2021首都圏中学入試(19)英語と国語と算数で行ける学校選択をする保護者の価値観
★昨日、親子で国語という言語の力をどう見極めるかワークショップを行いました。国語ができるできないの判断の仕方について共有したのです。というのも、模擬試験で国語の選択肢の問題、記述の問題を解いて〇をもらえない。文の並べ替えという論理パズルで〇がもらえない。そんなとき国語ができないと判断しがちですが、実は国語という言語の力と入試問題が正解できるというのは、共通点もあるけれど相違点もあります。その相違点は合格テクニックがあるかどうかの違いです。
(八雲学園はイエール大学と国際交流を行っています。イエールから八雲学園に訪れるだけではなく、八雲の生徒がイエール大学を訪れて国際交流のミーティングを行う時もあります)
★まだ4年生と5年生なので、テクニックの部分を鍛えるよりも、言語としてのスキルや思考力、物語の構造分析を養う方を優先したいという実感を抱くことが目的でした。
★論理パズルや物語の構造分析を子供と親も行います。協力してではなく、親子別々で行います。そして、その後レゴを使ってそれぞれ説明をしたり、NU BOARDに物語の13フェーズによる分析と心情の変化グラフを重ねるように描いてプレゼンしたりします。
★同時に、論理パズルや物語構造分析で扱った素材の入試問題を解きます。これも子供と親は別々に解きます。両方とも時間を測ります。結果は次のようになりました。
★もちろん、保護者は、入試問題の時には子供に負けまいと思ったでしょうし、論理パズルや構造分析では、加減したでしょう。子供のやる気やモチベーションを大事にする保護者でしたから。
★ただ、保護者は、同じ文章を2つのアプローチで行ったとき、スキル分析や構造分析をした経験はほとんどなく、読書体験と受験勉強の体験だけで、そのスキルや構造を無意識の内に身につけていたので、さすがに入試問題はできたけれど、文章の論理分析、構造分析は少し苦戦したわけです。
★そして、子供といっしょにレゴを活用したり、NU BOARDを活用してプレゼンしてみて、考えること表現すること創造するということはこういうことだと実感できたと。
★だから、子供の国語という言語の能力は、ここまで考えられているという見方と模擬試験ができたこととは必ずしも一致しないということを実感していただきました。子供に対するフィードバックは、できたできないではなく、どこまで考えることができたかどのスキルを磨くのかを対話する形式にシフトしようと。
★その保護者が、今回のワークショップで実感できたのには理由があります。それは子供の英語の言語能力を伸ばすことにも興味と関心を持っているからです。英語の場合、言語スキルを見える化しますが、そのスキルと共通するということに気づいたのです。英語と国語は言語として共通することが多いのは、当たり前なのですが、英語に興味をもち学んでいないと気づかないわけです。
★言語としての共通する部分は、これも当然ですが、考えるということです。そして、考えるということは、スキルの活用によって生成されているのだという実感です。
★私のワークショップでは算数は行いませんでしたが、実は算数も同じことが言えます。国語と算数は言語と関数という違いはありますが、考えるという点では<置換操作>というスキルを発動する点で共通するのです。リベラルアーツ的には、ミメーシスとかメタファーとかレトリックとかいう分野ですね。同僚の算数の講師は、私と考え方はある程度シンクロしているので、保護者もそのことは了解しています。
★このような保護者は、大学は、国内でもよいけれど海外も本人が考えるならOKという価値意識をもっています。ですから、受験テクニックにかける時間は最小限にして、国語と算数、英語を通して一生ものの思考力や表現力、創造力を養うトレーニングをして入れる学校を選択したいと。もちろん、その学校は海外大学にもつながる英語力を養う学校という条件が付きます。
★英語入試、算数一科目入試、国語と算数と英語の入試、海外大学も射程に入れた思考力入試などの新タイプ入試を行っている学校を選択するという新しい価値観が生まれてきたのです。選択関心のある学校として、挙がっていたのは、慶応湘南藤沢、三田国際、かえつ有明、工学院、静岡聖光学院、八雲学園、富士見丘、聖学院、文化学園大学杉並、和洋九段女子、城西大城西、広尾学園などでした。
★まだ、4年生、5年生なので、今後新しいタイプの入試を新設する学校の情報を共有していこうということに当然なりました。それに途中で学校選択の方針を変えたとしても、国算入試で受験できる学校は多いので、リスクも回避できます。そして、実は、、開成や麻布、武蔵、女子学院いついては、社会や理科は6年生になって取り組んだとしても、このレベルに通用する思考力を鍛えたなら、大丈夫です。
★なお、この入試に立ち向かうのに、漫画も含め読書は大切です。ですから、毎月、漫画と物語の本は1冊ずつ提示します。さっさと読んで、自分の好きな本を読む生徒もいるし、与えられたものは、あえて読まず、他の本を読むという生徒もいます(笑)。いずれにしても、読書はするのですから、それでよいのです。また、SDGs関連の記事や動画を見て、自分の意見を1分間スピーチしていくトレーニングも大切です。理科や社会への好奇心もここで持続可能にしておきます。
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