工学院Z世代の未来の開き方(02)仲野想太郎さんと郷野翔太郎さん②
「工学院Z世代の未来の開き方(01)仲野想太郎さんと郷野翔太郎さん①」のつづき
★田中歩先生とは、ハイブリッドPBL、CLIL、思考コード、プロトタイプーリファイン、共感的コミュニケーション、Growth Mindset、GRIT、生徒中心主義、置換スキルなどのことばは、いつもシェアしています。仲野さんと郷野さんの6年間の工学院の生活は、田中歩先生が生徒と共にこれらの気づきと発見と開発をすることによって、生徒といっしょに実装してきた学びです。<共に>というのがとにかくキーワードだと思います。
★田中歩先生との対話は、心理学的でも哲学的でもありません。もちろん、そういう話にもなりますが、それはあくまでも客観的な情報や知識として活用されるにすぎません。生徒中心主義=生徒の生きざまと教師の生き様の共創=多様な経験のPBLデザインを生み出す理由のシェア=いまここで生まれる未来を共にゲットする=いまここでその未来を創る=学びは人生の準備ではなく人生そのもののプロトタイプ=etc.と次々と置き換えていく対話です。毎回新しい気づきがある対話ですね。
★それは、生徒とだけではなく、教師とのやりとりでも同じです。ですから、田中歩先生の対話は高感度な共感的コミュニケーションなのだと私は思っています。生徒といっしょに経験することで、新しいものを見出すわけですが、なぜ気づくか?それは他の人では気づかないつながりを見つけるということでしょう。つなげるとは、「置換」スキルを発動するということです。
★差異があるということを意識するがゆえに、そこに共通点を見出す「置換」スキルを発動させるわけです。アリストテレスは、ミメーシスと言っていますが、欧米のリベラルアーツの重要なキーコンセプトです。ただ、科学が発展して、マシーンモデルが浸透した時、この概念は欲望資本主義からは排除されかかりました。決められた体系以上でも以下でもない。余計な「置換」をするなというのが、デューイが闘ったヘルバルト主義という20世紀教育です。
★しかし、この固定された体系は、はじめは合理的で効率が良かったのですが、みなさんもご承知のように、というかいままさにパンデミックで身に染みてわかっているように、大きなゆがみや亀裂、分断を生み出し、SDGsの運動をおこさなければならないほどの情況を生み出したのです。
★1972年からその警鐘は鳴らされ、デューイ・ルネサンスが、現代思想の中でネオ・プラグマティズムとしてウネリ始めます。しかしながら、教育の世界ではなかなかウネリませんでした。しかし、2011年3月11日を契機に、21世紀型教育を標榜してPBLを教科学習の中に取り入れるという挑戦と創造と貢献を旗に掲げた学校がありました。その先鋭的な学校の1つが工学院大学附属であり、仲野さんと郷野さんは、その流れの1期生だったのです。
★そして、田中歩先生は21世紀型教育を標榜する仲間の学校とパートナーシップを生み出しながら、学内外のリーダーシップを発揮していくわけです。そして、世界同時的にデューイに影響をうけた多くの人々のPBLがさく裂しはじめたのも、田中歩先生方の活動とシンクロしています。グローバルな動きをすることによって、田中歩先生は身をもってそのことを感じていきます。
★この6年間は、グローバル・リセットのウネリだったわけですが、教育という領域で、あるいは教育の領域を超えて、牽引した動きをしていた学校の1つが工学院なわけだし、それゆえ仲野さんと郷野さんは、この時代を切り拓くまさにモデルなわけです。
★総合型選抜に挑戦してクリアしてきた二人のポートフォリオは実に重要な意味があるわけです。(つづく)
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