ノートルダム学院小学校のPBL授業のリサーチ&ワークショップ(了)
★今回の秋田先生のPBL授業は、児童がワクワク内側から燃えそして知的好奇心から探究へ踏み込んでいくすてきなデザインがされていました。そのことを参加した先生方と共有していたのは最高でした。
★最後は、1人ひとりが、今後楽しみたいあるいは心がけたい授業デザインのポイントを分かち合って終了しました。
★そのときに活用したのは、「探究パターン・カード」です。慶応義塾大学の井庭崇教授の研究の成果がカードに可視化されているのです。学校や大学、教育関係者だけではなく、多くの領域で活躍している人々の探究する時、学ぶ時、プレゼンする時、対話をする時などなど達人の言動のパターンを可視化しています。
★ですから、ワークショップに参加している先生以外に、多くの方々がどんなことを思って授業をデザインしているのか、探究をしているのかという知恵や視点につながることができます。
★インターネットという世界中の智慧や世界中の文献に横たわる智慧も結びつけながら、子供たちの未来をつくる環境を多角的多次元的にデザインしていく果てしない物語こそPBLの醍醐味です。
★今回、ある意味私のファシリテートの手の内を公開しました。なぜかというと、今回集まった先生方が学内の教師研修を行う時に、自らファシリテーターを行う機会がおそらくやってくるのではないかとふと思ったからです。
★研修は、理論としてこういうのがあると講義したところであまり効果がないのは、授業と同じです。わかる人はわかるし、わからない人はそのままなのです。
★私は、ファシリテーターとは引き出すあるいは触媒になると言われていますが、何を引き出すか何の触媒になるのかが大切だと思っています。それは先生1人ひとり、子供ひとりひとりが、自分なりに持っている考え方や感じ方、つまり自分なりの理論をもっていますから、それを引き出し、相互に見せ合い、語り合い、強靭で柔軟な理論に自らマスタリーしていく道を開示することだと思っています。それがあるからこそ、なぜが問えます。なぜを問うから価値が生まれてきます。実ははじめになんと理論というHOWがあるのです。
★人の理論を使っているうちは、それこそ自分事にはならないでしょう。だから、なぜだなぜだと最初から問うのです。HOWよりWHYだと理論を構築した人はいいます。その理論を押し付けるので、受けとめる側は、あるいは消費者は、HOWから考える必要はないからですね。もちろん、ピカソもバッハもみな模倣から始まります。なぜこううまくいかないかとなぜだなぜだと問うのです。でも、自分の方法が見つかったとき、なぜその方法なのですかと問われたとき、それは在りてあるからだよと。なぜを考えるのは私ではない。あなただよ。私はもう創ったのだからと。どうやら守破離とか序破急とかいう境地は時代を超えて共通していますね。
★しかし、いきなり模倣はしないのです。自分なりにまずやってみてという経験が先なのです。そこから苦悩の時代が始まります。模倣をします。そして壊していきます。それを何度もやります。プロトタイプーリファインの渦巻きができあがります。その軌跡こそプロジェクトの道ですね。
★秋田先生の授業は、その道を生徒と共に歩んでいくプロジェクトだったのです。
| 固定リンク
「創造的才能」カテゴリの記事
- 2026中学入試準備(14)問いの循環思考が行われる授業 すてきです。(2025.02.18)
- 2026中学入試準備(10)富士見丘の突出型グローバル教育 チームワークと自分の言葉としての英語へ(2025.02.15)
- 2026中学入試準備(08)MiddleからCreativeへ ようやく(2025.02.13)
- 2025年中学入試動向(13)和洋九段女子 生徒の才能が豊かになる生成AIの使い方勉強会はじまる(2024.11.24)
- 聖学院の教育宇宙(3)すべての教育活動をつなぐ存在としての授業があった <奇跡の男子校>(2024.11.23)
「創造的対話」カテゴリの記事
- 2026中学入試準備(13)東京私立中高の理数教育の教科横断性 実に深い(2025.02.17)
- 2026中学入試準備(07)東京都 本来の人間とは何かをどうとらえるか議論が進み始めている(2025.02.12)
- 2025年中学入試動向(15)日大豊山女子 新タイプ入試60%占める ルーブリックも公開(2024.11.25)
- 2025年中学入試動向(13)和洋九段女子 生徒の才能が豊かになる生成AIの使い方勉強会はじまる(2024.11.24)
- 聖学院の教育宇宙(3)すべての教育活動をつなぐ存在としての授業があった <奇跡の男子校>(2024.11.23)
「創造的破壊」カテゴリの記事
- 本田由紀教授の短いメッセージにも日本の根本問題を暴く(2024.10.29)
- 日経ビジネス 禅と哲学 駒沢学園女子の教育がグローバルなわけ(2024.10.22)
- 2027年に向けて動く世界と私立中高一貫校(了)2050年以降の社会は、だれもが創造的才能者になる(2024.10.01)
- 2027年に向けて動く世界と私立中高一貫校(7)2050年以降の社会を創出する創造的才能者を生み出す教育(2024.10.01)
- 2027年に向けて動く世界と私立中高一貫校(6)いわゆる高偏差値学校の教育と筑駒湘白型教科教育(2024.10.01)
「入試市場」カテゴリの記事
- イエール大学と音楽国際交流(6)リハーサルのクライマックス(2024.06.04)
- 私学の教育を支える私学財団(2024.05.30)
- 私立学校の教育は経営システム基盤と経営コミュニケーションがレバレッジポイント 事務長の人間力が凄い(2023.10.06)
- 2023年夏の「私学経営研究会 教頭部会」 21世紀型教育と生成AIとリーガルマインド(2023.07.27)
- 東京私学教育研究所情報(05)私学経営研究会(理事長・校長部会)第1回委員会開催(2023.04.23)
「PBL」カテゴリの記事
- 2025年中学入試動向(35)富士見丘 学習指導要領をそのままグローバル教育化としてトランスフォーメーションに成功(2024.12.15)
- 八雲学園をカリフォルニアから考える(了)英語祭の意味 グローバルSTEAM探究教育(2024.12.14)
- 八雲学園をカリフォルニアから考える(5)UCサンタバーバラで学ぶ八雲生(2024.12.12)
- 工学院(2) 田中教頭インタビュー第2弾 オープンマインドの世界に通じる意味(2024.12.12)
- 聖書・宗教の授業・礼拝 聖ドミニコ学園・聖学院・桜美林・恵泉・湘南白百合・女子学院・普連土など 自己を見つめ世界の痛みに向き合い対話し言葉を紡ぐ(2024.11.26)
最近のコメント