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2020年12月20日 (日)

品川翔英の飛躍 怒涛の2021年を迎える

★昨日19日(土)、品川翔英の国語科の先生方とワークショップを行うために訪問。学内全体が静かな緊張感と前のめりのいい感じが伝わってきました。そういう時期なのだなあと改めて実感しました。国語科の西山先生の授業実践の分析を国語科のメンバーでいつものように行っていきましたが、ある意味、1年間の取り組みを通して国語科の授業デザインのまとめの見通しが立つワークショップとなりました。

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★大坂なおみ選手の二社のCMで議論になった差別問題や格差問題を生徒と対話しながら、源氏物語の中に同じような問題がないのか対話していく授業の展開は、古典を学ぶ意味を生徒の身近な問題とつなぐことによって、気づきを生み出すという効果的なPBLでした。同年代の対話と歴史を超えた紫式部との対話です。

★セレンディピティは多様な対話から生まれてくるのは、PBLの真骨頂ですが、国語科のメンバーは、全員このアクティビティを効果的に活用しています。

★前回の今井先生のワークショップで共有した物語の構造を13のフェーズでとらえるという分析を、「末摘花」を素材に生徒共に行うPBL授業でもありました。この分析を、国語科のメンバーがすぐに共有して使うというのは、チームの意識も高まります。

★さらに、先生方は、この分析を、心情変化や13フェーズを絡めてグラフにして再分析しました。

★この時、論理的なスキルと文学的スキルの両方が融合されることが改めて可視化されたのです。この能力を生徒が身につけたとき、たとえば総合型選抜の志望理由書や小論文、面接でどのように有効かという対話もしました。極めて有効だと共有すると同時に、6年間通しての国語科の豊かなカリキュラムの構造と授業デザインの全体像が見えてきました。

★次回は、田中幸司先生が、一年間の取り組みを凝集した国語科のPBL授業の構想と実践をプレゼンします。実質10カ月で、世界標準のPBL型授業に到達したのは、驚くべきことですが、実は、これはある意味世界でも類例のない授業です。

★エっ!?とお思いでしょう。PBLといっても品川翔英のは、Project based Learningなのです。Problem based Learningと呼ぶ人もいますが、両者は違います。後者において、グループワークやペアワークは、学びの対象を理解するために、あるいは問題を解決することが中心です。

★ところが、プロジェクトの場合は、あくまで生徒が中心です。問題が中心なのではないのです。もともと後者は、医学の世界で行われてきました。この場合は、まずは問題を解決しなければなりません。

★プロジェクトの場合は、生徒1人ひとりのかけがえのない存在をいかに教師といっしょに豊かにしていくかという人間存在の話なのです。だから、建学の精神や校訓のような哲学が授業に浸透していなくてはなりません。

★ところがProblem based Learningの場合、問題が解けるのに、哲学は不要です。この決定的な違いは、私立学校ならではの気づきなのです。そして、それを探究という長期的なプログラムでではなく、50分という教科の授業の中で行おうというのです。この試みは世界でも日本の特殊事情(学習指導要領の拘束と教科の多さ)ですから、そういう意味では極めて珍しい授業なのです。

★IBもまたこのプロジェクトの意味でPBLを行っているところが増えてきましたが、それは10の学者像という強烈な生徒中心主義の理念があるからです。とはいえ、教科数は少ないので、時間的なゆとりはありますね。もちろん、そのゆとりを深める時間に使うので、どうしてもPBLは必要となってきているのです。

★品川翔英がこのようなPBLを行うように断固たる決意で柴田校長は臨んでいて、そのビジョンを学校全体で共有しています。学習する組織と危機管理ができる学校経営の合力を発揮し始めた品川翔英です。

★中学募集も、高校募集も、過去20年さかのぼってなかったような溢れようです。世界の問題を引き受ける生徒の存在のかけがえのない価値を共に生み出そうとする同校の先生方の姿と生徒会をはじめとする在校生の新たな歴史を創っていこうという気概に、受験生も保護も共感しないではいられないのでしょう。

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