新しい教育社会(14)私立中高の広報の本当の価値とは?
★この時期は、生徒獲得戦略の話題が盛りあがったり、中学入試から大学入試までの生徒のコーチングの仕方をどうするかなど激論が交わされたりと、徐々に沸騰入試列島にシフトしています。ですから、この時期になると、ときどき本間さんの広報戦略は?ときかれます。エッと戸惑います。私はPBL屋さんだと思われているので、広報戦略を私にきくのはなぜと。でもそれを問うてくる学校の経営者は、すでにうまくいっていたり、新しいことをやろうとしている学校の経営者です。さすが、角度が違うと思います。そこで、私は持論を述べます。広報戦略で仕事をしているのではないので、もしお役に立てればと思い、公開できる範囲で少しご紹介します。
★私は、個々の私立学校や21世紀型教育機構の立ち上げにかかわってきました。といっても、C1英語×PBL×コンピュータサイエンス×思考コード(言語・数理哲学)のクリエイティブシステム思考のワークショップやブログ発信という口コミ戦術にかかわる領域がメインストリームでした。
★ただ、このクリエイティブシステム思考は、世界中の生徒が共有するのがすてきだと思っていますから、かかわった学校や機構が広く認知されることは大切です。私学における広報とはクリエイティブシステム思考の学びの環境を公に共有する関係を普及・布教することだと思っています。
★ですから、ダイレクトに生徒獲得戦術だけの広報をすることは、私自身はしてこなかったのです。それゆえ多くの私学の広報の先生方からは歯がゆいとか迂遠だとか言われてきました。小難しいだよとは今も言われます(汗)。もしかしたら機構でもそう思われていた方もいたかもしれません。きちんとそこを共有できないまま止めてしまったので、この場を借りて共有しておきましょう。
★私は、広報は8つの関係で方程式を創ります。ものごとは関数関係=構成主義的デザインが大切だとするのが持論です。PBLも広報も含めた3ポリシーもすべてつながっている、一貫性があるというのがシステム思考です。ですから、まずは、「構成主義」という手法を使います。それから、どんな項目をつなぐかと言いますと、学校の3ポリシーを中心に直接うちはこんな成果をあげているとダイレクトに広報する「直接広報戦術」があります。
★2つめは、生徒のみなさんの学園生活の中でどんな思いで活動しているのかなどをPBLにからめてインタビューしたりしています。直接広報ではないですね。直接広報というのは、市場のニーズに直接つながる情報を流すことです。大学合格実績が必要なのは、そういうニーズが強烈にあるからですね。
★生徒の活動は、そういう意味では、市場のニーズランキングではそう高くありません。しかし、目の前の入試に直面している生徒や保護者にとっては最重要な情報に転換します。ああそいうことだったのかと。「救いの情報」ともいえます。
★3つめは、「口コミ戦術」です。「直接広報戦術」の裏付け情報とでも言いましょうか。実際はどうなのよおという情報です。結局生徒が学校生活で最も時間を費やす授業の中身は、なかなか共有されていません。経営陣がそこに興味がないのが実態ですからね。それに、先生同士も互いに授業を見ることが物理的にできないのが実情です。
★4つめは、「新市場ムーブメント創出戦術」です。機構で行ったのは、C1英語×PBL×STEAM×思考コード×思考力入試でした。この中で新タイプ入試は時代とマッチして、21世紀型教育はこの戦術を活用できたと思います。機構メンバー校は、この方程式は共有していますし。
★5つめは、「覚醒共感戦術」です。「目からウロコ戦術」といえばわかりやすいかもしれません。あるいは「感動戦術」でしょうか。一過性のものではない仕掛け作りがポイントです。
★6つ目は、「連携戦術」ですね。合同説明会をやるのもその一つですが、これは少しルーチンになり過ぎて、積極的な意味は少し色あせているかもしれません。新しいテストや学びの体験を学校と塾が連携したり、経産省やIT企業と連携したりという動きは大事です。もっとも効果的な連携はメディアを巻き込むことですね。
★7つめは、上の図の、6つの項目と構成主義戦略の間にある空白領域です。ここは、つなぐ方程式がはいっています。「戦略方程式」ですね。
★IBやラウンドスクエアの広報戦略方程式です。とはいっても、IBやラウンドスクエアに加盟しているからと言って、その「戦略方程式」を体得しているかといえば、必ずしもそうではないので、そこをもっと学ぶとパワフルになるでしょうね。
★8つ目は、「構成主義」そのものの考え方をしているかどうかです。これがないと、6つの項目はバラバラでシナジー効果が現れません。現状は「直接広報戦術」に偏っている私学が多いですね。そんなことに気づいたら、この8つの関係を見直し、シナジー効果がでるような動きを生み出してみてはどうでしょう。
★結果的に、その学校だけではなく、日本いや世界の教育を変える動きになるでしょう。東京のような首都に私立中高一貫校がたくさん集積しているエリアは、世界にはありません。ですから、首都圏の私学に期待がかかるのです。それぞれ独自に8つの項目でシナジー効果を出せば、意図せずして私立学校全体のパワーが世界に影響を与えるほどになるでしょう。
★この全部の項目を70%つないで成功している学校といえば、東洋大京北です。ですから、100%つながなくても、70%くらいで150%くらいのシナジー効果を出す仕掛けがいいのかもしれません。100%やろうとすると、広報費が膨大になりますから(笑)。
★ちなみに御三家は何もしていないように見えます。そうです。今はしていないのですが、長い歴史の中で100%やりつづけて、それが持続可能になっているので。立ち上がり当初は、官学とやり合うほど新市場創出に燃えていたのです。今はできてしまっているので、何もしていないようにみえるだけです。歴史は繰り返します。かつての新市場も、今は既存市場です。そこに新市場が割って入ってくるのは歴史的必然でしょう。
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