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2021年1月11日 (月)

Fresh Service合同会社 CEO五十嵐健太さん 多様なペルソナとのかかわりが未来を生み出す(4)アイデアのレベルが違う

「Fresh Service合同会社 CEO五十嵐健太さん 多様なペルソナとのかかわりが未来を生み出す(3)アップデートを続ける新しい組織を創る」のつづき。

★五十嵐健太さんは、多様なペルソナを有しています。それゆえ、五十嵐さんの学びに対する理論は、ハワード・ガードナー教授のMI(多重知能)理論とシンクロするのでしょう。Fresh Service合同会社のパートナーズのインターンシップにもその理論は一貫しています。そして、聖学院の高1生でもありますから、同校の行事にも積極的に主体的にかかわります。がしかし、その主体性の意味がやはり一般の高校生とは違います。

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★聖学院の他の追随を許さない、海城の特別校長補佐中田先生をうならせるほどのタイの研修にも五十嵐さんは当然のごとく参加するわけです。メーコック財団(聖学院の前校長戸邊先生が創設者)の施設のキャパはそれほ大きくありませんから、希望者殺到する中、座長の伊藤豊教頭は頭を悩ませながら調整しながら参加者を決めます。そのくらい人気のプログラムです。

★そして、帰国後、毎年1年かけて振り返りの書を編集発刊します。最初のころは感想や気づきだったと記憶していますが、今や参加したメンバーが気づいたことをさらにリサーチし探究してエッセイライティング級のレポートにします。かなり読みごたえがあり、今年のダボス会議の強欲資本主義からステークホルダー資本主義へというテーマを先取りする経済システムのアイデアを展開する生徒もいます。

★もちろん、五十嵐さんもその一人です。ただ、五十嵐さんの場合は、アイデア段階でとまらずに、実装段階にまでしてしまうのが多様なペルソナの持ち主であることの証です。

★伊藤先生は、編集段階で、生徒が書いてきたレポートをそのまま載せるわけではないでしょう。出版するわけですから、生徒と協働編集となるわけです。ビブリオやエビデンスのないアイデアではだめで、そこはしっかり「指導」するのだと思います。

★「指導」というのは、五十嵐さんの存在がなければ、あえて触れる必要のない当然のことですよね。高校生なのですから。学校の行事の一環として参加するわけですから、教育とか指導の枠があるのは当たり前です。

★その枠が、伊藤教頭のようにデカイキャパだとなおさら、教育とか指導というのは背景に退いて見えなくなります。それゆアイデアが自由に生まれてくるのです。

★五十嵐さんも、その広い枠の中でアイデアを自由闊達に生み出します。高校生なら、その段階でもう十分な主体性を発揮しているわけです。しかしながら、五十嵐さんはさらにその枠も突き抜けてしまいます。

★今回は、タイ研修で教育の重要性を痛いほど感じ、中でも教師不足の問題をいかに解決するかという自問自答をしました。そして、そこはロボと教師やオンライン学習というテクノロジーで突破しようと論を展開しています。

★五十嵐さんがタイ研修に参加したのは今回のパンデミックが広まる直前でした。ですから、そのアイデアは、数カ月後には実現してしまいます。しかし、レポート編集段階では、伊藤先生と何度も議論したそうです。

★おそらく伊藤先生としては、その実現性のエビデンスを歴史や文化で述べてもまだやってきていないソサイエティ―5.0の成就段階の話で、仮定の立て方をもっと堅固にしようということだったと思います。

★ところが、五十嵐さんは、高校生というペルソナと起業家というペルソナを持っています。高校生というペルソナでは、すでにある既存の事実やデータに基づいて仮説を立てていく演繹法(インダクション)と帰納法(デダクション)で十分だったわけです。

★しかし、起業家というペルソナは、今目の前の困っている人々のために今すぐに動き、経済活動を通じて何ができるかという仮説を立てる必要があります。それはある意味賭けです。今までに何かがないから困っているわけで、過去のデータや蓄積だけでは生まれてきません。それを見出すのは、閃きや直観です。「アブダクション」という今までにないものまでも推理する論理が必要になります。

★この論理はプラグマティストらが使う論理です。デューイやガードナー教授はこれをうまく使うわけです。しかし、当然ヘルバルト主義という20世紀教育の土台は、それをはねのけます。彼らはそれと攻防し続けてきました。それがテクノロジーによって、今突き抜けられてしまったのです。実はその21世紀型教育の旗艦校の1つが聖学院ですが、五十嵐さんの起業家というペルソナは、そこからさらに先に行ってしまいます。

★21世紀型教育のリーダー伊藤先生だからこそ五十嵐さんの起業家精神をリスペクトしながらその才能=タラントに気づき、抑えつけなかったのでしょう。もっとも仮に抑えつけたとしても、五十嵐さんは逆にそれをバネにしたでしょう。

★それに、結果的に五十嵐さんの預言はあたってしまったのです。聖学院はタイ研修終了3か月後にはパンデミック拡大に対応すべくすばやくオンライン学習にシフトしたのですから。

★とにかく、起業家とアクティビストの違いはこれですね。あくまで、経済を通していまここで解決策を実行して、結果的に世界が変わればよいというのが起業家です。アクティビストは、いまここで解決するアイデアが即世界を変えることになるはずだという強い信念を社会にぶつけていきますね。

★どちらもありだとするのは起業家だし、なまぬるいいまここで世界を変えるのだと立ち臨むのがアクティビストです。

★いずれにしても、五十嵐さんは、教師のみならず、未来を生み出す人材の不足を解決するためにFresh Service合同会社のパートナーズと経済活動を生み出しているのでしょう。

★現在、高校生Z世代は、起業家とアクティビストの両方を生み出しています。2022年には18歳成人の誕生です。高校生という枠で教育する時代は終わりを告げる時代がやってきてしまいました。

★五十嵐さんは、聖学院と共に、その最前線で活躍しているのです。

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