしている自分が驚いています。
★この間は、今2カ月にわたって読んでいる本が「はてしない物語」ですから、心理学者が分析した論考を読みました。もっとも、読解ではなく、それをマテリアルに使うだけです。バスチアンのキャラ分析をしている箇所があったので、どうしてミヒャエル・エンデは、そんなキャラを設定したの?と問いました。100字で書くのですが、3分で書いてきます。途中で、もう少しというので、じゃああと1分と。ストップウオッチが鳴るので、必死に書きながら考えます。そう書きながら考えるんですね。
★成長とのギャップが分かりやすく伝わるとか共感を生みやすいキャラで、読者を引き込めそうだとかいろいろ書いていました。作者の編集を読み解く視点が13フェーズ分析なので、今やたいしたものです。
★子供たちの才能創出が自己生成的である対話環境であるかどうか、鈴木さんや同僚と対話しながら検証していきたいと思います。
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