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2021年1月 3日 (日)

Fresh Service合同会社 CEO五十嵐健太さん 多様なペルソナとのかかわりが未来を生み出す(3)アップデートを続ける新しい組織を創る

「Fresh Service合同会社 CEO五十嵐健太さん 多様なペルソナとのかかわりが未来を生み出す(2)」のつづき。

★昨年末、CEO五十嵐健太さんの「Fresh Service合同会社」のサイトが公開されました。先日の五十嵐さんとの対話を合わせて閲覧してみると、改めてなるほどと感心してしまいます。

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★高校生でもあるので、株式会社にするのではなくて、合同会社にしているところがなかなか考えているなあとまず思います。NPOにしないところは、まず税金をあてにしないで、独立精神を前面に出しています。社団法人にしないのは、社会的信用を社会貢献を看板にしないで、あくまで、自分たちの想いと行動とアイデアで信頼の輪を広げていくことの現われです。

★財団法人にするには、最初のお金が必要ですから、そうはしなかったのでしょう。合同会社として、お金をかけずに自由に社会貢献活動、つまり奉仕という意味でのサービスを行っていくという断固たる決意を感じます。

★合同会社ですから、社員は無限責任です。ですから、社員以外のメンバーの呼び名はパートナーズとしているのも心憎いですね。パートナーだから、指示されたことを行う働き方が求められているわけではないのです。

★パートナーの採用やステップアップは、定期的に契約交渉というプレゼンがあります。自分はいったい仲間に何を貢献できるのか、何が出来るのか、どこまでやるのか、そしてどれほど情熱と愛があるのかをプレゼンしなければなりません。この情熱と愛は特に大事です。これについてはいずれ述べます。

★ともあれ、その交渉的な試験は、オーディションさながらで、ルーブリックで行っていくそうです。そういう意味では、五十嵐さん自身、「うちの人事制度は、なかなか厳しいと思います。横と比べる相対評価でもなく、いわゆる絶対評価でもなく、自分自身の評価を私たちの想いとマッチングさせなければならないのですから」と。おお、スタンフォード大学のフェッターマン教授のエンパワーメン評価の発想とシンクロしつつ、さらにブラッシュアップしているではないかと驚きました。

★サイトにはこうあります。

「2020年、新型コロナウイルス感染症により多くの人が困り、社会課題が露わになりました。 私たちは都心の子育て世代や地方の農家・生産者にスポットライトを当てた組織です。 人間には生まれ持った才能・賜物〈GIFT〉が一人それぞれ個性豊かなものが必ずあります。Fresh PartnersではひとりひとりPartnersの才能・賜物〈GIFT〉を最大限尊重し発揮できる 空間創りをお約束いたします。皆さんのGIFTをこのFresh Partnersで活かしてみませんか?
皆さんのご応募を心よりお待ちしています。」

★そして、パートナーズとして活躍すると何を得られるかということが明快に書かれています。

01.自分のGIFTを最大化できる
02.自分のレベルアップを体感できる
03. 他の学生よりもたくさんの社会経験ができる

★得られるものは、金ではないということです。では何のための会社なのか?パートナー一人一人が、今ここから未来に到るまで、「成長し続けるGIFT」を見つけるためだというわけですね。ここでお金を稼げなくても、大学卒業後は、万全でしょう。

★これは、別の言葉で言えば、<クリエイティブクラス>としてのポテンシャルを見つけ豊かにしていくネットワークとマインドとスキルを身につけられるよということでしょう。

★Fresh Serviceとは、商品が新鮮だということとパートナー1人ひとりのGIFTを大切にするために、常に自身が挑戦し変容していくサービス=奉仕を協働していこうということだったのですね。

★五十嵐さんと対話していると、なんだ聖学院自身が同じような組織になれば、さらに発展するじゃないかと思ったら、五十嵐さんは、将来教師になりたいし、そのときもし、パラレルワークができるようになっていたら、合同会社は続けるが、そうでないときは会社の持続可能性を考えて、仲間に任せて行けるようにするということでした。

★なんと、学校経営についても教育についても熟慮しているからこそ、このような合同会社にしたのだなとふと思いました。そして、五十嵐さんは、間髪入れずに、「私の好きな理論は、ハワード・ガードナー教授の多重知能理論なんです」と。

★ああ、なるほど、そこなんだなあと。だからパートナーズは、自分自身の才能を見出し、大切にし、行動しながら豊かにしていくという発想になるわけだと。お金をかければよいのではなく、その前に、まずは創意工夫というブリコラージュ的な発想、つまり「野生の思考」はガードナー教授もリスペクトしています。五十嵐さんは、自分のことをケチだと語っていましたが、置き換えると「野生の思考」の持ち主だということですね。

★そして、パートナーズだけではなく、Fresh Marketに参加する客も、実はパートナーで、生活そのものをそれぞれのGIFTを見出し大切にし豊かにしていく機会を<共に>生み出していくのだと。

★私たちは生産者や消費者、販売者や購入者の前に互いに生活を豊かにしていくパートナーシップを大切にする市民だったのです。だから、マーケティングはペルソナマーケティングでなければならなかったし、責任を分かち合う合同会社でなければならなかったわけです。法律上の会社形態に則りながらも、全く新しい経済共同体組織を生みだそうとしているわけです。

★2021年は、本ブログで幾度となく触れていますが、「ザ・グレート・リセット」の時代であり、強欲資本主義から才能主義的資本主義へパラダイム転換する時代です。GIFTという互いのタレントを大切にし豊かにしていく五十嵐さんの活動は、まさにこのパラダイム転換の一角をなすでしょう。(つづく)

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