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2020年11月11日 (水)

和洋九段女子×かえつ有明 コラボセッション(02)柔軟で寛容性あるメンタルモデルを顕在化するマテリアル「4分33秒」の音楽

★今回集った和洋九段女子、かえつ有明の12人の高校生は、すでに、それぞれ自分の興味と関心について探究的な道行に入っていて、多様なもの見方や考え方、情報のネットワークを広め深めています。だから、誰かひとりに自分の研究している内容をプレゼンしてもらい、みんなで対話していってもよかったのですが、それだと理性的な入り方になってしまい、感性や感情の領域に蓋がされてしまいます。せっかく集いZoomで互いの表情をシェアしているのだから、共通のマテリアルをそれぞれがどう感じるか考えるかを開示していくところから始めるも良いかなあと。

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★そこで、いろいろ考えめぐらして、Zoomは音声が大切だから、その大切なものを活用してみようと思いました。1950年代に音楽家のジョン・ケージが作曲した「4分33秒」の音楽を、初演されたマーベリック・コンサート・ホールの写真を見ながらみんなで耳を傾けました。森の中にある小さなホールで、夕やみ迫る中ホールの光がなんとも癒さられる時空を広げている写真です。

★しばらくするすると、音が聴こえませんよ、写真共有の時に音をシェアする設定にしていないのではという気配りの声がイヤホーン越しに聴こえてきました。それでも黙っているとイヤホーンからサーッという音だけが聴こえてきました。たぶんみんなミュートで気配を消しているなあと。4分33秒までそのまま放置しておくのもセッションの時間が限られているので、1分ぐらいで演奏はやめて、1人ひとり自分の関心事と4分33秒の音楽との関係などについて語るところからチェックインを始めることにしました。

★この「4分33秒」の音楽は3楽章からなっていますが、音符はありません。ですから、いわゆる旋律は流れないのです。初演以来半世紀以上も経っていますが、いまだにクラシック音楽の世界だけではなくいろいろなジャンルで演奏され続けています。といっても、楽器からは音は流れてこないのですが。

★初演当時は、いうまでもなく、賛否両論でした。しかし、これから何が起こるのだろうという心の動きを感じたり、静かな森からふだん気にもとめない草木が風に揺れる音、水の音、小動物のなき声など心に満たされたなどなど、音楽を聴くという行為とは何かついて聴衆は感じることができたのだと対話が舞起こったわけです。ジョン・ケージによれば、この対話の旋律もまた4分33秒の音楽なのでしょう。

★12人も全く同じ反応でした。いやブーイングはでなかったので、全くというのは違うかもしれません。それに、自分の興味と関心に結びつけて何か感じたことがあればということでしたから、SDGsを達成するために、まず、普段無意識のうちにつくっている心の壁を見つけて崩していく努力をしているのだけれど、そのときと感覚が似ているとか、自分がこだわっているものが崩れた感じだとか、メタ的な感覚もたくさん語られました。

★12人の高校生は、それぞれに世界の意味を生み出していますが、ジョン・ケージの音楽と出会い、新たに意味を変容させたのです。

★12人は、それぞれがどんなことに気づきどんな変容をするのか、どんな反応をするのかを相互にシェアしていきました。変容することへのリスペクトと共感がそこには確かにありました。

★それぞれのアプローチは違いますが、柔軟で変容することに抵抗がないメンタルモデルは共通していることをみな了解しました。ブーイングがあったとしても、12人ならそれを受け入れながら、また新しい関係を見出したでしょう。

★いずれにしても、1人ひとりが自分の内側から気づきを生み出したわけです。探究するとか学ぶとか、ちょっと大げさに言うと生きることの意味をそれぞれに感じ取れるメンタルモデルを持っていることが開示され、感動の輪が静かに広まりました。そして、自分の興味と関心のネットワークはまだまだ広がり深まっていくという実感を共有しました。

★今回、共通のマテリアルをそれぞれが受け入れ、それだけでもケミストリーが爆発するのですが、初めて会うメンバー同士の想いや考え方を知って、さらにケミストリーが連発するという仕掛けを考えてみました。チェックインでの一つ目のマテリアルは、ジョン・ケージの世界と出会うことでしたが、さすがはジョン・ケージです。エンパシーとコンパッションを生み出す魅力的なソフトパワーです。

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