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2020年11月13日 (金)

新しい教育社会(27)ユートピア教育リバタリアニズムへの期待。リクルートとGAFAの時代。

★日経新聞(2020/11/9)によると、「リクルートマーケティングパートナーズ(東京・品川)は9日、教職員向けに提供する学習管理サービスで、米グーグルの教育支援サービスと連携したと発表した。日本国内では初めての取り組みで、両社が提供するサービスを同じIDでログインできる。ファイル共有などでも連携する予定だ」ということです。これは、ブルームのタキソノミーに基づいた「完全習得学習(マスタリーラーニング)理論」の実現を示唆しています。

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★ブルームは、診断的評価によって、個別最適化を図り、そののち形成的評価で1人ひとりの学力向上をエンパワーし、1人ひとりの進路先につなぐ総括的評価(従来の偏差値や評定成績に相当)をしていくことを提唱し、タキソノミーの評価視点に合わせて行うこの学習をマスタリーラーニングと称しています。今までは、総括的評価だけが前面にでて、そこにいきつくプロセスである診断的評価や形成的評価は日本では使われてきませんでした。

★ヨーロッパ、とくに北欧では形成的評価が活用されてきましたが、日本やアメリカは人口が多く、特別な教育以外では、総括的評価が主流でした。

★少子高齢化日本社会とはいえ、教育大国フィンランドの総人口と日本の中高生全体の人口は同じくらいです。診断的評価や形成的評価は難しいのです。

★しかし、AI時代は、それが一気呵成に可能になります。それは、今回のパンデミックで明らかになりました。GIGAスクール構想の実現が急激にリアリティを持ち始めました。

★しかし、AIやネットワークの世界は、シノプティコンの世界です。アナログ時代の一望監視装置、すなわちパノプティコンという権力側の一方通行型の監視体制ではなく、市民による相互監視ですね。それがネット上ですでに行われています。ポジティブにもネガティブにも行われています。

★自粛警察とか炎上などという言葉は、ネガティブなシノプティコンになっていますね。でも、多様なハラスメントを暴くポジティブなシノプティコンにもなっています。

★また、ナッジだとかアフォーダンスというマーケティング理論が浸透しています。たしかに自分で選択して購入しているのだけれど、ネットの巧みなアーキテクチャーによって、誘導されてしまているということがあります。アーキテクチャー法は国家法を超える法としてみなされ、GAFAと国家が法廷でしのぎを削っています。

★子供たちの主体性を育むはずのオンライン学習が、実はかなり方向づけされたものになるネガティブなシーンもあります。その一方で、クリティカルシンキングを発動しながら世界の子どもたちが結びついてクリエイティブな活動をするシーンも多発しています。

★しかし、いずれにしても一人一台のデバイスをもって、個人の自由をできるだけ謳歌するような大きなパラダイム転換、すなわち教育リバタリアニズムの時代が到来したのです。

★この動きは止められません。あとは、ユートピア教育リバタリアニズムにするかデストピア教育リバタリアニズムにするか、私事の自己決定という判断力です。どうやらカントの三批判の再定義という時代なのでしょう。なるほど、欧米の若き文化人類学者や哲学者がそこに集中しているはずです。

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