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2020年11月26日 (木)

日本女子大学附属豊明小学校(02)美術教育の拠点 将来芸術を専攻しない生徒の未来にもよき影響を与える

★前回「日本女子大学附属豊明小学校(01)歴史を貫く普遍的な教育を現代化する授業を展開。最先端の本物教育を行っている。」のつづきです。同校を訪れると、キャンパスがすでにギャラリーになっています。したがって、すぐに美術教育を重視している学校であることは了解できます。

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★美術教育となると創造性が養われるということもピンときます。そして、図工や絵画という作品を生み出す時間が大切にされているということも。このような体験は小学校時代には大切ですが、同校のように、広大な美術教育の空間がある小学校はそうあるものではありません。

★日本の小学校における美術教育としては圧倒的な質感が広がっています。

★そして、図工や絵画などの作品をつくるだけではなく、たとえば、デンマークの小学校と互いの作品を交換し合う、ある意味美術国際交流も行っているのです。最近では、グローバル教育という言葉が当たり前のように使われる時代です。同校も小学校でありながら英語教育や英語を使って国際交流もしています。

★一般には、グローバル教育は英語が中心です。しかし、同校は英語だけではなく美術も介して国際交流ができているのです。

★日本では、アート市場が開かれていませんから、ピンとこないかもしれませんが、ロンドン、ニューヨーク、香港、シンガポール、台湾などでは、アート市場が拡大していて、そこで開催される芸術祭には、もちろん世界中のアーティストが集まります。

★当然ダイバーシティです。言語は多言語です。英語だけではありません。もちろん、英語やフランス語を話せるアーティストも多いですが、多様性ですから、アジアの多くの言語も飛び交います。それでも国際交流ができるのは、芸術という言語を超えた共通したものがあるからですね。

★思想や感情は、言語のみならず芸術体験を共にすることによっても交換できるのです。

★美術の時間に、子供たちはデンマークの小学校の生活やそこで創られた作品の見方を語り合います。動画や写真を見ながらデンマークの生徒のの使う言葉、彼らの表情、服装が日本とは違うのに驚きます。椅子などのファシリティーズも違うのに豊明小の生徒は目を大きくして見入ります。ランチのお弁当に、有機野菜をまるごともってくる様子に、どれほど驚くかは想像に難くないでしょう。

★ランチ終了後に倫理としてのアニメを見るというのも、日本では考えにくいですね。また、言葉の壁を超えるには、挨拶とニコッとする表情という美学が大切さだということも確認し合います。そう表情とは美学だったのです。

★このように、美術教育とは、図工や絵画作品をつくることだけが目的ではないというのが豊明小の大きな特徴です。

★東大の岡田猛教授らは、芸術を専攻しない学生が、ドローイングなどの芸術講座を受講することの重要性を説いています。欧米やアジア、たとえば、MITやバンドン工科大学では、ちゃんと芸術学部があります。しかし、日本ではまずないでしょう。東工大が美大と連携し始めたのも、そういう世界の常識に気づいたからかもしれませんね。

★東大の岡田猛教授らは、模倣が創造性をいかに生み出すかについて心理学や認知科学的なアプローチで検証を行っています。「探る表現: 東大生のドローイングからみえてくる創造性」(編集者 小澤基弘, 岡田猛出版社 あいり出版, 2014)でも、12名の学生がドローイングを定期的に行い、そのたびに、ファシリテーターがインタビューをして、リフレクションしていくポートフォリオ検証をしています。

★創造性が生まれる過程を共有することで、それぞれの学生の専攻に、その創造力を応用することが可能なのではないかという実験をしているのです。

★アインシュタインにしても、レヴィ・ストロースにしても芸術への造詣が深いばかりではなく、芸術の体験にヒントを得て、物理学や構造主義的文化人類学を組み立てている話は有名です。

★どうやら豊明は新しい美術教育の拠点ですね。豊明での芸術体験で得た多様な視点や創造力は、子供たちが将来芸術を専攻しなくても、それぞれの舞台で創造的な力を発揮することになるでしょう。もちろん、いまここで、教科学習を行うときも響いています。

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