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2020年10月12日 (月)

ノートルダム女学院(09)探究×保健体育×哲学対話①

★ノートルダム女学院中学高等学校(以降「ND」)の授業は興味深いシステムです。まるで植物のように有機的に成長しています。今まで各教科のPBL(Project Based Learning)型授業の取り組みを紹介してきましたが、探究の授業、保健体育の授業、宗教の哲学対話が行われている意味を少しご紹介します。

★いずれも、NDの生徒全員が学ぶ場であるといのがポイントです。

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★中1のSTEAMクラスの探究の授業を拝見しました。STEAMクラス担当の先生方がリレー形式で行っていきます。つまり、スーパーバイザーとファシリテーターが順番に入れ替わっていきます。今回私が拝見した探究の授業は、数学科の北島先生がスーパーバイザーでした。また学年主任で理科の村田先生や保健体育の先生も参加していました。ファシリテーターは理科の田中大先生と赤田先生でした。

★中1のこの時期ですから、文献リサーチと好奇心・興味・関心を広げ深めるスキルを身につけていきます。図書館で、関心のある事柄を、1事象1情報カードにまとめていきます。

★そのとき、北島先生は言語技術に基づいて、テーマ、トピックセンテンス、比較、理由、具体例など意識して書くように思考スキルを生徒と共有します。また、ファクトとオピニオンをきちんと区別する習慣も確認します。ファシリテーターがそこを見守り、声掛けをしていきます。

★教室に戻ってきたら、そのカードの中から、一つ選び、選んだ理由やその事象に対する意見や感想をワークシートに書きます。もちろん、その情報のまとめをパラグラフライティングという言語技術をベースにまとめます。ここでもファシリテーターは、サポートします。なかなか書けない生徒や情報があふれて収拾がつかない生徒がいたら、書く前に話を聴くという瞬間を設けます。

★そして、ピアシンクシェアをしながら、プレゼンしたとしたら、パブリックオーディエンスと共感できるかどうか対話していきます。リフレクションシートに生徒による相互フィードバックも書き込んでいきます。先生方もフィードバックしていきます。

★この探究は、リサーチや観察からはじまり、好奇心・開放的精神を培い、問いの問いを生徒自身が生み出すプロセスですが、Zoomで北島先生と村田先生とリフレクション対話をしたときに、分析→統合を往復し、その過程の中から発想が生まれてくるという数学的思考や科学的思考の基礎をトレーニングしているのだということでした。

★なるほど、北島先生はご自身の数学の授業でも、そこを大事にしているし、村田先生も観察から始まり、分析→統合→発想という循環を大切にしています。

★こうして、探究と教科の結びつきも見えてきましたが、北島先生と村田先生は、「それができるのは、コンテンツ(内容や素材)は違っても、ものの見方や考え方のプロセスが互いに親和性があるように授業デザインしているからです」ということでした。私にはデザインというよりアートのように感じました。機会を組み立てるような感じではなく、有機的な自然の循環を生成しているような感じなのです。(つづく)

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