ポストコロナの大学入試問題(10)東大の不思議。一般入試では否定したはずの大学入試改革の行方を学校推薦型選抜学生募集要項には示している。
★東大の学校推薦型選抜の出願が、6日(金)までに迫っています。今年はチュートリアルをやる生徒に出会いませんでしたが、情報の1つとして要項に目を通しました。
★アドミッションポリシーにはいきなりこうあります。『1877年に創立された我が国最初の国立大学である東京大学は,国内外の様々な分野で指導的役割を果たしうる「世界的視野を持った市民的エリート」(東京大学憲章)を育成することが,社会から負託された自らの使命であると考えています。』
★大日本国憲法でさえ変わったのに、東京大学憲章の根っこは変わらないと言いうことでしょうか。だとするならば、大学入試改革など反対だ。それは真のエリートにのみ開かれていればよいという文化が今もあるというのは納得です。
★全国の校長会も、そんなの東大受験生に適用してよ。ほとんどの生徒には関係ないんだよというのもわかります。だとすると、民主的な国家とはいえませんなあ。
★だから、私は揶揄されようとも、偏差値に関係なく仲間の学校には、CEFR基準でC1英語(正確ではないけれど英検でいえば1級レベル)の学びの環境をといっています。東大の帰国生入試も推薦型も、C1英語をちゃんと求めているのです。
★それに一般入試では問うことがないクリティカル&クリエイティブシンキングをフル回転させる問いやレポート課題を出題しています。思考コードでいうC軸思考ですね。
★となると、当然PBL授業に耐えられる生徒像を掲げるわけです。こうあります。
『東京大学が求めているのは,本学の教育研究環境を積極的に最大限活用して,自ら主体的に学び,各分野で創造的役割を果たす人間へと成長していこうとする意志を持った学生です。何よりもまず大切なのは,上に述べたような本学の使命や教育理念への共感と,本学における学びに対する旺盛な興味や関心,そして,その学びを通じた人間的成長への強い意欲です。そうした意味で,入学試験の得点だけを意識した,視野の狭い受験勉強のみに意を注ぐ人よりも,学校の授業の内外で,自らの興味・関心を生かして幅広く学び,その過程で見出されるに違いない諸問題を関連づける広い視野,あるいは自らの問題意識を掘り下げて追究するための深い洞察力を真剣に獲得しようとする人を東京大学は歓迎します。』
★わるくないのです。PBLをやって地球市民にこの学びが開かれるならば。ところが、これは、世界的視野をもった市民エリートのためだというのです。
★そうやって、PBLは一部私立学校では可能だが、公立はできない。格差ができると東大教育社会学で述べてきたのです。不思議です。
★そういっていても、はじまらないので、偏差値に関係なく、東大をスルーして海外大学もしくはそれに準ずる新しい日本の大学や学部へとエールを送っているのです。PBL環境に親しみ、地球市民として学問できる場に多くの生徒が今進んでいるのです。
★つまり、東大の帰国生入試や推薦型のやっていることは広く地球市民にエンパワー出来ることなのです。
★しかも、実質飛び級までやってしまっているのが東大の帰国生入試です。海外によっては17歳でもIBのDPをとれてしまうところがあります。当然ですよね、海外には飛び級やギフテッドがあるのですから。
★そういうわけで、いつまでも、東大生だから特別な学びができ、一般ピープルはその必要がないなんて、かつて学校なんかいかなくていい、身分の高い家の子が行くもんだという根性と同じことをいうのはやめましょうよ。
★みんなでC1英語を!みんなでPBLを!みんなでICTを!みんなで哲学を!みんなでクリエティカルシンキングを!みんなでクリエイティブシンキングを!
★1人も残さないといっているSDGs推進者の中には、質の高い教育をと叫びながら大学入試改革に反対する方もいます。不思議なぐらい東大と同根の文化を持っています。明治から一度憲法は変わっているんだけれど!
| 固定リンク
「創造的才能」カテゴリの記事
- 非属の才能教育(10)時を創るということは自分を少しずつ変え続ければよい ヘッセから学ぶ(2021.04.10)
- GLICC Weekly EDU(29) 富士見丘の佐藤副教頭 数々の目覚ましい成果の連鎖を語る。(2021.04.10)
- 非属の才能教育(09)エディンバラ公フィリップ殿下の意味(2021.04.10)
- 非属の才能教育(08)men for others 再生の時代 フランス国立行政院ENA廃止?(2021.04.09)
- 非属の才能教育(07)カウンセラーとオープン・ダイアローグ(2021.04.09)
「大学入試」カテゴリの記事
- GLICC Weekly EDU(28) 成立学園の宇田川先生 人気上昇の秘密を語る(2021.04.03)
- 2021年度の教育動向(02)3月のアクセスランキングから見えるコト②聖学院記事の高注目の背景 18歳成年に向けて。(2021.03.31)
- 2021年度の教育動向(01)3月のアクセスランキングから見えるコト①工学院と八雲記事の高注目の背景 18歳成年に向けて。(2021.03.29)
- GLICC Weekly EDU(27) 大妻中野教頭諸橋先生 グローバルアドミッションとクオリティの時代を語る(2021.03.28)
- New Power School(07)聖学院の大学合格実績が飛躍している理由 好奇心・進歩的学び・グローバルマインド・パトス(2021.03.26)
「創造的対話」カテゴリの記事
- 非属の才能教育(10)時を創るということは自分を少しずつ変え続ければよい ヘッセから学ぶ(2021.04.10)
- GLICC Weekly EDU(29) 富士見丘の佐藤副教頭 数々の目覚ましい成果の連鎖を語る。(2021.04.10)
- 非属の才能教育(09)エディンバラ公フィリップ殿下の意味(2021.04.10)
- 非属の才能教育(08)men for others 再生の時代 フランス国立行政院ENA廃止?(2021.04.09)
- 非属の才能教育(07)カウンセラーとオープン・ダイアローグ(2021.04.09)
「創造的破壊」カテゴリの記事
- 沖縄インターナショナルスクール PYP探究学習発表会 日本の教育のこれからを考える大きなヒント(2021.02.20)
- 新しい教育社会(27)グレート・トランスフォーメーション 神崎先生と対話(2021.02.17)
- 「教育とは生き方そのもの」へシフト(02)デューイ・ルネサンスはPBLの実践の中で生まれる。(2021.01.05)
- GLICC Weekly EDU(09) 2021年学びの取り巻く環境は、デューイだったらどうするか考えれば見通せる。(2021.01.05)
- 工学院Z世代の未来の開き方(01)仲野想太郎さんと郷野翔太郎さん①(2021.01.01)
「入試市場」カテゴリの記事
- 2021年度の教育動向(04)続々ウネリの予感(2021.04.02)
- wish自由とwill自由(02)前橋のタイガーマスク運動の価値 focメカニズムの発見(2021.03.15)
- wish自由とwill自由(01)争い事と交渉事(2021.03.14)
- New Power School(04)工学院の進化 多様なPBL&そのわけ(2021.03.11)
- GLICC Weekly EDU(25) 静かに変わる大学入試問題 思考型問題の構造は中学入試の思考力入試と同型。構成主義がゆえに。(2021.03.06)
「PBL」カテゴリの記事
- 非属の才能教育(10)時を創るということは自分を少しずつ変え続ければよい ヘッセから学ぶ(2021.04.10)
- GLICC Weekly EDU(29) 富士見丘の佐藤副教頭 数々の目覚ましい成果の連鎖を語る。(2021.04.10)
- 非属の才能教育(09)エディンバラ公フィリップ殿下の意味(2021.04.10)
- 非属の才能教育(08)men for others 再生の時代 フランス国立行政院ENA廃止?(2021.04.09)
- 非属の才能教育(07)カウンセラーとオープン・ダイアローグ(2021.04.09)
最近のコメント