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2020年10月 4日 (日)

2021年変わる中学入試(11)新渡戸文化学園のハイブリッド説明会 キラキラ輝く光あふれる①

★昨日3日(土)、新渡戸文化中学校は説明会を開催しました。柔らかい映像と癒される音楽が流れるミニホールさながらの居心地の良い空間に保護者は集まってきました。密にならないように分散して着席。すぐに一杯になりました。今回は対面の説明会ですが、生徒といっしょに来る方が圧倒的に多く、そうでない場合はオンラインで参加している方も多かったようです。リアルな対面とウェビナーの両方で参加できるハイブリッド説明会でした。こういう瞬間にも選択ができる気遣いが心地よさを生み出しているのでしょう。

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★保護者向けの説明会は同時開催教育座談会から始まりました。「同時開催」?ではないではないかとお思いの方もいるでしょう。そうですね。普通は同時開催で体験学習もやっていますという表現になるかもしれません。しかしあくまで、主体は「生徒」です。体験授業と保護者の説明会がセットなのです。

★生徒がテクノロジーを使いクリエイティブな体験授業にキラキラ輝きながら取り組んでいる間、同時開催で教育座談会を行うよというメッセージが込められていたのです。誰が主語か、つまり生徒ですが、その存在の価値への気遣いが、新しい学校の条件の1つです。

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(右下の私が語っている写真は、小林先生が撮影して送ってくれました。ありがとうございます)

★教育座談会は、山本崇雄先生(小中高等学校統括校長補佐)が主旋律を第一バイオリンで奏でました。石川一郎先生(聖ドミニコ学園カリキュラムマネージャー)は、第二バイオリンで主旋律の中の大テーマを繰り返し変奏していました。私は私立学校研究家であり学校法人ノートルダム女学院リサーチャーとして中学入試の時代とともに変わりゆく通奏低音を奏でました。

★新渡戸文化学園がこれまでの革新的な学校と大いに違うのは、このような3人で学校説明会を実施できてしまうということもその一つでしょう。というのも、山本先生も新渡戸文化学園だけではなく、多くの学校やメディアも巻き込みながらある意味ハイブリッドワークを行っています。

★石川先生も校長・学院長経験者であり現在は多くの学校のアドバイザーであり理事や評議員委員です。やはりハイブリッドワーカーです。

★私もある意味そうです。塾・学校アドバイザー、先生方のPBL研修ファシリテーターなどを行っています。

★それに3人とも執筆活動も行っています。もっともお二人はベストラー作家で私は売れない作家ですが(汗)。学校外の講演会やセミナーでこのような座談会はありますが、一つの学校の説明会で行われるのは珍しいと思います。行ったとしても、講演者を1人招いての講演で、対話型の座談会にはならないと思います。

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★それに、この説明会をコーディネートやデザインしている同校の先生方も全く新しい未来型の教師です。テクノロジーを使うのは当たり前で、大事なことはデザイン思考やアート感覚です。それともちろん、プラグマティックな実践家です。おそらく、理事長平岩国泰先生、校長小倉良之先生、統括校長補佐山本崇雄先生のもとに集結してきているのでしょう。参加された保護者も、新しい学校の情熱と息吹を感じながら参加できたと思います。

★山本先生の旋律は、すでに生徒が主語になって教科を横断して社会課題を自分事としてとらえて、自分はいかにして解決していけるか取り組んでいるカリキュラムの話でした。そして、生徒が主語になる、つまり自律するには、教師がどう変わったのか、学びの環境や授業をどうデザインしているのかをすばらしいデザインのスライドで語りました。

★山本先生はApple、私はMicrosoft。参加者は新しい学校とはプレゼンテーションも違うなあと感じたことでしょう。とにかく、山本先生のデザインは、スライドに限らず学びの空間づくり、学びの時間、教師の仕事に、生徒の生活に余白を大事にしていくという話が一貫していました。パンデミックの時にニュートンが外に出ないで有り余る時間を思索に自然法則の発見に新たな数学記号の構築に費やしたような余白を創出することに情熱を傾けていることは明らかでした。

★石川先生は、その話を受けて、家庭ではどうすると生徒が主語になれれるのか、そうはいってもつい不安になって余白を生めるような指示をしてしまう。それは、日本の学校がそもそもそうだからで、家庭と学校が安心して余白を大事にしていける協力ができることが大切だと今回の大テーマを変奏曲よろしく語っていました。

★私はその余白を大事にするという点に関しては「モモ」の話を少し引用しました。時代の流れの中でこのコロナ禍で何が起こっているのか、それを象徴するのには、8月にNHKで特集されていた「モモ」の話はピッタリだと思ったからです。時間泥棒から大事な時間を取り戻す話は、物語でありながら、社会課題を子供たちといっしょに考える時を生み出します。

★モモの話に参加された保護者の目は輝き笑顔も見えました。やはり集った保護者は高感度の方々なのだと。

★山本先生は、その余白を生むには、不安や恐怖に追いかけられたりあるいはその逆につきつけたりする不寛容な社会になってはいけないと語ります。寛容性(Tolerance)がクリエイティビティを生み出す要素の1つだとは、リチャード・フロリダ教授や落合陽一氏もフロリダ教授を引用して語っています。ダボス会議のテーマ「ザ・グレート・リセット」もフロリダ教授の影響を受けています。世の中はそういう道を開こうとしています。新渡戸文化学園は、今までにない新しい学校として、その時代の交差点に出現したのです。(つづく)

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