GLICC Weekly EDU(09) 2021年学びの取り巻く環境は、デューイだったらどうするか考えれば見通せる。
★昨日は、GLICC Weekly EDU 第11回 新春企画対話でした。テーマは「2021年の幕開けに寄せて―『学び』を取り巻く環境はどう変わるのか 」。主宰の鈴木裕之代表と私立学校研究家本間が対話をしました。ときどきカメラが充電切れを起こすなどハプニングなどもありましたが、2021年はこういう変化にどう対応するかが大切、まさに今年を象徴した対話になりましたと鈴木さんは機転をきかしていました。さすがです。
★2020年ではっきり見えたこと、それは、デューイのいう構成主義的な学びができる学校や塾がどこだったかということです。今年125周年を迎えるシカゴ大学のラボラトリースクールは、デューイが自身の理論と現場の教師と協力して立ち上げた学校です。
★昨年、ブラックホール発見に貢献してノーベル物理学賞を受賞した科学者の1人アンドレア・ゲッズ教授も同校の卒業生です。数多くの才能者を輩出しています。同校のサイトにある動画を見ながら対話をしました。
★静岡聖光学院、聖学院、工学院、三田国際、かえつ有明、日本女子大附属豊明小学校などの例を出しながら、デューイ学校にイメージがかなり近いことを対話しました。これらの学校は、御三家には似ていないけれど、デューイ学校には似ているのです。
★このことは何を意味するのでしょう。鈴木さんが、「世界標準」と表現していました。
★そういうことです。
★そして、デューイの時代には、まだ宇宙船もタブレットもITによる新しい脳科学の成果もありませんでしたから、もしデューイが今の世界にいたら、もっとおもしろいことをやっていただろうと。
★だから、2021年はそれを追究する学校がでてくるだろうし、塾も同じであると対話しました。
★シリコンバレーのHTHは、たしかにおもしろいのですが、限られた生徒の才能を育むだけではなく、すべてのこどもの才能を開花する環境をとなれば、それはデューイの発想の中にあります。
★GLICCを鈴木さんが創設するときに、話し合ったのは、普遍的な世界標準に対応できる環境を創ろうということでした。ですから、デューイのPBLを土台にしている洋書を探しました。その署はブルームのタキソノミーもインテグレイトしています。
★また英語の教材も、その理論が適用されているものも探しましました。
★もっとも、テキストは素材に過ぎないので、それをどう使うかが大事で、それをデューイの発想をベースに講師のみなさんと共有しようということだったのです。
★GLICCは外国人講師とGLICCの卒業生である帰国生が多いので、この考え方はもともとなじみやすいのです。
★私も、自然と社会と精神の循環世界を創る多様な才能の結合を教育を通して目指していますから、デューイとはシンクロします。それがデューイの「経験と自然」という著書を読んで、改めて共鳴しました。
★鈴木さんとは、ハーバーマスのコミュニケーン行為論や認知科学、ヴィトゲンシュタイン、ガタリ、ベイトソン、ブルーナー、ピアジェなどを読みながら議論して、ある中学受験塾の小3から小6のカリキュラムをデザインしたことがあります。当時のコンセプトは、その塾の渋谷校に訪れたアルビン・トフラー夫妻の「21世紀は教育の時代」をうたった「パワーシフト」と共鳴していました。
★基本的にはそのラインは変わていません。これらの流れは、構成主義でデューイとも交差します。
★PBLをずとやってきたので、当然そうなるわけですが、外国人講師と対話する時は、やはりデューイやブルームの理論でなければすぐに共有できなかったのです。
★現代思想や哲学の中では、ニュープラグマティズムとしてデューイ・ルネサンスは起こってきました。いよいよ教育においてもデューイ・ルネサンスが生まれる予感がします。
★デューイ学校は、私立学校のみならず、公立学校にとっても親和性のある教育です。デューイ学校かIB学校か、Aレベル学校かどれを選択するかということでしょう。いずれもすてきです。あとはお金の問題ですね。
★いずれにしても、デューイだったら、インターネット空間とリアル空間の両方を使うハイブリッドPBL環境をつくるでしょう。そして、あくまで生徒が自ら才能を発展させていく環境とは何か。その環境はたんなる物理的な自然ではなく、内面としての自然だけでもなく、自然と社会と精神が結合したネットワークを身体につなぐ人間存在となるでしょう。
★デューイの構想は、主観と客観を隔てる幻想を打ち砕くことだったのです。その幻想こそが才能者と才能を発展できない子供の差を生産してきたからです。
| 固定リンク
「創造的才能」カテゴリの記事
- 2025年中学入試動向(13)和洋九段女子 生徒の才能が豊かになる生成AIの使い方勉強会はじまる(2024.11.24)
- 聖学院の教育宇宙(3)すべての教育活動をつなぐ存在としての授業があった <奇跡の男子校>(2024.11.23)
- 聖学院の教育宇宙(2)すべての教育活動をつなぐものが生まれる仕組み化(2024.11.22)
- 聖学院の教育宇宙(1)すべての教育活動がつながっている(2024.11.22)
- 2025年中学入試動向(1)学校選択の新しい見方(2024.11.07)
「中学入試」カテゴリの記事
- 2026中学入試準備(03)聖光学院工藤校長出版!「男子校中高6年間でやっておきたいこと」(2025.02.10)
- 2026中学入試準備(02)聖セシリア女子中学入試 未来型入試定着(2025.02.09)
- 2026中学入試準備(01)私立学校選択に<ななさんの風>が吹く(2025.02.08)
- 2025中学入試動向(65) 東京私立中学入試 第3ステージに 才能発掘入試始まる(2025.02.06)
- 2025中学入試動向(64) 明日2月6日工学院大学附属中学の最終入試(2025.02.05)
「大学入試」カテゴリの記事
- リスクマネジメントしての中学選択(05)共愛モデルに学ぶ(2024.12.02)
- 新しい社会の在り方を「人間—テクノロジーー世界」の多様な関係性でとらえる世代(2024.09.17)
- 2050年社会をユートピアにするかディストピアにするか(06)児浦准教授のEUU構想に希望(2024.09.08)
- 「問いの力」AI社会でも変わらないコンセプトレンズ創出力~福島県私学教育研修会でWSを実施して(2024.08.26)
- 2027年新学習指導要領 経済面が強く影響?(2024.08.13)
「創造的対話」カテゴリの記事
- 2025年中学入試動向(15)日大豊山女子 新タイプ入試60%占める ルーブリックも公開(2024.11.25)
- 2025年中学入試動向(13)和洋九段女子 生徒の才能が豊かになる生成AIの使い方勉強会はじまる(2024.11.24)
- 聖学院の教育宇宙(3)すべての教育活動をつなぐ存在としての授業があった <奇跡の男子校>(2024.11.23)
- 聖学院の教育宇宙(2)すべての教育活動をつなぐものが生まれる仕組み化(2024.11.22)
- 聖学院の教育宇宙(1)すべての教育活動がつながっている(2024.11.22)
「創造的破壊」カテゴリの記事
- 本田由紀教授の短いメッセージにも日本の根本問題を暴く(2024.10.29)
- 日経ビジネス 禅と哲学 駒沢学園女子の教育がグローバルなわけ(2024.10.22)
- 2027年に向けて動く世界と私立中高一貫校(了)2050年以降の社会は、だれもが創造的才能者になる(2024.10.01)
- 2027年に向けて動く世界と私立中高一貫校(7)2050年以降の社会を創出する創造的才能者を生み出す教育(2024.10.01)
- 2027年に向けて動く世界と私立中高一貫校(6)いわゆる高偏差値学校の教育と筑駒湘白型教科教育(2024.10.01)
「PBL」カテゴリの記事
- 2025年中学入試動向(35)富士見丘 学習指導要領をそのままグローバル教育化としてトランスフォーメーションに成功(2024.12.15)
- 八雲学園をカリフォルニアから考える(了)英語祭の意味 グローバルSTEAM探究教育(2024.12.14)
- 八雲学園をカリフォルニアから考える(5)UCサンタバーバラで学ぶ八雲生(2024.12.12)
- 工学院(2) 田中教頭インタビュー第2弾 オープンマインドの世界に通じる意味(2024.12.12)
- 聖書・宗教の授業・礼拝 聖ドミニコ学園・聖学院・桜美林・恵泉・湘南白百合・女子学院・普連土など 自己を見つめ世界の痛みに向き合い対話し言葉を紡ぐ(2024.11.26)
「高校入試」カテゴリの記事
- 2025年中学入試動向(26)日駒 コンパクトでパワフルなカリキュラム(2024.12.03)
- 2025年中学入試動向(22)文大杉並 interactionからtransactionへ突き抜ける(2024.11.30)
- 聖学院の教育宇宙(3)すべての教育活動をつなぐ存在としての授業があった <奇跡の男子校>(2024.11.23)
- 聖学院の教育宇宙(2)すべての教育活動をつなぐものが生まれる仕組み化(2024.11.22)
- 聖学院の教育宇宙(1)すべての教育活動がつながっている(2024.11.22)
最近のコメント