2021年中学入試情報(22)新渡戸文化学園の存在の意味が広がる。新しい教育文化の在り方。
★首都圏模試センター出願倍率速報(2021年1月15日現在)によると、新渡戸文化中学校の総出願数の前年対比は、133.8%で、前々年対比は223.1%。出願数自体は爆発的とは言えませんが、少人数教育であるから、同校の価値がマーケットで受け入れられ始めたということでしょう。
★新渡戸文化学園の価値とは一体何でしょう?それは明らかに今までにない学校であり教育を、今までにない教師というかパートナーといっしょに創っているということ。つまり、創り方とそこに集まっているコミュニティーメンバーとしての教師も生徒も保護者も今までとは違うということなのです。
★どう違うのか?それを知るヒントは東洋経済ONLINE2021年1月17日の記事<新渡戸文化学園、約4割が「兼業教員」のワケ「教員の幸せ」を追求する働き方改革とは?>がわかりやすいですね。
★実は、直観的には同校の新しさはわかるのですが、全貌が見えないのです。いわゆる量子力学的な組織ですから、これだと思うとそれでもないということになるのです。
★ですから、学歴社会がまだまだ居座っている中学受験マーケットでは、とらえにくいというのは否めないのです。しかし、中学受験のマーケットのうち40%は、学歴社会的な価値観が揺らぎ始めています。したがって、そのゆらぎの領域で、新渡戸文化学園の価値が広まりつつあるのです。
★ただ、この揺らぎ方は、これまた一様ではないのです。多様です。たとえば、GAFA型の武蔵野大中学、men for othersベースの21世紀型教育推進の聖学院、学校組織改革型横浜創英などいずれも人気で,new power schoolですが、かつての進学校型というような一つのカテゴリーにあてはまりません。
★そして、新渡戸文化学園もnew power schoolなのですが、武蔵野大や聖学院、横浜創英とはまた全く違う学校なのです。どう違うのか?もしかしたら、落合陽一氏が「働き方5.0」で語っているクリエイティブクラスの教師が40%占めているということが確かに決定的な特徴かもしれません。
★このクリエイティブクラスは、基本起業家型あるいはアクティビスト型です。定住型ではなく狩猟型です。同校がアフタスクールを設置して、全く自由な学びの空間のプロトタイプを内包しているというのはとても痛快だし不思議なんですが、それができるのがクリエイティブクラスのなせる業です。
★狩猟型というのは、ノマドと言われ、現代思想では、近代国家的な組織を創らないリバタリアン的な雰囲気があったのですが、その農耕民族が文明と国家を造ったという歴史観は覆されるという古代史のコペルニクス的転回が話題になっています。
★どうやらネオノマド型のクリエイティブクラスというのが、新渡戸文化学園に集まる教師の新しい価値なのかもしれません。
★GAFAというバーチャル農耕型で、あまり働かずして超富裕層になる者と働けど貧困から抜け出せない層の格差を生む組織か、みんなが多彩な才能を発揮し、創りながら考え、手を動かしながら考え、多才がゆえに、等しく多くの富をみんがシェアできる組織か。その富はもちろん、物質面と精神面の両方というクリエイティブクラス。
★こんな後者のような世界を創るには、理事長自身がそういう行動をしていなければならないのですが、そもそもアフタースクールを設置し、ネオノマドなパートナーを呼び寄せたのは、平岩国泰理事長その人です。ご自身も、同学園理事長、NPO代表理事、渋谷区教育委員という3つのペルソナを持っているわけです。
★アイデンティティは、一つのペルソナが象徴する時代から、多くのペルソナが関係して、一つのアイデンティティを生み出していくという時代なのかもしれません。このあたりは、平岩理事長の周りに集まる見識者がリサーチして、いずれ語っていくでしょう。
★私のは、一市民としての感想にすぎませんが、そんな気がしてならないのです。幸せとはユートピアを受け入れるパートナーが集う場所にしかうまれないでしょう。格差は不幸を生み出すシステム以外の何物でもありません。
★中学受験という格差を生み出すマーケットで、それを解消する私立中学が顕れてきた。何と逆説的な!実は2021年の大事件なのです。
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