2021年中学入試情報(04)等々力、中央大学附属の帰国生入試増の意味。
★日能研倍率速報(2020年12月24日現在)によると、都市大等々力の帰国生入試の応募者数は、289名で、前年対比115.1%。中央大学附属は40名で111.1%。
★両校は、一般入試ではすでに人気。2021年度入試では、帰国生入試でも人気ということになります。このことは一体何を意味するのでしょうか?
(写真は、等々力のサイトから。)
★グローバル教育に力を入れ始めているというのが回答のように思えますが、若干ニュアンスが違います。当たってはいるのですが、もともと私立中高一貫校のグローバル教育は生徒募集のために行われてきたという経緯があります。
★だから、一時期はグローバル教育に力を入れただけでは本物ではないだろうとも言われたときもあります。20年前の話ですが、ある官僚の方には、大学に行ってからでいいんだよ英語はとか、ある超有名大学の教授には、入試問題なんて論理的な思考力ができればいい。それ以上は大学に入っってからでいいんだよと言われました。
★10年前には東大出身のある大手受験業界の取締役に思考力入試なんて読解問題とどこが違うんだと言われました。肩書きも金もないノーロゴの私は、歴史が決めることですからとその場を去った記憶があります。
★しかし、今やグローバル教育も論理的思考力以上の思考力も、小学校の時から必要な時代になってしまいました。なぜなら、自分の判断で物事を決め、創っていかなければならなくなったのです。他人のつくったレッテル貼りを鵜呑みにしたり、それに対して文句を言っていてもリスクはマネジメントできないのです。
★このことを否定する官僚も大学人も塾の方々ももういないでしょう。もちろん、実行しているかどうかは別問題です。それがゆえに、進取の気性に富んだ保護者はこの実際的なところをチェックすようになったのですね。
★それに、等々力は、背景に五島慶太翁の文化遺伝子を継承している五島育英会があり、20年前は、五島慶太は強盗慶太vsピストル堤と言われていた時代があって、そんなレッテル貼りに恐れをなして、背景に隠していたわけです。キリスト教の学校が、宗教を前面に出すと保護者は選ばない、宗教なんてやめてしまえとどこかの塾の総帥に言われて遠慮していたのと同じです。
★しかし、そういう馬鹿げた時代は過ぎたのです。理念と現実を一致させるプラグマティックな構想力・実践力がなければ、パンデミックや分断世界を収められないでしょう。私たちは、今回のパンデミックで世界同時的に思い知らされたのです。
★しかも、それはダイバーシティをリスクペクトして、世界同時的に協働していく必要があります。英語とタレントとテクノロジーとトレランスという寛容性が問われる時代です。
★等々力は、見事にそこにシフトしたのです。
★中央大附属も、生徒募集のためではありません。同校は背景に中央大学があります。その大学が司法試験や会計士、税理士など国内の資格に傾倒しすぎたために、ライバル大学に国際生で溝を開けられました。もともと文学部は、超有名教授陣を集めていた経緯もあり、実務的なことと学問的なこととを融合させる議論は、長年学内でありました。
★その突破口が、グローバルな学部をつくることでした。法学部も、慶応大学に溝を開けられ始めました。外国語の出来る生徒も受け入れる総合型選抜など実施し、失地回復(何が失地かは本当はよくわからないのですが)を図っています。
★その流れの影響を中高も受けているということでしょう。
★この両校の帰国生入試の人気の時代背景、社会変動の背景には、かなり大きなものが見え隠れしているということでしょう。そして、この変動は両校だけの問題ではないのです。グローバルイノベーション教育に力をきちんといれているところ、PBLをきちんと実施しているところが、注目を浴びることになると思います。2021年中学入試のキーワードである“new power”とはそういうことも意味しています。
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