Fresh Service合同会社 CEO五十嵐健太さん 多様なペルソナとのかかわりが未来を生み出す(2)
前回「Fresh Service合同会社 CEO五十嵐健太さん 多様なペルソナとのかかわりが未来を生み出す(1)」のつづき。
★五十嵐さんの大きな2つのペルソナは、聖学院の高1生というペルソナとFresh Service合同会社CEOというペルソナ。ここをきちんと分けているところが実に興味深いのです。たとえば、聖学院生というペルソナでは、聖学院の教育を受け入れ、大いに学院生活を謳歌している生徒ですが、CEOという立場では、自分だったらマネジメントやガバナンス、マーケティングはもっとこうするという経営者の論を展開するのです。
★聖学院の先生方も、聖学院の在校生として応援する立場の教師もいれば、CEOとしての五十嵐さんへフィードバックをするという教師もいるようです。
★だから、聖学院の学びも聖学院の教育の枠組みの中の学びとして楽しんでいるかと思えば、CEOとしては、その学びをビジネスモデルに転換するという離れ業を行ってもいるのです。
★たとえば、聖学院の伝統的な体験学習である「糸魚川農村体験」を通して、糸魚川の産業構造の現状と困っているところを解決する提案をだしてプレゼンするところまでは学校行事の枠内ですが、クラウドファンディングで、糸魚川のリアルな姿を紹介する本をつくるあたりは、学校行事から抜け出て、起業家的精神のシミュレーションになっているのです。
★しかし、そこまでなら、少ないとはいえ、他の学校でも実践する生徒はいるでしょう。まだ、行事の延長ともとれます。
★ところが、五十嵐さんは、糸魚川の農村で収穫した新鮮で安心・安全な食物を仲介業者を通さず直接販売する販路を開拓するサービスを事業化します。
★莫大な利益を生み出すことが目的ではなく、あくまで困っている問題があったらそこを解決する架け橋になるサービスで、まさに文字通り奉仕なのです。
★しかしながら、タスクをする仲間には、交通費ぐらいはちゃんと出せるように事業化したわけです。しかも、いわゆるデリバリー商売をするわけではないのです。
★特に今回のコロナにあって、糸魚川の商品の販売ルートが切断されてしまいました。一方東京では、幼児を抱えている家庭では、外出が簡単にはできなくなったわけです。買い物困難者がでてきたわけです。
★それならばと、幼稚園などと交渉して、幼稚園にお迎えに来た時に開店して、買ってもらおうと。通りがかり販売をしようということになったそうです。産地直送だし、新鮮で安心安全だし、お迎えに行って別に買い物をするという時間をかけずに短縮できるとあって、アンケート調査ではみな満足しているという結果になっています。
★そして、グーグルフォームでアンケート調査をしていますから、買ってくれる参加者のペルソナマーケティングもおこなってしまっているのです。
★おもしろいのは、チラシやSNSの広報がどれくらい役に立っているかというデータも出していて、それよりも効果的な広報活動が何かまで突きとめています。
★それは、商品が生産されて店頭にでるまでのプロセスを丁寧に発信したり店頭で熱く語るというアクションそのものが口コミや評判作りになっているということでした。
★この対話の秘密は、実は参加した人々とコペ転(コペルニクス的転回)体験を共有するという共感的コミュニケーションだったのです。
★糸魚川は、フォッサマグナ領域にあって、大切な日本の地溝帯として注目されている地質学的価値のある場であり、それゆえそこにおける文化的価値もあるわけです。ですから糸魚川エリアは、ユネスコ世界ジオパークとして認定されているわけです。
★糸魚川の商品の背後の大切な意味を共有しながら商品を販売していくという探究型商品販売は、欲望資本主義とは違う新しい資本主義的な経済システムを予感させます。来春に向けてダボス会議は、資本主義から才能主義へというザ・グレート・リセットを唱えていますが、五十嵐さんの活動は、その先駆けかもしれません。
★つまり、解決するために何かを行うだけではなく、解決する新しい経済システムを生み出す可能性があるし、そのための企業の組織の新しい在り方にもチャレンジしているのです。(つづく)
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