聖パウロ学園の保健体育 ポストコロナ時代に大切な役割を担う
★先日、聖パウロ学園の廣瀨先生の保健の授業を拝見しました。ちょうど感染症と免疫がテーマの講義が行われていました。3密を避けるために、いつものペアワークやディスカッションはできません。そこで、興味と関心を生徒1人ひとりの内面に生み出すために、ストーリーテリングというアクティビティで授業を展開していました。
★今回のパンデミックの感染拡大状況をグラフなどのデータの読み取りで復習しながら、今後ワクチンによって新たな感染防止策が現実化しそうなので、「免疫」のシステムにストーリーは移行していきました。
★そこで、驚いたことに、5種類の免疫を5レンジャーのそれぞれのキャラクターに置換えて物語を話していったのです。生徒の反応はもちろん上々です。また、免疫を漫画で解説している本からもエピソードを挿入するような展開で物語っていました。
★また、感染症や免疫について自分ゴトとしてとらえる仕掛けとして、「現代免疫低下リスクチェック」で、リフレクションするシーンもありました。緊急事態宣言が再び出ている中で、授業でディスカッションができないのは、もどかしいところだと廣瀨先生は語ります。
★しかし、生徒は、グラフと言葉を置き換えたり、物語というメタファーで免疫システムを学んだり、論理的思考力をフル回転させていました。またリフレクションシートではクリティカルシンキングも養っていました。
★保健の授業こそ思考力を大転回させることになるのだと改めて気づき、感動しました。
★そして、保健のテーマが、公衆衛生やヘルスの問題などSDGsにも直結していることにとても重要な学びがここにはあると感じました。
★それは、聖パウロのMFO=Men for Othersという精神と各教科の知を生徒1人ひとりが、自らの身体と脳神経と循環システムによってつないでいるという重要な学びのコーディネートを行ているということではないかと。
★また、ポストコロナの時代は、医療従事者をサポートする役割も免許に盛り込まれたりするのではないだろうかとかスポーツトレーナーやスポーツカウンセラーなど幅広い仕事が保健体育教師に望まれるようになるかもしれないと思ったりもしました。フィジカル、ソーシャル、メンタルという3側面をつなぐ医療的サポートの資格が保健体育科の先生方に求められるような気がしました。
★負担ということではなく、それだけ重要な科目だということです。
★実際、他教科とのコラボレーションもできそうです。授業終了後、廣瀨先生と対話をする中で、次のようなつながりが広がるという話になりました。すてきですね。
❶免疫システムをキャラ化し物語に置換えている→国語科と連携できる。
➋免疫システム→理科と数学と連携できる。システム連関図や統計データなどで。
➌多様なスキル→視野を広げ探究へのきっかけづくりになっている。→探究やキャリアデザイン教育につながる。
❹感染症を通して自分の問題、社会の問題への気づきを生み出せる。→キャリアデザイン教育につながる。
➎保健体育自体の価値→実技と連携させ非認知能力のベース(=ソーシャル×メンタル×ヘルスサイエンス)を身につけることができる。
★聖パウロ学園の近隣には東京薬科や北里など医療関連の研究ができる大学もあります。実際そこへ進む生徒もいます。その動機付けは理科だけではなく、保健体育科の授業が大きな影響を与えているということも理解できました。
★教育というのは、実に奥が深い。そして、他教科間で、コラボのための対話ができる聖パウロのチーミングは、他の学校ではなかなか得難い大切なものだと感じ入りました。廣瀬先生、多くの気づきをありがとうございました。
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