2021首都圏中学入試(13)大正自由教育の系譜の城西大城西 充実した体験ベースの理科教育とグローバル教育とキャリアデザイン教育②
★中学3年間かけての理科の実験・探究型のプロジェクト学習は、入試企画部長坂本先生の想いがこもった学び。創立以来の学習者中心主義の教育が土台にあるからできたと坂本先生。たしかに、大学進学実績中心主義の学校だと、このような生徒を中心にする学びは反対されたでしょう。最近でこそようやくアクティブラーニングやPBLは市民権を得ましたが、大正時代から貫いている城西大城西の本物教育にかける思いは生中のものではありません。
★そして、創設者は、教育の発想や着想を当時の世界の最先端の教育研究から得ていました。しかも、その教育は本物であるがゆえに普遍的でもあります。ですから、時代の変化に応じてその都度現代化して今にいたっています。
★グローバル教育が受験業界で注目された洗足学園よりもずっとはやくから行われてきたのも、そのような本物教育の現代化を先生方が探究し続けてきた必然的な流れだったのでしょう。コメニウスールソーペスタロッチという系譜は、たんに教育の理論の流れではありません。彼らが、宗教戦争、市民革命、パンデミックという今も解決されていない混乱の中で、世界市民的な意識を生み出し、世界の平和を創り出す教育とはいかにして可能かという人間の歴史的背景があります。
★大正自由教育も、世界同時的にやがてくる戦争やパンデミックへの危機意識の中で断固たる決意をもって行われてきました。この危機感は、今もまだまだ続いているのは、今回の新型コロナウィルスのパンデミックによって、再び世界同時的に私たちは認識をしたのです。
★ですから、そういう世界的視野を生徒が内面に抱く環境を創ることは重要だったのでしょう。姉妹校との交換留学の環境整備へ先生方が奔走したのもそういう伝統があったからだと推察します。今では9カ国に姉妹校があり、他の制度も活用して10カ国以上の留学生と交流をしています。
★2週間、3カ月、10カ月という留学制度も完備しています。当然海外大学に進学する生徒も毎年いるわけです。
(写真は、同校の高校のデジタルパンフレットから)
★中学では3年になると、全員が2週間のオーストラリア海外研修にいきます。今年はこのパンデミックにいけなかったのはしかたがありません。ともかく、3学期に設定しているので、希望者は、そのまま残れるので、生徒によっては、6週間も海外研修を体験できます。生徒の世界観やものの見方・感じ方ががらりと音を立てて変わるのは、説明するまでもないでしょう。
★坂本先生の話を聞いているうちに、中3の3学期の在り方が極めて重要であることに気づきました。イギリスのギャップイヤーと同じような仕掛けがあるなあと直感したのです。中1~中3の2学期までに基礎を学び、中3の3学期は理科の探究活動や海外研修という体験をするわけです。この時間のカリキュラム・マネジメントが可能なのは、各教師の想いがバラバラではできません。チームワークが必要です。
★坂本先生によると、専門性の高い教師が多いのが同校の特徴だというのです。大学院で研究してきたり、社会経験を経て教師になったというプロフィールの先生が多いそうです。現在の研究や仕事は学際的だったり協働的なプロジェックト活動が中心です。その経験が生きているのでしょう。
★坂本先生ご自身、理系出身で、大学院で研究し、いったん社会で仕事をしつつ、教育関係のボランティアもされていたということです。ビジネスと教育のどちらを選択すべきかという人生の岐路に直面し、最終的に教育を選んだようですが、ボランタリーな精神は、創設者と時代を超えてシンクロするところですね。
★改めて受験業界というのは、偏差値や大学進学実績を指標に情報を収集しリリースしてきたために、同校の生徒中心主義的なクオリティの高さやそれを形づくってきた教師の想いを伝えきれてこなかったと、私も含め反省するに至りました。
★しかし、私の反省など何の役にも立ちません。城西大城西は、もっと先を進んでいたのです。そして、それをちゃんと取材し発信しているメディアも現れていることに、私自身目からウロコでした。やはり時代は本物教育を求めているのだと。そして、その本物教育は時代の変化にちゃんと対応できているのです。もちろん、時代の変化は光と影の両方を生みだしますが、同校がその光とシンクロしていることは説明するまでもありません。(つづく)
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