沖縄インターナショナルスクール(OIS) IBにおけるPBL すべての教師がIBの系譜のPBLを発展させている
★沖縄インターナショナルスクールが、幼稚園から高校までIB一貫校として認定されたことは前回紹介しました。このことの意味はいろいろありますが、今日本の学校で行われているPBLとは少し違いがあるということは大きな意味があります。実に知的にパワフルでケアフルでリーダーシップを育成するPBLです。しかも、言うまでもありませんが、すべての教師がPBLを実践しています。
★今月2回に分けて、ZoomでOISの先生方とワークショップ型レクチャーをしました。1回目は日本人の先生方、2回目は外国人の先生方という分け方です。両方とも20人弱の参加でしたから、日本人教師と外国人教師の割合が1:1という凄まじさです。
★PBLをどうやって行うのか、PBLはそもそもやるべきなのかというよくある質問は出ません。自分たちの行っている授業はどういうPBLなのか、世界標準に比べどのくらい有効なのかというある意味形成的評価を相互にし合うということが目的でした。そのときに、日本の現場のPBLを幾分知っている第三者を鏡にしようということで、私が呼ばれたのだと思います。
★外国人の先生方との対話は、オックスフォード大学出身の中村先生がトランスレートを超えて私の言いたいことを補ってコーディネートしながら進みました。英語と日本語のちゃんぽんで私もチャレンジしましたが、やはりちゃんと自分で英語でコミュニケーションがとれなければ、世界市民と対話するのは不可能だと当たり前のことを思い知り、高齢者になったからこそ、英語の勉強を始めようと思い知りました。
★それはともかく、深い問いが飛び交い、可能であれば、日本の生徒がこういうバイリンガルな環境で学ぶコトができるといいなあと素直に感じました。
★私なりに、教育や学習理論の系譜を上記の図のようにざっくりですが整理しました。自分たちが行っているPBLの系譜がどれなのかは、ものの見方や考え方、感じ方がどのように影響を受けているのかを確認し、つまりマインドモデルを再確認することは大切です。というのは、そこを軸にさらにほかの考え方をインテグレートしていくかどうかを判断することができるからです。マインドモデルは、発展するための方向性を考える時のクライテリアなのです。
★それに、互いのメンタルマインドが違うことを確認しないで、議論をしたり、プロジェクトを行っていくことは、無用な葛藤を生み出すので、そこは回避し、もっと重要な課題を議論し、さらには発展していくために大切なことです。
★IBの場合は、オックスフォードの系譜です。つまり、アレック・ピーターソンやクルト・ハーン(ハイデルベルグやフライブルグでも学んでいます)が学んだ大学です。教育論的には、オックスフォードはジョン・ロックですから、J.J.ルソーの系譜のペスタロッチやデューイとは違います。ましてヘルバルトとは全く違います(みようによっては、共通するところもあって、そう簡単ではないのですが)。
★もちろん、長い歴史の中で、いろいろいろな考え方が離散集合・雲散霧消しながら統合されているわけですから、こんな簡単な分け方はできないのですが、実際の話、原点に還る時、どこを訪れるかというと、IBの場合はオックスフォードでしょう。もちろん、ケンブリッジも寄るでしょう。ニュートンが学んだカレッジですから。
★IBは、第二次世界大戦後、壮絶な経験を通して学んだことが原点であると同時に、その後の冷戦や湾岸戦争などの経験を通して、認知科学の見識も統合していきます。その結果生まれたのが10の学習者像で、常に自己変容しています。ですが、オックスフォードという系譜を忘れはしないでしょう。
★クルトハーンが創り、IBやラウンドスクエアのモデルになったGordonstoun schoolのサイトの動画を共有しながら、城はないけれど、海はあるし、教育のクオリティは負けないとみんなで笑って、先に進むことの高い志を共有しました。
★日本に世界のエスタブリッシュ校に匹敵する学校がどんどん立ち上がることは大歓迎です。教育から世界の平和を生み出すという、上記の図の様々な教育の系譜につながることは、ようやく日本も世界精神の仲間入りをするということです。東大を頂点とする学歴社会の中で椅子取りゲームに目を反らされてきた日本の教育。そんな中で格差が生まれ、どこに向かっていくのかわからなくなっている日本。
★OISはそこから救う真/新のエスタブリッシュ校になるでしょう。もちろん、静岡聖光学院や八雲(両校とも系譜をオックスフォードに合わせてきています)をはじめ、他にも高い志を持って挑戦しようという学校もでてきました。工学院のようにケンブリッジに系譜を合わせようとしている学校がでてきました。それぞれにそれぞれのPBLを行っています。これらの学校の共通点は、PBLは存在の条件を生み出す教育のシステム思考そのものだということです。
★ポストコロナ時代の希望は、たしかにあります。
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