ノートルダム女学院(13)グローバル英語コースは関西学院大学と高大連携プロジェクトを行っています。②
★いよいよプレゼン30分前。この2日間連続のプログラムの中で、プレゼン30分前の生徒の姿は実に心地よい学問的な誠実な世界を創りだしていました。限られた時間が迫る中で、最大限のアクセルを踏んで、集中し没入している彼女たちの世界がそこに広がっていたからです。
★ここにきて、ようやく私はアドバイザーやノートルダム女学院(ND)の先生方と話す時間がとれるのです。それまでは、みなはらはらドキドキしています。アドバイザーはファシリテーターという側面ももちながらフィードバックに集中しているし、先生方は言いたくなるのをがまんして見守っています。
★そんなときに話しかけたら、集中はきれるし、先生方も話したいことを堰を切ったように話し出すでしょう。生徒のみなさんの議論や思考の妨げになるでしょう。
★しかし、この時間帯は、学生の方々も先生方も生徒の活動を手放しています。横で話していても、生徒は気にならずに没頭しています。
★1人の学生の方は、このプロジェクトの意味を教えてくれました。「カット&ペーストのような調べ学習とは全く違い、リサーチスキルを生み出していくことがポイントです。1つのテーマについて、文献を調べていく過程で、あれっ?と疑問がでてくるので、その疑問についてまた文献を調べていきます。価値観や意見、データの提示などが違っている時もあるし、同じエビデンスを真逆の解釈をしているときもあります。そのとき、自分の考えでこうだと決めつけずに、そこを抑えて、さらにどうしてそんな違いがあるのかまた調べていきます。本当は、インタビューだとかアンケートとかフィールドワークとかがあるのですが、今回は限られた時間とスペースなので、文献というマテリアルを使って情報分析というリサーチスキルを活用することを目的にしています」と。
★明快に述べられて感動していると、「今回、テーマは私たちアドバイザーの研究しているものなので、私たちもリフレクションしながら学べるます」と。
★調べ学習というと、どこか客観的な事実や人の考えの羅列のように感じられるのですが、リサーチスキルとなると、客観的姿勢ではあるけれど、疑問という自分の内側からでてくる知の欲求に沿って文献の選択が行われていくというプロセスのクリエイティビティがあることに気づきました。
★關谷教授にも少し話を聞くことができました。関西学院大学の国際学部の学生は、いろいろな国に行って活動するということです。国連でインターンシップを経験する学生もいるということです。たんなる留学というのではなく、それぞれの国でそこの最適な何かを見出しながら社会課題に向き合う経験をしてきている学生が今目の前にいるということでした。
★教授自身50カ国弱の国々で活動されてきているということです。このような仕事や研究ができるのは、企業というポジショニングではなかなかできないわけで、学問というのが、もちろん大変で誰でもできる仕事ではないからこそなのでしょうが、世界を行き交う知のパスポートであると感動しました。
★栗本校長も、關谷教授のこのような知の力を、ノートルダム女学院の生徒だけではなく、もっと広くシェアできるようにしていきたいという夢を情熱的に語ってくれました。目の前で知の竜巻を生んでいる生徒も学生も、そういえばあのZ世代です。たしかに、この世代が生み出す未来には希望があるなと感じ入りました。
★そんな話をしていると、宗教科の山川先生がニコニコしながら、「いつもとは違う生徒の深い思考作業に感動しました。ここまでやれるなら、授業でももっとやれるなあと思いましたよ。複数の文献をどうつなげていくか論理的な思考の重要性が明確になったし、同じ文献を読んでも、どういう論拠を描いていくかは、生徒によって違うんです。なぜ違うかというところは内面の奥深いことなので、そこは丁寧に授業が展開できそうです」と。
★今回のプログラムのオーガナイザーを務めていた霜田先生(ND教育開発センター長・社会科)も、山川先生と同じようにテンションがあがっていました。お二人ともPBL型授業の推進者ですから、今回のプロジェクトマネジメントのプログラムには何か共感共振共鳴するところがあったのでしょう。
★霜田先生は、IBのワークショップショップなど多くの外部セミナーでもリサーチをしています。ですから、IBのATLスキルのような視点はやはり重要だと。特に、今回の情報分析スキルである關谷教授のスキルモデルは、大学レベルなので、IBのATLスキル以上に深い思考をたどることができるのではないか、ふだんの授業で工夫できないかと頭が回転し始めていました。
★プレゼンは、白熱していました。リハを行う時間はなかったので、ぶっつけ本番でした。でも、それがかえってよかったですね。生徒がその場で必死に考え論理を駆使する過程が可視化された感じだったからです。
★生徒は、話すという行為がこんなに考える行為なのだと実感していたのではないでしょうか。關谷教授が、このような体験がこれからのみなさんにとって善き財産になるとコメントをしていましたが、なるほどと合点がいきました。
★帰り際、NDの言語技術を担当している北村先生が、「全体を通して、生徒がここまで挑戦できるのだと改めて確認できました。今来年のカリキュラムをアップデートしたばかりですが、さらにリファインすることに決めました」と。
★詳細については、来年のお話なのでフライングになりますから、ここではまだ語れませんが、かなり興味深い話です。北村先生は、カナダ、ニュージーランド、フィンランド、アメリカなどのランゲージアーツのカリキュラムの比較研究をしながら、独自の言語技術のPBL型授業用のカリキュラムを創っています。学界でも活躍しているほどです。
★そうそう、心身の根源的存在問題を保健体育のPBL授業で展開している三井先生は、いつもとは真逆で、今回は終始無言。しかし、私にこれよとたくさん情報共有をしてくれました。確実に何か深いことを考えている瞑想状態にはいっているなあと感じました。
★理科の田中大先生もすでに、着々と自身のPBL授業で展開しようという静かな情熱が身体中からあふれていました。田中先生の観察のプログラムは、今回のリサーチスキルと重なるところがあるので、すぐにピンと来たのでしょう。
★生徒だけではなく、そこに参加するメンバーみんなにそれぞれ気づきや刺激を与え、そこに知の竜巻を生んでいた。そんな感じのプロジェクトでした。すてきな機会をありがとうございました。
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