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2020年11月 3日 (火)

工学院インパクト(17)チームSCTのクリエイティブ・コア・ミッションが私たちの希望。②

★前回、ロジャーズ教授が開発したイノベーター理論を発展させたジェフリー・ムーアの考え方である「コア」と「コンテキスト」を紹介し、工学院がそれをさらに進化させていることを述べました。

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★つまり、同校は『「コア」と「コンテキスト」をもう少しわかりやすく「コア」と「ルーチン」と読み替え、「コア」をクリエイティブ・コアミッションとマーケットニーズコアミッションに分けています。もっと簡単に言えば「本質」と「実用」です。』と。

★ムーアは、経済市場が足場ですが、工学院は教育現場が足場ですから、違いがあるのは当然です。市場では、ある一つの商品がころころ変わるわけにはいきません。ところが、教育現場では、変わるのは当然です。日々変わると言っても過言ではありません。もちろん、教授法中心の教師ファーストだと、市場の原理が成り立つのですが、生徒ファーストだと変わるのが当たり前ですね。すなわち、工学院では生徒中心の教育が展開しているということなのです。

★ですから、今回生徒が興味と関心を内側から生み出す仕掛けを授業でどうするかというのが、Zoom対話のテーマだったのです。柳田先生の中学の社会科の5時間続きの授業を疑似的に共体験し、分析しながらそこから興味関心を生み出すあるいは自然と生まれる学びの構造を見える化していきました。

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★柳田先生の授業のテーマは「古墳時代」です。生徒は、その当時、古墳がアジア圏に広がっていたのはなぜか?なんのためにどんな古墳が作られたのかなどをリサーチ―して、まとめていくという作業をしていきました。

★そして、それをピア・シンク・シェアをし、さらに視野を広げ、深めていくという協働作業に進みます。最終的には、スライドにしたり、動画にしてプレゼンするわけですが、チームで優れた作品を選抜するというルーブリック評価(思考コード)もしていきます。

★このPBL授業の過程の中で、生徒がいろいろなところで興味関心を生み出します。それを上記の図ようにチームSCT(スーパークリエイティブティーチャー)が、パターン・ランゲージを自ら創って分析していくのです。ふだん慶応の井庭崇教授の研究成果である多様なパターン・ランゲージを使っているうちに、自分たちも独自で創造しようということになったのです。

★「興味・関心が生まれるパターン」のカードを自分たちで創ったわけですから、授業アップデートのためにそれを使うのはテンションやモチベーションは上がります。それぞれが描いたイラストや絵を、かわいいかわいいといいながら、真剣に対話していくのですから、どんなに盛り上がったかは想像に難くないでしょう。そして、これもまた生徒が興味と関心を生み出す大きなヒントであることをリフレクションもしていました。

★それにしても、このような時間軸に沿って、プロセスごとの生徒の学びの駆動力を分析する方法は、教育工学的な方法でもあり、なるほど工学院だったのだと改めて驚いてしまいました。

★しかも、ハワード・ガードナー教授(ハーバード大学)が言うように、学びのシステムをつくるには、ポートフォリオだけでは不十分で、プロセスフォリオをリサーチする必要があると。ある意味、工学では当たり前ですね。

★おそらく、グーグルフォームでアンケートと試験の記述と分析したストーリーの相関をだして研究していけば、世界初の学習理論がここから生まれるでしょう。さすがは、チームSCTです。

★さらに、今回の授業では、生徒が調べるたびに疑問を生み、疑問を生むから調べ続けていくのですが、その結果最終的にビッグクエスチョンに行き着きます。なぜ人々は殺戮し合うのか?戦争は歴史の大きなテーマの一つですが、これは、社会科を超えた人間存在の問いです。知識集積が社会の学びだと思っている人も多いでしょうが、生徒自身の内側から人間存在の根源に行き着く問いを生み出すとは、柳田先生の授業の奥行きの深さに脱帽です。

★参加者一同、感動の授業を共感した瞬間でもありました。

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