才能力の時代(06)教科のPBL型授業の実現で、日本の教育は多次元知能を生み出せる。いきなり最先端!♪
★2020年は、大学入試改革の年でした。しかしながら、紆余曲折あってすべてが予定通り実施というわけではありませんでした。しかし、学びは試行錯誤だとみな言い始めていますから、大学入試改革もそれでよいと思えばよいのでしょう。税金の無駄使いだあという人もいるけれど、ミサイル数本購入するのをやめるぐらいで、子供の未来の試行錯誤費用につかえたのならばそれはそれでよいかなと。
(それぞれの知能に対応する教科はたとえばの話で、考え方はいろいろでしょう)
★いずれにしても、パンデミックもあって、受動的な学びだけではにっちもさっちもいかないということは世界同時的にわかったわけであり、大学入試改革と新学習指導要領の動きは、その点は一定の成果をあげています。
★ただここにきて、教科は知識獲得の場で、探究が思考力や判断力を養う場であり、教科入試は知識中心主義で、探究が体験と思考力をベースにするという分断が生まれているのが気になります。
★オンライン学習で知識獲得はアプリで個別最適化し、リアルなモノづくり体験は探究で。したがって、教科は講義形式で、探究はPBLでとかなっているような気がします。両方ともコンテンツ主義で、才能主義ではありません。
★そして、あたかも日本の教育は教科主義だからダメで、教科横断型、学際型、探究型でないとねとなっているのではないかと。
★新学習指導要領でも、理数探究とか地理探究とかいう教育言説が生まれているところからもそれがわかります。教育言説とは形骸化促進用語という意味です。
★しかし、本当のところは、従来の教科の設定枠で、生徒1人ひとりの才能を開花することはできるのです。ハワード・ガードナー教授の多次元知能(多重知能という訳語よりこっちのほうが関数的かなと。つまり要素還元主義的ではなく関係主義的かなと)と教科体験を掛け算すればそれで、世界標準を超える教育を日本は達成できてしまいます。さすが折り紙発想文化です。HTHが憧れる庭園発想ですよ。折り紙や庭園は多次元知能の結晶ですから。宇宙船や宇宙開発の発想はコンパクトな折り紙と庭園発想なんですね。SDGsも実はそうでしょう。いういなれば、システム思考も庭園発想ですね。
★ともあれ、ただ、それには、PBL(Project Based Learning)型授業を行う必要があります。せっかくアクティブラーニングという話がでたのですが、「主体的・対話的で深い学び」と表現され、総合学習や探究に回されてしまうという話になっているような気がします。
★体験から多次元知能(関数ですから、子供によってどの格子点を結晶するかは違います。範囲の広さも違うでしょう)を引き出し、引き出された多次元知能を再び体験に通してリファインしていくというリフレクション過程を通すだけです。それが子どもたちのキャリアデザインへのプロジェクトになります。
★ ですから、教科を教科体験ととらえればよいだけです。日本の教育は、この教科体験が豊かです。
★あとは教科名を変えて、中身の配列を変えるだけのアリバイ作り改革をやめて、一通り、教科を体験し、得意教科を見つけて、それによって多次元知能を豊かに個性的にしていけるという教科の絞り込みをして、それに対応する大学入試の教科設定をすればよいのです。これは選択方法だけの問題で、折り紙発想や庭園発想でできてしまいます。
★すべての教科の知識が大事なのではなく、多様な教科体験によって多次元知能を実装できるようにするのがゴールというようにマインドセットし直せばよいだけです。
★中学入試は、その方向になっています。国算2教科入試、国算社理4教科入試、得意科目1教科入試、英語入試、適性検査型入試、思考力入試をはじめとする多様な新タイプ入試。
★首都圏模試センター取締役・教育研究所長北一成さんは、日ごろから中学入試は教育改革のモデルと語っていますから、そういう意味では中学入試はもっと広く研究対象になればよいですね。そして、多様な新タイプ入試を開発している先生方は、教育改革の旗手と言えましょう。もっとここに光があたらなければと思います。おそらく、そのような先生方の授業はPBL型になっていると思いますよ。
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