工学院インパクト(20)田中歩先生と振り返り、未来を展望する。PBL銀河計画①
★今年も、工学院は期末テストも終え、成績処理をして来年を迎えます。教務主任として田中歩先生のマネジメントパフォーマンスが高まる学びの評価の時期です。同時に、高3の総合型選抜などの推薦入試の結果も大体でてくる時期でもあります。このタイプの入試は、このような期末テストの評価や社会的貢献活動(ボランティア)、マイプロジェクトの総合力とオリジナリティや専門領域において今までにはない新しいものの見方・考え方への挑戦マインドがものをいいます。
★半月後に訪れる2021年は、中学入試や高校入試の準備、そしていよいよ高3の一般入試への突入となり、入学とカリキュラムと卒業のアクションが学内にどっと集中する時期です。
★昨夜というか真夜中、一瞬の時間があったので、田中歩先生とZoom対話をしました。本当は心身を休めなければならない貴重な時間帯ですが、この時期は、どうしても過去を振り返り、未来の展望について対話したくなるのです。年末ということもあるのですが、今言ったように、アドミッションポリシーとカリキュラムポリシーとディプロマポリシーについていまここでの成果と課題の両方が浮き彫りになる時期ですから、モニタリング対話は必然的な流れなのかもしれません。
★そして、最も重要なことは21世紀型教育を標榜して改革を本格的に立ち上げた中高一貫の1期生が旅立つタイミングでもあります。田中歩先生が中1からかかわってきた生徒の巣立ちのときなのです。
★田中歩先生の英語の授業を受けて、シンガポールの国際コンクールやグローバルプロジェクトでタイで調査をする流れの中で、ハイブリッドサイエンスコースにいながら、英語の文化的違いの科学的調査のアプローチを行うという言語学とサイエンス的な知見を融合させたいという学際的な視点を評価され、難関私大の外国語学部の総合型選抜に合格した生徒の話もでました。
★普段のPBL型授業とCASやMoG、グローバルプロジェクトなどの破格の行事と多くの国際コンクールへのチャレンジが、自己変容をもたらし創造的才能者となったことの証明を生徒自らがおこなっていくわけです。そして、その過程に田中歩先生が立ち会っています。
★最初は英語科主任として、ケンブリッジ・イングリッシュ・スクールへの本邦初の認定をとりつけ、ケンブリッジ出版の教材を導入しました。授業は当然PBL型になります。そしてPBLにはルーブリックが必要ですが、田中歩先生はPBL研修のプロジェクトリーダーでもありましたから、自分の体験しているPBL授業とルーブリックを全教科と共有しなくてはなりません。
★そのとき田中歩先生が慧眼の持ち主だとわかったのは、一般化の罠を排除したマネジメントをしたことです。どうういうことかというと、自分のメソッドを一般化することによって、それがあたかも普遍的なメソッドだと過信するのが、ピラミッド型組織の陥りがちなミスなのですが、田中歩先生は断固たる決意でそうならないように、学習する組織=共感的コミュニケーションチームをマネジメントしていったのです。
★ですから、PBL研修は、互いの授業を見学したり、メンバーで互いにモニタリングをして、個々人のメソッドとが工学院のメソッドが往復する対話を通して、個々人のメソッドも工学院のメソッドも豊かに進化していくというやり方を7年間続けたのです。私もなぜか立ち会うことができたので、その都度気づきがあった研修の数々のシーンが走馬灯のように思い出されます。
★ルーブリックも、メタルーブリックとして、ルーブリックの考え方や生徒自身がそれをつかって自己モニタリングができる思考コードにシンプルに収斂してもいきました。実際、生徒は思考コードで自分のプロジェクトの目標を作成し、モニタリングしていきます。
【PBL4CC】
★前回ご紹介したPBL4CCへの着想は、田中歩先生と工学院緒先生方と7年間の研修を通して結実したといっても過言ではありません。それがゆえ、昨日も、このPBLの話は、互いにすぐに共有できました。これは一つのメソッドではなく、生徒自身が自らメソッドを生み出し、試行錯誤の中でそのメソッドを豊かに進化させて行ける創造的才能を生み出す環境なのだと。大事なことは生徒中心主義なのだと共感できたのです。
【PBL銀河】
★また、田中歩先生は、教師がPBLをデザインして終わっていては、結局は生徒は誘導されて疑似的に主体的になっているだけだけだから、自ら生徒が自分のPBLという探究や学び方をデザインできるようにしたいというのが野望でした。
★上記のようなPBL銀河が工学院に溢れるとよいのだと。そして、それは見事に実現しました。それが高2のときに行うグローバルプロジェクトで証明されたのです。総合型選抜でもこのプロジェクトで得た新しいものの見方・考え方は威力を発揮したようです。
★もちろん、すべてがではなく、課題もあります。このPBL銀河計画は、果てしない物語でもありましょう。この課題を解決するためのヒントは、今年の高2のグローバル・プロジェクトにあるということです。というのも、今回のパンデミックで、プロジェクトの計画そのものが二転三転せざるを得なかったのです。つまり、グローバルリスクマネジメントという視点を今の高2は身をもって体験しているからです。全部、自分たちで計画し、パンデミックの情勢によって、その都度変更しましたが、平常時とは違い、大幅な変更をするなど、普通の学校では体験できないよう経験をしているのです。
★こうした現状のモニタリングをしながら、解決のための根源的な問題を洗い出してきました。(つづき)
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