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2020年11月 8日 (日)

ノートルダム女学院(15)NDの学校見学会 教師と生徒の豊かなチームワークそして経営と教育の相互関係の一貫性①

★昨日、ノートルダム女学院高校(以降「ND」)の学校見学会がありました。3部構成で、実施されました。

①最初の40分が学校説明

②次の50分がPBL授業をベースとしたキャンパスツアー

③最後の30分が、在校生と受験生と保護者との対話

すべてに、すばらしいおもてなしのマインドが一貫していました。そのおもてなしの精神とは、愛されるより愛しなさいという隣人愛そのものでした。そして、そのマインドが教師と生徒のチームワーク及び経営と教育の相互関係に注がれて循環していたのです。

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★このマインドが循環していることを、キリスト教ではぶどうの木として象徴しています。まさに、NDの説明会は、キリスト教精神が循環しているぶどうの木さながら。さすがはカトリック学校です。

★イギリスのエコノミスト誌傘下の研究所エコノミスト・インテリジェンス・ユニットが世界167ヶ国を対象に毎年発表している各国の民主主義度を評価する指数があります。残念ながら、2019年度のデータでは、日本は24位です。23位が韓国で、25位がアメリカですから、中立的な指標かどうかは一定の距離を置く必要は一方であります。

★しかし、世界の分断が進んでいる中、民主主義国家が、この167カ国の50%行かないということは重要です。今朝のニュースではバイデン大統領が誕生しそうですが、選挙の投票結果は、分断を物語っています。

★分断の根本価値のせめぎあいには、愛されるより愛することを大切にする精神と愛されることのみを基本とする精神が拮抗しているということでしょう。

★NDは、前者を大切にする学校です。子供たちの未来を考えれば、前者の価値が大切にされるようになる可能性が高いですね。それが今回のパンデミックが浮き彫りにしたことだと思います。受験市場の価値意識の中では、割合的には、まだまだ後者が多いでしょう。にもかかわらず、NDは、右顧左眄することなく、真理を貫き通します。

★しかし、それは頑迷固陋とは違います。実は真逆なのです。イエス・キリストがそうだったように、ラディカルなのです。エ~~って思うでしょうね。でも、世界を見れば、民主国家は半分ないのです。自由・平等・博愛というカトリック国フランスから生まれたキーワードは、実はキリスト教の考え方とも共通します。それを象徴しているのが、ニューヨーク国連にあるノーマン・ロックウェルのモザイク画ですね。

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★このモザイク画には、キリスト教の隣人愛を示すゴールデンルールが刻まれていますが、国連は、見ての通り、すべての民族、宗教、身分などの差を乗り越えて共通する精神であるとして、展示しています。

★そんなわけで、栗本校長先生はこう語ります。「先日本校53期生が講演に来てくれました。彼女は、日本学術振興会の特別研究院として植物ウィルスの研究をしています。京大の理学博士で、本校在学中、科学クラブ部長をしていました。その時代から、数々の出前出張講義を小学校や博物館などで行い、その数は100を超えたという驚異的な経歴の持ち主です。その彼女がこう語ってくれました。NDの先生方には、本当に私たちは愛されて育ちました。そのことをみなさんと分かち合いたかった。それが実現ましたよと。こんな素敵な先輩に出会って、在校生が、好きなことに果敢に追求する人生を歩むことに勇気をもらったことは間違いありません」と。

★そして、この愛されるより愛することを全うする教師は、その精神を今の時代の生徒とシェアするために、時代の最先端の教育イノベーションを生み出すのですと。普遍/不変的な精神は時代の最先端の革新的なスキルや道具を活用することで持続可能になるわけです。NDにとって、伝統と革新は、対峙するものではなく、表裏一体なのです。

★そして、高橋常務理事が、その革新的教育イノベーションの1つPBL授業について語りました。「お手元にある見学案内のレジュメをご覧ください。みなさんに見学していただく授業の一覧があります。すべてPBLの授業です。対話をしながら、議論をしながら、プレゼンテーションをしながら、1人ひとりの想いを広げ考えを深めていく授業です。まさにここに栗本校長の語る愛されるよりも愛するという教師の気概と愛される生徒との関係が生まれるのです。たとえば、宗教の授業がカトリック学校ですからあります。いかがですか?宗教の時間というと聖書の文言を暗唱するというイメージではありませんか?いいえ、違います。ご覧くださればわかっていただけると思いますが、たとえば、今回のパンデミックで、生命の重要性をみな改めて認識し、考えたと思いますが、そういう身近だけれど大事な問題について深く語り合い考える授業が展開しています。」

★また、英語の授業についても、言及しました。「英語を学ぶというよりも、英語で考えたりエッセイを書いたりプレゼンをしたりという授業です。ネイティブの先生方と、もちろんオールイングリッシュで、リサーチし、ディスカッションし、プレゼンしていく流れは宗教と同様です。要するに科目や言語が違っても、PBL型の授業を行っているのです。そして、そのような学びの大切さは、みなさんはもうおわかりですよね。教科書を暗記するだけでは、未来をサバイブも、自分たちでつくっていくこともできないことを今回パンデミックで私たちは学んだのですから」と。思考はなぜ大事なのか。それは愛を持続可能にするからだということでしょう。

★それにしても、その見学のレジュメには、各授業の特徴となんとどこまで深く考える授業なのかが明らかにされているのです。今回のための特別な授業ではなく、いつもの授業なので、単元の流れの中の1つですから、考える深さは、どの流れにあるのか、授業デザインによるわけです。ところが、少なくとも、どの授業も「知識→論理的思考→創造的思考」の中で、論理的思考にまで進んでいます。そして、50%以上が創造的思考にまで到達する授業だと示されていました。やはり、NDの思考性の授業PBLは、愛で満ちているということですね。

★さて、あのオーケストラクラブの顧問であり、広報担当の中先生のコース及び入試要項などの説明に進みましたが、興味深いことに、今回集まった受験生と保護者のニーズに合わせて説明を展開していきました。この気遣いこそ隣人愛の具現化です。

★PBL授業の極意は、学習者ファーストです。生徒がどんなニーズを持って、学びに参加しているのかを、普段の対話、授業に取り組む姿勢や表情、またグーグルフォームによるアンケートなどで把握しながら、生徒のモチベーションの内燃を生み出し、その力を活用しながら学びをデザザインしていきます。

★広報担当の先生にとっては、ある意味学校説明会というイベントもプロジェクトの一環ですから、PBL授業との親和性が高いのです。

★かくして、学校見学会の構成の1つである、学校説明については、3人の先生方の息の合ったチームワークがすてきでした。そして、受験生と保護者が共感する世界を生み出す言葉と行いの実行力には感動したのでした。

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