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2021年1月27日 (水)

品川翔英 期待値を超える(02)ノブレス・オブリージュ

前回「品川翔英 期待値を超える(01)はじめに」のつづき。

★ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)。品川翔英のモットーです。高貴と引き受ける行為が重なっている言葉ですね。3人の高1の生徒のみなさんと出会って、すぐにこの言葉を思い浮かべました。100分近い対話を貫く通奏低音でもありました。田中幸司先生は、毎月対話していますが、村上先生と3人の生徒の皆さんとは初対面です。さて、どうしようかと。だいたい私のは無手勝流の対話手法なので、雑談からはいりました。

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★Zoomだと気持ちの反応がわからないとよく言われます。たしかにそうなんですが、今回はそんなことは全くありませんでした。なぜならめちゃくちゃ表情が豊かなみなさんだったからです。真剣に語る時の表情、静かに微笑む表情、自分の考えを魅せる表情、表情と表現内容がDNAのように符合していました。

★あとで、語ることになると思いますが、「期待値を超える」という品川翔英の信念があります。村上先生の大好きな構えでもあります。Zoomの社会通念をいきなり超えてくれるのですから凄いですよね。

★さて、雑談の中で、今日参加して頂いている先生と皆さんのかかわりは?とたずねると、村上先生とは授業や様々なところで接点はあるけれど、田中先生は直接は接点はないんですと。雑談ですから、そこで終わって全然構わなかったのに、田中先生はふだん授業などで、接することはないですが、改革委員会の1人です。村上先生もそうなのです。何か意志を感じますよね。そんな教師の人事についてみんなとシェアしている学校なのと尋ねると、学校のサイトで公開されていますから、閲覧しましたと。

★私は、学校のことにこんなに関心があるとはと内心ハッとしました。が、話は急がず、ゆっくり順番に聴いていきました。基本少人数なので、<グルグル>という対話アクティビティを挿入してみました。

★すると、こんな話もしてくれました。田中先生とは、学校説明会でお会いする機会があります。そんなときに声をかけてくれます。温かい気持ちが伝わってくる先生ですと。そんな目配り気配りができるのとこれまた驚きでした。

★さらに、いやあ本当にかかわりがないんですと語るメンバーもいました。<グルグル>というアクティビティは、聴く姿勢、待つ姿勢が行っているうちにマインドセットされる場の力があるんですが、話せない時、もちろんサポートに入ります。しかし、今回はその必要は全くなかったのです。しばしの沈思黙考のあと、こう語ってくれました。でも、今こうしてみんなの話を聞いていて、心温かい先生だと感じましたと。

★いまここでかかわりをもった参加者をリスオペクトする高邁な精神と場に参加したのだから対話を引き受けた以上、自分の気持ちや考えを素直に表現するのだという構えが伝わってきた瞬間でした。ノブレス・オブリージュの調べが響いたのです。

★村上先生に関しては、授業やクラス活動で毎日かかわっていることもあり、みなストレートに語ってくれました。とにかく授業の仕方や語り方が活力あるのです。言葉も、たたきつけるように語るのです。ああ、悪い意味ではありません。衝撃的に頭に入ってくるのですと。そう話している時の目の輝きと白い歯がキラッとしていて、すてきだなと。そのメンバーは、「かかわり」という言葉を大事にしていますから、村上先生とのかかわりをそんふうに表現したのですね。

★もう一人のメンバーは、とにかく難しい化学の話も、わかりやすく丁寧に講義してくれます。たとえば、塩基が云云かんぬんとどっと話してくれました。ファクトとオピニオンを明快に分けて、語ってくれます。そんな難しい話を理解できるのは、もちろん村上先生のトークの巧みさによるものでしょうが、その生徒自身の思考スキルが確立しているから理解できるということもあります。そして、このことは3人に共通していることでもありました。

★ただ、どの思考スキルを活用するかは、三者三様でした。これが個性でもあります。認知能力と非認知能力のバランスがよいのは、そういうことだったのかと感心しながら耳を傾けていると、次にさらに驚くべき語りが続いたのです。

★村上先生は、HRのときに、学校の出来ごとだけではなく、ご自身のお子さんが、ご家庭で過ごされている様子を話してくださいます。子供の成長の眼差しと私たちの成長が重なるわけですね。プライベートなことを私たちに話してくださるということは。。。

★そう、先生が生徒を信頼しているということですね。村上先生も田中先生も驚いたし、心の中で涙腺はゆるんでいたはずです。「ありがとう」という言葉が身に染みました。

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★なるほど、村上先生と田中先生が、高1生も注目し、きちんと評価ししているチーミングのプロだったということが、本題に入る前の雑談段階でピンときました。まだ邦訳はでていません(予約受付中)が、チーミングや心理的安心安全を提唱しているエイミー・エドモンドソン教授の「恐れのない組織」を改革委員会は着々と日々の中で生み出しているわけですね。神は細部に宿るとよくいわれますが、学校説明会のときの声かえ、HRのときの規格外れの話、生徒と理解をシェアできる授業に浸透しています。

★改革プロジェクトこそ、すでにPBLだったのです。(つづく)

 

 

 

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